数学3 定積分・面積 問題 51 解説

方針・初手
有理関数の不定積分が有理式となるための条件は、被積分関数を部分分数分解した際に、積分すると対数関数($\log|x-k|$)となる $\frac{1}{x-k}$ の形の項が現れないことである。これを手がかりに、$c, d$ の値で場合分けして条件を絞り込む。$c, d$ は $c+d=4$ かつ $c \leqq d$ を満たす区間 $[0, 4]$ の整数であることから、$(c, d)$ の組を具体的に列挙して議論を進める。
解法1
$c, d$ は区間 $[0, 4]$ に含まれる整数であり、$c+d=4$ かつ $c \leqq d$ を満たすことから、$(c, d)$ の組は $(0, 4), (1, 3), (2, 2)$ のいずれかである。$c \neq d$ の場合と $c = d = 2$ の場合に分けて考える。
(i) $c \neq d$ (すなわち $(c, d) = (0, 4), (1, 3)$)の場合
$f(x) = \frac{(x-a)(x-b)}{(x-c)^2(x-d)^2}$ とおき、定数 $A, B, C, D$ を用いて次のように部分分数分解する。
$$f(x) = \frac{A}{(x-c)^2} + \frac{B}{x-c} + \frac{C}{(x-d)^2} + \frac{D}{x-d}$$
不定積分 $\int f(x) dx$ が有理式になるための必要十分条件は、積分すると対数項となる $\frac{1}{x-c}, \frac{1}{x-d}$ の係数が $0$、すなわち $B=0$ かつ $D=0$ となることである。 両辺に $(x-c)^2(x-d)^2$ を掛けると、
$$(x-a)(x-b) = A(x-d)^2 + B(x-c)(x-d)^2 + C(x-c)^2 + D(x-c)^2(x-d)$$
両辺を $x$ で微分すると、
$$2x - a - b = 2A(x-d) + B(x-d)^2 + 2B(x-c)(x-d) + 2C(x-c) + 2D(x-c)(x-d) + D(x-c)^2$$
これらに $x=c$ を代入すると、
$$(c-a)(c-b) = A(c-d)^2$$
$$2c - a - b = 2A(c-d) + B(c-d)^2$$
上の式より $A = \frac{(c-a)(c-b)}{(c-d)^2}$ となるため、下の式に代入して $B=0$ とすると、
$$2c - a - b = 2\frac{(c-a)(c-b)}{c-d}$$
両辺に $c-d$ を掛けて整理する。
$$(2c-a-b)(c-d) = 2(c-a)(c-b)$$
$$2c^2 - 2cd - ac + ad - bc + bd = 2c^2 - 2ac - 2bc + 2ab$$
$$ac + bc + ad + bd - 2cd - 2ab = 0$$
$$(a+b)(c+d) - 2cd - 2ab = 0$$
条件より $c+d=4$ であるから、これを代入して整理する。
$$4(a+b) - 2cd - 2ab = 0$$
$$ab - 2a - 2b + cd = 0$$
$$(a-2)(b-2) = 4 - cd$$
同様に、$x=d$ を代入して $D=0$ の条件を求めると、式が $c$ と $d$ について対称であることから、全く同じ条件 $(a-2)(b-2) = 4 - cd$ が得られる。したがって、$B=D=0$ となる条件は $(a-2)(b-2) = 4 - cd$ である。
$(c, d) = (0, 4)$ のとき、 $cd = 0$ より、条件は $(a-2)(b-2) = 4$ となる。 $a, b \in \{0, 1, 2, 3, 4\}$ より $a-2, b-2 \in \{-2, -1, 0, 1, 2\}$ であるから、積が $4$ になる組み合わせは $(a-2, b-2) = (2, 2), (-2, -2)$ に限られる。 これより、$(a, b) = (4, 4), (0, 0)$ を得る。
$(c, d) = (1, 3)$ のとき、 $cd = 3$ より、条件は $(a-2)(b-2) = 1$ となる。 同様に積が $1$ になる組み合わせは $(a-2, b-2) = (1, 1), (-1, -1)$ に限られる。 これより、$(a, b) = (3, 3), (1, 1)$ を得る。
(ii) $c = d = 2$ の場合
$f(x) = \frac{(x-a)(x-b)}{(x-2)^4}$ となる。分子を $x-2$ の多項式として展開する。
$$(x-a)(x-b) = \{(x-2) + (2-a)\}\{(x-2) + (2-b)\}$$
$$= (x-2)^2 + (4-a-b)(x-2) + (2-a)(2-b)$$
これより、$f(x)$ は次のように表される。
$$f(x) = \frac{1}{(x-2)^2} + \frac{4-a-b}{(x-2)^3} + \frac{(2-a)(2-b)}{(x-2)^4}$$
これを積分すると、
$$\int f(x) dx = -\frac{1}{x-2} - \frac{4-a-b}{2(x-2)^2} - \frac{(2-a)(2-b)}{3(x-2)^3} + C$$
($C$ は積分定数) となり、対数項となる $\frac{1}{x-2}$ の項が現れないため、不定積分はつねに有理式となる。 したがって、$a, b \in \{0, 1, 2, 3, 4\}$ であれば任意の整数の組が適する。
解説
有理関数の不定積分において、対数項が現れない条件を考える典型問題である。分母が重解を持つ式で部分分数分解を行う際、恒等式の両辺を微分してから値を代入する手法は、計算量を大幅に減らすことができる非常に有効な手段である。また、導出の途中で現れる $(a+b)(c+d) - 2cd - 2ab = 0$ という式に $c+d=4$ を代入することで、鮮やかに $(a-2)(b-2)$ の形へ因数分解できる構造が本問の美しい点である。$(c, d) = (2, 2)$ の場合は $x-2$ のカタマリを作って展開する手法(平行移動の考え方)を用いると、部分分数分解が一瞬で完了する。
答え
$(0, 0, 0, 4)$
$(4, 4, 0, 4)$
$(1, 1, 1, 3)$
$(3, 3, 1, 3)$
$(a, b, 2, 2)$($a, b$ は $0, 1, 2, 3, 4$ のいずれかの整数)
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