トップ 基礎問題 数学3 積分法 定積分・面積 問題 86

数学3 定積分・面積 問題 86 解説

数学3 定積分・面積 問題 86 解説

方針・初手

被積分関数が $e^x$ の有理式で表されているため、$t = e^x$ とおいて置換積分を行うのが定石である。置換後の被積分関数は $t$ の分数関数となるので、部分分数分解を利用して積分しやすい形に変形する。その際、$\frac{1}{t^2+a^2}$ の形が現れるため、さらに三角関数による置換が必要になることに着眼する。

解法1

$t = e^x$ とおくと、両辺を $x$ で微分して $\frac{dt}{dx} = e^x$ すなわち $dx = \frac{1}{e^x} dt = \frac{1}{t} dt$ となる。

$x$ の積分区間 $0 \leqq x \leqq \frac{\log 3}{2}$ に対応する $t$ の積分区間を求める。 $x = 0$ のとき、$t = e^0 = 1$ である。 $x = \frac{\log 3}{2}$ のとき、$t = e^{\frac{\log 3}{2}} = (e^{\log 3})^{\frac{1}{2}} = 3^{\frac{1}{2}} = \sqrt{3}$ である。

よって、与えられた定積分は次のように書き換えられる。

$$\int_0^{\frac{\log 3}{2}} \frac{e^x + 1}{e^{2x} + 1} dx = \int_1^{\sqrt{3}} \frac{t + 1}{t^2 + 1} \cdot \frac{1}{t} dt = \int_1^{\sqrt{3}} \frac{t + 1}{t(t^2 + 1)} dt$$

ここで、被積分関数を部分分数分解する。恒等式として次のように設定する。

$$\frac{t + 1}{t(t^2 + 1)} = \frac{a}{t} + \frac{bt + c}{t^2 + 1}$$

両辺に $t(t^2+1)$ を掛けると、

$$t + 1 = a(t^2 + 1) + t(bt + c)$$

$$t + 1 = (a + b)t^2 + ct + a$$

両辺の係数を比較して、

$$\begin{cases} a + b = 0 \\ c = 1 \\ a = 1 \end{cases}$$

これより、$a = 1$、$b = -1$、$c = 1$ を得る。したがって、

$$\frac{t + 1}{t(t^2 + 1)} = \frac{1}{t} + \frac{-t + 1}{t^2 + 1} = \frac{1}{t} - \frac{t}{t^2 + 1} + \frac{1}{t^2 + 1}$$

と変形できる。元の定積分は以下の3つの積分の和となる。

$$\int_1^{\sqrt{3}} \frac{t + 1}{t(t^2 + 1)} dt = \int_1^{\sqrt{3}} \left( \frac{1}{t} - \frac{t}{t^2 + 1} + \frac{1}{t^2 + 1} \right) dt$$

第1項と第2項の積分を先に計算する。

$$\int_1^{\sqrt{3}} \left( \frac{1}{t} - \frac{t}{t^2 + 1} \right) dt = \left[ \log |t| - \frac{1}{2} \log(t^2 + 1) \right]_1^{\sqrt{3}}$$

$$= \left( \log \sqrt{3} - \frac{1}{2} \log(3 + 1) \right) - \left( \log 1 - \frac{1}{2} \log(1 + 1) \right)$$

$$= \frac{1}{2} \log 3 - \frac{1}{2} \log 4 + \frac{1}{2} \log 2$$

$$= \frac{1}{2} \log 3 - \log 2 + \frac{1}{2} \log 2 = \frac{1}{2} \log 3 - \frac{1}{2} \log 2 = \frac{1}{2} \log \frac{3}{2}$$

次に、第3項 $\int_1^{\sqrt{3}} \frac{1}{t^2 + 1} dt$ の積分を行う。 $t = \tan \theta$ とおくと、$dt = \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta$ である。 $t = 1$ のとき $\theta = \frac{\pi}{4}$、 $t = \sqrt{3}$ のとき $\theta = \frac{\pi}{3}$ となるので、

$$\int_1^{\sqrt{3}} \frac{1}{t^2 + 1} dt = \int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}} \frac{1}{\tan^2 \theta + 1} \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta$$

$\tan^2 \theta + 1 = \frac{1}{\cos^2 \theta}$ であるから、

$$= \int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}} d\theta = \left[ \theta \right]_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{3}} = \frac{\pi}{3} - \frac{\pi}{4} = \frac{\pi}{12}$$

以上より、求める定積分は各項の計算結果を足し合わせて、

$$\frac{1}{2} \log \frac{3}{2} + \frac{\pi}{12}$$

となる。

解説

指数関数の定積分における基本的な定石と、有理関数の積分の基本が詰まった標準問題である。 まず $t = e^x$ という置換に気づけるかどうかが第一関門となる。置換した後の分数関数は、分母が因数分解された形になっているため、部分分数分解を行う方針が明確になる。 部分分数分解の際、分母に $t^2+1$ という因数があるため、分子は1次式 $bt+c$ とおく必要がある点に注意したい。 また、分解後に現れる $\frac{t}{t^2+1}$ と $\frac{1}{t^2+1}$ は、それぞれ「分子が分母の微分の定数倍」と「$\tan \theta$ への置換」という異なる積分手法を用いるため、典型的な積分の解法パターンを網羅的に習得しているかが問われている。

答え

$$\frac{1}{2} \log \frac{3}{2} + \frac{\pi}{12}$$

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