数学3 定積分・面積 問題 35 解説

方針・初手
(1) は関数の増減と凹凸を調べる標準的な微分の問題である。第1次導関数 $f'(x)$ と第2次導関数 $f''(x)$ を計算し、それぞれの符号変化から極値と変曲点を求めて増減表を作成する。極限 $\lim_{x \to \pm\infty} f(x)$ も確認し、漸近線を把握したうえでグラフの概形を述べる。
(2) は定積分で表された関数の最大値を求める問題である。$S(t) = \int_t^{t+1} f(x) dx$ を $t$ で微分し、微分積分学の基本定理を用いて $S'(t)$ を求める。$S'(t) = 0$ となる $t$ を求め、その前後での符号変化から最大値を与える $t$ を特定する。
(3) は定積分の値の評価(不等式証明)である。被積分関数である指数関数 $e^{-x^2}$ 型の積分は初等関数で表せないため、被積分関数を扱いやすい関数で上下から評価し、その積分値から目的の不等式を導く。上方からの評価には $e^{-u^2} < 1$ を、下方からの評価には凸不等式 $e^x \ge 1+x$ から得られる $e^{-u^2} \ge 1-u^2$ などを利用する。
解法1
(1)
与えられた関数は以下の通りである。
$$f(x) = 4e^{-(x-3)^2}$$
$x$ について微分すると、以下のようになる。
$$f'(x) = 4 \cdot \left\{ -2(x-3) \right\} e^{-(x-3)^2} = -8(x-3)e^{-(x-3)^2}$$
さらに微分して第2次導関数を求める。
$$\begin{aligned} f''(x) &= -8 \left[ 1 \cdot e^{-(x-3)^2} + (x-3) \cdot \left\{ -2(x-3) \right\} e^{-(x-3)^2} \right] \\ &= -8 \left\{ 1 - 2(x-3)^2 \right\} e^{-(x-3)^2} \\ &= 16 \left\{ (x-3)^2 - \frac{1}{2} \right\} e^{-(x-3)^2} \end{aligned}$$
$f'(x) = 0$ となる $x$ は、$-8(x-3) = 0$ より $x = 3$ である。
$f''(x) = 0$ となる $x$ は、$(x-3)^2 - \frac{1}{2} = 0$ より $(x-3)^2 = \frac{1}{2}$、すなわち $x = 3 \pm \frac{\sqrt{2}}{2}$ である。
また、極限は以下のようになる。
$$\lim_{x \to \infty} f(x) = 0, \quad \lim_{x \to -\infty} f(x) = 0$$
以上より、増減と凹凸の表は次のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $3-\frac{\sqrt{2}}{2}$ | $\cdots$ | $3$ | $\cdots$ | $3+\frac{\sqrt{2}}{2}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $+$ | $+$ | $0$ | $-$ | $-$ | $-$ |
| $f''(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | 下に凸に増加 | 変曲点 | 上に凸に増加 | 極大 | 上に凸に減少 | 変曲点 | 下に凸に減少 |
表より、極値および変曲点は以下の通りである。
極大値: $f(3) = 4$ (極小値はなし)
変曲点: $\left( 3-\frac{\sqrt{2}}{2}, \frac{4}{\sqrt{e}} \right), \left( 3+\frac{\sqrt{2}}{2}, \frac{4}{\sqrt{e}} \right)$
グラフの概形は、$x=3$ で最大値 $4$ をとり、直線 $x=3$ に関して対称な釣鐘型の曲線となり、$x$ 軸($y=0$)を漸近線にもつ。
(2)
与えられた図形の面積 $S(t)$ は以下の定積分で表される。
$$S(t) = \int_{t}^{t+1} 4e^{-(x-3)^2} dx$$
両辺を $t$ で微分すると、微分積分学の基本定理より次のようになる。
$$S'(t) = 4e^{-(t+1-3)^2} \cdot 1 - 4e^{-(t-3)^2} \cdot 1 = 4e^{-(t-2)^2} - 4e^{-(t-3)^2}$$
$S'(t) = 0$ とすると、以下の等式が成り立つ。
$$e^{-(t-2)^2} = e^{-(t-3)^2}$$
指数関数の性質より、指数部分が等しくなる。
$$-(t-2)^2 = -(t-3)^2$$
$$(t-2)^2 = (t-3)^2$$
これを解くと、$t-2 = \pm(t-3)$ となるが、$t-2 = t-3$ は解を持たないため、$t-2 = -(t-3)$ となる。
$$2t = 5 \iff t = \frac{5}{2}$$
ここで、$y = e^{-x}$ は単調減少関数であるから、$S'(t)$ の符号変化について以下が成り立つ。
$$S'(t) > 0 \iff e^{-(t-2)^2} > e^{-(t-3)^2} \iff -(t-2)^2 > -(t-3)^2 \iff -2t + 5 > 0 \iff t < \frac{5}{2}$$
同様に、$t > \frac{5}{2}$ のとき $S'(t) < 0$ となる。
したがって、$S(t)$ は $t = \frac{5}{2}$ で極大かつ最大となる。
(3)
(2) より、$S(t)$ の最大値 $S_0$ は $t = \frac{5}{2}$ のときの値である。
$$S_0 = S\left(\frac{5}{2}\right) = \int_{5/2}^{7/2} 4e^{-(x-3)^2} dx$$
$x - 3 = u$ と置換する。$dx = du$ であり、積分区間は $x$ が $\frac{5}{2} \to \frac{7}{2}$ のとき $u$ は $-\frac{1}{2} \to \frac{1}{2}$ となる。
$$S_0 = \int_{-1/2}^{1/2} 4e^{-u^2} du = 8 \int_{0}^{1/2} e^{-u^2} du$$
($e^{-u^2}$ が偶関数であることを用いた)
まず、$S_0 < 4$ を示す。
$0 < u \le \frac{1}{2}$ の範囲において $u^2 > 0$ であるから、$e^{-u^2} < e^0 = 1$ が成り立つ。
積分区間において常に等号が成り立つわけではないため、以下の不等式が得られる。
$$\int_{0}^{1/2} e^{-u^2} du < \int_{0}^{1/2} 1 \, du = \left[ u \right]_{0}^{1/2} = \frac{1}{2}$$
両辺を $8$ 倍して次を得る。
$$S_0 < 8 \cdot \frac{1}{2} = 4$$
次に、$S_0 > 3$ を示す。
すべての実数 $x$ に対して $e^x \ge 1 + x$ が成り立つ($y = e^x$ のグラフが $x=0$ における接線 $y=x+1$ の上側にあることからわかる)。
この不等式に $x = -u^2$ を代入すると、以下の不等式が得られる。
$$e^{-u^2} \ge 1 - u^2$$
$0 \le u \le \frac{1}{2}$ において等号が成立するのは $u = 0$ のときのみであるから、定積分すると真の不等号となる。
$$\int_{0}^{1/2} e^{-u^2} du > \int_{0}^{1/2} (1 - u^2) du$$
右辺の定積分を計算する。
$$\int_{0}^{1/2} (1 - u^2) du = \left[ u - \frac{u^3}{3} \right]_{0}^{1/2} = \frac{1}{2} - \frac{1}{24} = \frac{11}{24}$$
両辺を $8$ 倍して次を得る。
$$S_0 > 8 \cdot \frac{11}{24} = \frac{11}{3}$$
$\frac{11}{3} = 3.66\cdots > 3$ であるから、$S_0 > 3$ が示された。
以上より、$3 < S_0 < 4$ が満たされることが示された。
解説
(2) で定積分で定義された関数を微分する際、$\frac{d}{dt}\int_{g(t)}^{h(t)} f(x) dx = f(h(t))h'(t) - f(g(t))g'(t)$ の公式(微分積分学の基本定理の応用)を用いるのが定石である。また、関数 $y = f(x)$ が $x = 3$ に関して対称であることを直観的に用いれば、幅が $1$ の積分区間の中点 $t + \frac{1}{2}$ が対称軸 $x = 3$ に一致するときに面積が最大になると予想でき、見通しよく解を進められる。
(3) で積分値の評価を行う問題は、難関大学で頻出である。積分できない関数を積分できる関数で上下から挟む(評価する)発想が必要になる。下からの評価に用いた $e^x \ge 1+x$ (マクローリン展開の1次近似、あるいは凸性の利用)は、大学入試において暗黙の前提として用いてよいことが多い強力な不等式である。これを被積分関数の形に合わせて $e^{-u^2} \ge 1-u^2$ として適用する手法はぜひ習得しておきたい。
答え
(1) 極大値 $4$($x=3$)、極小値なし。変曲点 $\left( 3-\frac{\sqrt{2}}{2}, \frac{4}{\sqrt{e}} \right), \left( 3+\frac{\sqrt{2}}{2}, \frac{4}{\sqrt{e}} \right)$。グラフは本文参照。
(2) $t = \frac{5}{2}$
(3) 略(解答本文にて証明済)
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