数学3 定積分・面積 問題 63 解説

方針・初手
(1) は対数関数に帰着する基本的な不定積分である。置換積分または一次式の合成関数の積分公式を用いる。
(2) は不等式の証明である。各辺の差をとって、$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ の範囲で $0$ 以上になることを示すのが見通しが良い。また、この区間では分母の $1-x$ が正であるため、各辺に $1-x$ を掛けて分母を払う方針でもよい。
(3) は「定積分を利用して」という誘導と、(1) で積分を求めていることから、(2) で示した不等式の各辺を $0$ から $\frac{1}{2}$ まで定積分すればよいと判断する。
解法1
(1)
求める不定積分は、
$$\int \frac{dx}{1-x} = -\log |1-x| + C \quad (C は積分定数)$$
である。
(2)
$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において、$1-x > 0$ である。
まず、$1+x \leqq \frac{1}{1-x}$ を示す。
$$\frac{1}{1-x} - (1+x) = \frac{1 - (1+x)(1-x)}{1-x} = \frac{1 - (1-x^2)}{1-x} = \frac{x^2}{1-x}$$
$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ より、$x^2 \geqq 0$ かつ $1-x > 0$ であるから、
$$\frac{x^2}{1-x} \geqq 0$$
よって、$1+x \leqq \frac{1}{1-x}$ が成り立つ。
次に、$\frac{1}{1-x} \leqq 1+2x$ を示す。
$$(1+2x) - \frac{1}{1-x} = \frac{(1+2x)(1-x) - 1}{1-x} = \frac{1+x-2x^2 - 1}{1-x} = \frac{x(1-2x)}{1-x}$$
$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ より、$x \geqq 0$、$1-2x \geqq 0$、$1-x > 0$ であるから、
$$\frac{x(1-2x)}{1-x} \geqq 0$$
よって、$\frac{1}{1-x} \leqq 1+2x$ が成り立つ。
以上より、$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ のとき、不等式 $1+x \leqq \frac{1}{1-x} \leqq 1+2x$ が成り立つ。
(3)
(2) より、$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ において $1+x \leqq \frac{1}{1-x} \leqq 1+2x$ が成り立つ。
これらの関数はすべて連続であるから、両辺を $0$ から $\frac{1}{2}$ まで定積分すると、
$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} (1+x) dx \leqq \int_{0}^{\frac{1}{2}} \frac{dx}{1-x} \leqq \int_{0}^{\frac{1}{2}} (1+2x) dx$$
となる。それぞれの定積分を計算する。
左辺について、
$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} (1+x) dx = \left[ x + \frac{x^2}{2} \right]_{0}^{\frac{1}{2}} = \frac{1}{2} + \frac{1}{8} = \frac{5}{8}$$
中辺について、(1) の結果を利用すると、
$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} \frac{dx}{1-x} = \left[ -\log |1-x| \right]_{0}^{\frac{1}{2}} = -\log \frac{1}{2} - (-\log 1) = \log 2$$
右辺について、
$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} (1+2x) dx = \left[ x + x^2 \right]_{0}^{\frac{1}{2}} = \frac{1}{2} + \frac{1}{4} = \frac{3}{4}$$
したがって、これらを不等式に代入して、
$$\frac{5}{8} \leqq \log 2 \leqq \frac{3}{4}$$
が示された。
解法2
(2) の別解を示す。
$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ のとき、$1-x > 0$ である。
不等式 $1+x \leqq \frac{1}{1-x} \leqq 1+2x$ の各辺に正の数 $1-x$ を掛けても不等号の向きは変わらないため、与えられた不等式は、
$$(1+x)(1-x) \leqq 1 \leqq (1+2x)(1-x)$$
と同値である。
左側の不等式について、
$$(1+x)(1-x) = 1-x^2 \leqq 1$$
これは $x^2 \geqq 0$ より常に成り立つ。
右側の不等式について、
$$(1+2x)(1-x) = 1+x-2x^2 = 1 - x(2x-1)$$
$0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ より、$x \geqq 0$ かつ $2x-1 \leqq 0$ であるから、$x(2x-1) \leqq 0$ となり、
$$1 - x(2x-1) \geqq 1$$
が成り立つ。
したがって、同値な不等式が示されたので、元の不等式 $1+x \leqq \frac{1}{1-x} \leqq 1+2x$ も成り立つ。
解説
関数の大小関係を用いて、定積分の値や無理数を評価する典型的な問題である。(1) と (2) が (3) のための丁寧な誘導になっている。
(2) において、分母を払う同値変形(解法2)を行う際は、分母の符号が正で一定であることが保証されているから可能である。記述の際は、必ず「$1-x > 0$ であるから」と断る必要がある。
(3) のような「積分による不等式評価」は入試頻出のテーマである。被積分関数自体が直接計算できない場合や、定積分の値が無理数になる場合に、扱いやすい多項式などで上と下から挟んで積分するという手法は、確実に習得しておきたい。
答え
(1)
$-\log |1-x| + C \quad (C は積分定数)$
(2)
解法1または解法2の通り。
(3)
(2) の不等式の各辺を $0$ から $\frac{1}{2}$ まで定積分することにより示された。
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