トップ 基礎問題 数学3 積分法 定積分・面積 問題 29

数学3 定積分・面積 問題 29 解説

数学3 定積分・面積 問題 29 解説

方針・初手

(1) 被積分関数の中に積分変数 $t$ と定数扱いできる $x$ が混在しているため、まずは $x$ を積分の外にくくり出してから微分を行い、関数の増減と凹凸を調べます。さらに、$f(x)$ の具体的な式を求めて極限と漸近線を調べます。

(2) (1) で求めた $f(x)$ と $f'(x)$ を用いて接線の方程式を立てます。そこから $X_1$ と $Y_1$ を $\alpha$ の式で表し、極限の式に代入して計算します。極限計算では微分の定義式や自然対数の底の極限の基本公式を利用します。

解法1

(1)

与えられた関数 $f(x)$ を展開し、$x$ を積分の外に出すと次のようになる。

$$f(x) = x \int_{0}^{x} e^{-t} dt - \int_{0}^{x} t e^{-t} dt$$

両辺を $x$ で微分すると、積の微分法より

$$\begin{aligned} f'(x) &= 1 \cdot \int_{0}^{x} e^{-t} dt + x e^{-x} - x e^{-x} \\ &= \int_{0}^{x} e^{-t} dt \\ &= \left[ -e^{-t} \right]_{0}^{x} \\ &= 1 - e^{-x} \end{aligned}$$

さらに $x$ で微分すると

$$f''(x) = e^{-x}$$

すべての実数 $x$ において $f''(x) > 0$ であるため、曲線 $y = f(x)$ は常に下に凸である。 また、$f'(x) = 0$ となるのは $1 - e^{-x} = 0$ より $x = 0$ のときである。 $x < 0$ のとき $e^{-x} > 1$ より $f'(x) < 0$ であり、$x > 0$ のとき $e^{-x} < 1$ より $f'(x) > 0$ となるため、$f(x)$ は $x = 0$ で極小値かつ最小値をとる。極小値は $f(0) = 0$ である。

次に、$f(x)$ の式を具体的に求める。

$$\begin{aligned} f(x) &= x \left( 1 - e^{-x} \right) - \left( \left[ -t e^{-t} \right]_{0}^{x} - \int_{0}^{x} (-e^{-t}) dt \right) \\ &= x - x e^{-x} - \left( -x e^{-x} + \left[ -e^{-t} \right]_{0}^{x} \right) \\ &= x - x e^{-x} + x e^{-x} + e^{-x} - 1 \\ &= x + e^{-x} - 1 \end{aligned}$$

ここで、$x \to \infty$ のときの漸近線を調べる。

$$\lim_{x \to \infty} \{ f(x) - (x - 1) \} = \lim_{x \to \infty} e^{-x} = 0$$

したがって、直線 $y = x - 1$ は $x \to \infty$ における漸近線である。 また、$\lim_{x \to -\infty} f(x) = \infty$ である。

(2)

点 $(\alpha, f(\alpha))$ における接線の方程式を求める。接線の傾きは $f'(\alpha) = 1 - e^{-\alpha}$ であるから、接線の方程式は

$$y - (\alpha + e^{-\alpha} - 1) = (1 - e^{-\alpha})(x - \alpha)$$

展開して整理すると

$$y = (1 - e^{-\alpha})x + (\alpha + 1)e^{-\alpha} - 1$$

この接線と $y$ 軸との交点 $(0, Y_1)$ を考えると、

$$Y_1 = (\alpha + 1)e^{-\alpha} - 1$$

また、$x$ 軸との交点 $(X_1, 0)$ を考える。極限 $\alpha \to 0$ を考えるため $\alpha \neq 0$ とすると、$1 - e^{-\alpha} \neq 0$ である。$y = 0$ を代入して $X_1$ について解くと

$$X_1 = \frac{1 - (\alpha + 1)e^{-\alpha}}{1 - e^{-\alpha}}$$

ここで、$\frac{Y_1}{X_1}$ を計算する。計算の前に、分母に現れる $1 - (\alpha + 1)e^{-\alpha}$ が $0$ にならないことを確認する。 $h(\alpha) = 1 - (\alpha + 1)e^{-\alpha}$ とおくと、$h'(\alpha) = \alpha e^{-\alpha}$ となる。増減表を考えると、$h(\alpha)$ は $\alpha = 0$ で最小値 $h(0) = 0$ をとる。したがって、$\alpha \neq 0$ のとき常に $h(\alpha) > 0$ であり、$0$ でないため約分が可能である。

$$\begin{aligned} \frac{Y_1}{X_1} &= \frac{(\alpha + 1)e^{-\alpha} - 1}{\frac{1 - (\alpha + 1)e^{-\alpha}}{1 - e^{-\alpha}}} \\ &= - \left( 1 - e^{-\alpha} \right) \\ &= e^{-\alpha} - 1 \end{aligned}$$

よって、求める極限は

$$\begin{aligned} \lim_{\alpha \to 0} \frac{1}{\alpha} \left( \frac{Y_1}{X_1} \right) &= \lim_{\alpha \to 0} \frac{e^{-\alpha} - 1}{\alpha} \\ &= \lim_{\alpha \to 0} \left( - \frac{e^{-\alpha} - 1}{-\alpha} \right) \\ &= -1 \end{aligned}$$

(※ $\lim_{t \to 0} \frac{e^t - 1}{t} = 1$ の公式を利用した。あるいは、関数 $y = e^{-x}$ の $x = 0$ における微分係数と見なしてもよい。)

解説

定積分で表された関数の微分の典型問題です。被積分関数の中に $x$ と $t$ が混在している場合は、そのまま $x$ で微分することはできません。式を展開し、積分変数とは無関係な $x$ を積分の外に出してから積の微分法を用いるのが定石です。

(2) では接線の方程式から $X_1$ と $Y_1$ を求めますが、極限を計算する過程で式が煩雑になるため、慌てずに約分できる構造を見抜くことが大切です。また、分母が $0$ にならないことの確認など、細かい論理の隙をなくす記述を心がけましょう。最後の極限は $e$ の定義に関連する基本公式に帰着させます。

答え

(1) 曲線 $y = f(x)$ の概形は、常に下に凸であり、$x=0$ で極小値かつ最小値 $0$ をとる。

$x \to \infty$ において直線 $y = x - 1$ を漸近線にもち、$x \to -\infty$ で $y \to \infty$ となる。

(※ 実際の解答ではこれらの特徴を満たすグラフを描画する)

(2)

$$\lim_{\alpha \to 0} \frac{1}{\alpha} \left( \frac{Y_1}{X_1} \right) = -1$$

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