数学3 定積分・面積 問題 44 解説

方針・初手
被積分関数は有理関数(多項式 $\div$ 多項式)であるため、部分分数分解をして積分しやすい形に変形することが基本方針となる。
分母が $(x-1)^3(x-2)$ と因数分解された形で与えられており、分子の次数(3次)が分母の次数(4次)より小さいため、そのまま部分分数分解を行うことができる。係数を未定定数として恒等式を解く方法がオーソドックスであるが、累乗の大きい因数 $x-1$ を $t$ などと置換することで、計算の負担を減らすこともできる。
解法1
被積分関数を次のように部分分数分解する。
$$\frac{x^3}{(x-1)^3(x-2)} = \frac{a}{(x-1)^3} + \frac{b}{(x-1)^2} + \frac{c}{x-1} + \frac{d}{x-2}$$
両辺に $(x-1)^3(x-2)$ を掛けて分母を払うと、
$$x^3 = a(x-2) + b(x-1)(x-2) + c(x-1)^2(x-2) + d(x-1)^3$$
これが $x$ についての恒等式となるように定数 $a, b, c, d$ を定める。 両辺に $x=1$ を代入すると、
$$1 = -a \iff a = -1$$
両辺に $x=2$ を代入すると、
$$8 = d \iff d = 8$$
$a = -1, d = 8$ をもとの恒等式に代入すると、
$$x^3 = -(x-2) + b(x-1)(x-2) + c(x-1)^2(x-2) + 8(x-1)^3$$
両辺の $x^3$ の係数を比較すると、
$$1 = c + 8 \iff c = -7$$
両辺の $x^2$ の係数を比較すると、右辺の $x^2$ の項は $b - 4c - 24$ となるため、
$$0 = b - 4c - 24$$
これに $c = -7$ を代入して、
$$0 = b + 28 - 24 \iff b = -4$$
以上より、部分分数分解は次のようになる。
$$\frac{x^3}{(x-1)^3(x-2)} = -\frac{1}{(x-1)^3} - \frac{4}{(x-1)^2} - \frac{7}{x-1} + \frac{8}{x-2}$$
したがって、求める不定積分は以下の通り計算できる($C$ は積分定数とする)。
$$\int \frac{x^3}{(x-1)^3(x-2)} dx = \int \left\{ -(x-1)^{-3} - 4(x-1)^{-2} - \frac{7}{x-1} + \frac{8}{x-2} \right\} dx$$
$$= \frac{1}{2}(x-1)^{-2} + 4(x-1)^{-1} - 7 \log|x-1| + 8 \log|x-2| + C$$
$$= \frac{1}{2(x-1)^2} + \frac{4}{x-1} - 7 \log|x-1| + 8 \log|x-2| + C$$
解法2
$t = x-1$ とおくと、$x = t+1$ であり、$dx = dt$ となる。 被積分関数を $t$ を用いて表し、変形する。
$$\frac{x^3}{(x-1)^3(x-2)} = \frac{(t+1)^3}{t^3(t-1)} = \frac{t^3 + 3t^2 + 3t + 1}{t^3(t-1)}$$
ここで、分子の多項式を分母の一部である $t-1$ で割ると、 $t^3 + 3t^2 + 3t + 1 = (t-1)(t^2 + 4t + 7) + 8$ となるため、
$$\frac{t^3 + 3t^2 + 3t + 1}{t^3(t-1)} = \frac{(t-1)(t^2 + 4t + 7) + 8}{t^3(t-1)} = \frac{t^2 + 4t + 7}{t^3} + \frac{8}{t^3(t-1)}$$
$$= \frac{1}{t} + \frac{4}{t^2} + \frac{7}{t^3} + \frac{8}{t^3(t-1)}$$
右辺の第4項 $\frac{1}{t^3(t-1)}$ について、次のように順次部分分数に分解する。
$$\frac{1}{t^3(t-1)} = \frac{1}{t^2} \left( \frac{1}{t-1} - \frac{1}{t} \right) = \frac{1}{t^2(t-1)} - \frac{1}{t^3}$$
$$= \frac{1}{t} \left( \frac{1}{t-1} - \frac{1}{t} \right) - \frac{1}{t^3} = \frac{1}{t(t-1)} - \frac{1}{t^2} - \frac{1}{t^3}$$
$$= \frac{1}{t-1} - \frac{1}{t} - \frac{1}{t^2} - \frac{1}{t^3}$$
これを先ほどの式に代入して整理する。
$$\frac{(t+1)^3}{t^3(t-1)} = \frac{1}{t} + \frac{4}{t^2} + \frac{7}{t^3} + 8 \left( \frac{1}{t-1} - \frac{1}{t} - \frac{1}{t^2} - \frac{1}{t^3} \right)$$
$$= -\frac{1}{t^3} - \frac{4}{t^2} - \frac{7}{t} + \frac{8}{t-1}$$
したがって、求める不定積分は以下の通り計算できる($C$ は積分定数とする)。
$$\int \frac{(t+1)^3}{t^3(t-1)} dt = \int \left( -t^{-3} - 4t^{-2} - \frac{7}{t} + \frac{8}{t-1} \right) dt$$
$$= \frac{1}{2}t^{-2} + 4t^{-1} - 7 \log|t| + 8 \log|t-1| + C$$
$$= \frac{1}{2t^2} + \frac{4}{t} - 7 \log|t| + 8 \log|t-1| + C$$
最後に $t = x-1$ を代入して元の変数に戻す。
$$= \frac{1}{2(x-1)^2} + \frac{4}{x-1} - 7 \log|x-1| + 8 \log|x-2| + C$$
解説
有理関数の積分の典型問題である。分子の次数が分母の次数よりも低いため、すぐに部分分数分解の処理に移ることができる。
解法1で示したように、分母に $(x-\alpha)^n$ という累乗の因数が含まれる場合、部分分数分解は $\frac{a_1}{x-\alpha} + \frac{a_2}{(x-\alpha)^2} + \cdots + \frac{a_n}{(x-\alpha)^n}$ のようにすべての累乗の項を用意する必要がある。この未定定数法は確実であるが、係数比較による連立方程式が煩雑になりやすい。
計算ミスを防ぐ有効なアプローチとして、解法2のような変数変換(置換積分)が挙げられる。高次の因数である $x-1$ を $t$ に置き換えることで、分母が単項式 $t^3$ に近い形となり、多項式の割り算を用いることで容易に部分分数分解を完了させることができる。
答え
$$\frac{1}{2(x-1)^2} + \frac{4}{x-1} - 7 \log|x-1| + 8 \log|x-2| + C \quad (C \text{ は積分定数})$$
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