数学3 定積分・面積 問題 30 解説

方針・初手
分子と分母はそれぞれ、自然数のべき乗の和の積で構成されています。 和の公式を直接適用して計算することも可能ですが、$n \to \infty$ の極限を求める問題であるため、各和の最高次の項に注目するか、区分求積法の形に帰着させるのが見通しの良い方針です。 分母分子を $n$ の適切な累乗で割り、区分求積法を利用して定積分の計算に持ち込みましょう。
解法1
与式の分子の各因数と分母の各因数において、項の数は $n$ 個である。 区分求積法 $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n f\left(\frac{k}{n}\right) = \int_0^1 f(x) dx$ を用いるため、各和が $\frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^p$ の形になるように分母分子を $n$ の累乗で割る。
分子の第1因数は $n^2$ で割って $\frac{1}{n}$ をかける(全体として $n^3$ で割る)と、
$$\frac{1}{n^3} (1^2 + 2^2 + \cdots + n^2) = \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^2$$
となる。
同様に、分子の第2因数は $n^4$ で割る。 分母の第1因数は $n^2$ で割る。 分母の第2因数は $n^5$ で割る。
分母分子ともに $n^7$ で割ることになるため、与式は次のように変形できる。
$$\begin{aligned} & \lim_{n \to \infty} \frac{(1^2 + 2^2 + \cdots + n^2)(1^3 + 2^3 + \cdots + n^3)}{(1 + 2 + \cdots + n)(1^4 + 2^4 + \cdots + n^4)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{1}{n^3}(1^2 + 2^2 + \cdots + n^2) \cdot \frac{1}{n^4}(1^3 + 2^3 + \cdots + n^3)}{\frac{1}{n^2}(1 + 2 + \cdots + n) \cdot \frac{1}{n^5}(1^4 + 2^4 + \cdots + n^4)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left\{ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^2 \right\} \left\{ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^3 \right\}}{\left\{ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right) \right\} \left\{ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^4 \right\}} \end{aligned}$$
ここで、区分求積法によりそれぞれの極限は以下の定積分で表される。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^p = \int_0^1 x^p dx = \left[ \frac{x^{p+1}}{p+1} \right]_0^1 = \frac{1}{p+1} \quad (p=1, 2, 3, 4)$$
これらを代入すると、求める極限値は
$$\frac{\int_0^1 x^2 dx \cdot \int_0^1 x^3 dx}{\int_0^1 x dx \cdot \int_0^1 x^4 dx} = \frac{\frac{1}{3} \cdot \frac{1}{4}}{\frac{1}{2} \cdot \frac{1}{5}} = \frac{\frac{1}{12}}{\frac{1}{10}} = \frac{10}{12} = \frac{5}{6}$$
となる。
解法2
自然数の $p$ 乗の和 $\sum_{k=1}^n k^p$ は、$n$ についての $p+1$ 次式であり、その最高次の項は $\frac{1}{p+1} n^{p+1}$ である性質を利用する。
$$\begin{aligned} 1 + 2 + \cdots + n &= \frac{1}{2} n^2 + (\text{1次以下の項}) \\ 1^2 + 2^2 + \cdots + n^2 &= \frac{1}{3} n^3 + (\text{2次以下の項}) \\ 1^3 + 2^3 + \cdots + n^3 &= \frac{1}{4} n^4 + (\text{3次以下の項}) \\ 1^4 + 2^4 + \cdots + n^4 &= \frac{1}{5} n^5 + (\text{4次以下の項}) \end{aligned}$$
これを極限の式に代入する。
$$\begin{aligned} & \lim_{n \to \infty} \frac{(1^2 + 2^2 + \cdots + n^2)(1^3 + 2^3 + \cdots + n^3)}{(1 + 2 + \cdots + n)(1^4 + 2^4 + \cdots + n^4)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left\{ \frac{1}{3} n^3 + (\text{2次以下}) \right\} \left\{ \frac{1}{4} n^4 + (\text{3次以下}) \right\}}{\left\{ \frac{1}{2} n^2 + (\text{1次以下}) \right\} \left\{ \frac{1}{5} n^5 + (\text{4次以下}) \right\}} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{1}{12} n^7 + (\text{6次以下の項})}{\frac{1}{10} n^7 + (\text{6次以下の項})} \end{aligned}$$
分母分子を最高次の $n^7$ で割る。
$$= \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{1}{12} + (\frac{1}{n} \text{を因数に持つ項})}{\frac{1}{10} + (\frac{1}{n} \text{を因数に持つ項})} = \frac{\frac{1}{12}}{\frac{1}{10}} = \frac{5}{6}$$
解説
本問は、無限数列の極限に関する標準的な問題です。
解法1のように、定積分の定義(区分求積法)に帰着させるのが最も一般的な解答方針であり、計算の手間も少なく確実です。区分求積法を用いる際は、「分母分子を $n$ の何乗で割れば $\frac{1}{n} \sum f\left(\frac{k}{n}\right)$ の形が作れるか」を各因数の次数から逆算して考えるとスムーズに変形できます。
解法2のように、多項式としての次数と最高次の係数にだけ着目して極限を計算する手法も、極限の直感的な理解として非常に重要です。記述式答案では論証の丁寧さが求められますが、結果の予想や検算、あるいは短答式試験などではこの考え方を用いることで素早く答えを導くことができます。
答え
$$\frac{5}{6}$$
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