トップ 基礎問題 数学3 積分法 定積分・面積 問題 89

数学3 定積分・面積 問題 89 解説

数学3 定積分・面積 問題 89 解説

方針・初手

(1) は位置ベクトルを時刻 $t$ で微分し、速度ベクトルを求める基本的な計算である。

(2) はまず曲線 $C$ と $x$ 軸の交点のうち、$x$ 座標が正となるものの条件から、対応する時刻 $t$ をパラメータ $k$ を用いて特定する。その後、媒介変数表示の微分法を利用して接線の傾きを求め、直線の方程式を立てる。

(3) は (2) で得られた接線 $L_k$ と $L_{k+1}$ の方程式を連立し、交点 $\text{Q}_k$ の座標を求める。得られた座標の式からパラメータ $k$ を消去し、$x$ と $y$ の関係式(軌跡の方程式)を導出する。

(4) は $y$ 軸と曲線で囲まれた部分の面積を求める。パラメータ $t$ に関する置換積分を用いて $\int x \,dy$ を計算するか、曲線がアルキメデスの螺旋であることに着目して極座標における扇形の面積の公式を利用する。

解法1

(1) 点 $\text{R}$ の位置ベクトルを $\vec{r} = (x, y) = (t\cos t, t\sin t)$ とおく。 速度ベクトル $\vec{v}$ は位置ベクトルを時刻 $t$ で微分したものであるから、各成分を $t$ で微分する。

$$\frac{dx}{dt} = \cos t - t\sin t$$

$$\frac{dy}{dt} = \sin t + t\cos t$$

よって、求める速度ベクトルは以下のようになる。

$$\vec{v} = (\cos t - t\sin t, \sin t + t\cos t)$$

(2) 曲線 $C$ と $x$ 軸の交点においては $y=0$ であるから、$t\sin t = 0$ となる。 $t > 0$ であるため、$\sin t = 0$ であり、$n$ を自然数として $t = n\pi$ となる。 このときの $x$ 座標は以下のように表される。

$$x = n\pi\cos(n\pi) = n\pi(-1)^n$$

$x$ 軸の「正の部分」との交点であるから、$x > 0$ となるためには $n$ が偶数である必要がある。 交点を $x$ 座標の小さい順に $\text{P}_1, \text{P}_2, \text{P}_3, \cdots$ としているため、$n = 2k$ ($k = 1, 2, 3, \cdots$)と対応させることができる。 したがって、点 $\text{P}_k$ に対応する時刻は $t = 2k\pi$ であり、その座標は $\text{P}_k(2k\pi, 0)$ である。

点 $\text{P}_k$ における接線の傾き $m$ は、(1) の結果を用いて次のように求まる。

$$m = \frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}} = \frac{\sin(2k\pi) + 2k\pi\cos(2k\pi)}{\cos(2k\pi) - 2k\pi\sin(2k\pi)} = \frac{2k\pi}{1} = 2k\pi$$

点 $(2k\pi, 0)$ を通り、傾きが $2k\pi$ の直線の方程式が $L_k$ であるため、次のように立式できる。

$$y - 0 = 2k\pi(x - 2k\pi)$$

$$y = 2k\pi x - 4k^2\pi^2$$

(3) (2) で求めた $L_k$ の方程式より、$L_{k+1}$ の方程式は $k$ を $k+1$ に置き換えて次のように表せる。

$$L_k: y = 2k\pi x - 4k^2\pi^2$$

$$L_{k+1}: y = 2(k+1)\pi x - 4(k+1)^2\pi^2$$

これらを連立し、辺々を引くことで $y$ を消去する。

$$0 = -2\pi x - 4k^2\pi^2 + 4(k^2 + 2k + 1)\pi^2$$

$$0 = -2\pi x + 4(2k + 1)\pi^2$$

$$2\pi x = 4(2k + 1)\pi^2$$

$$x = 2(2k+1)\pi$$

この $x$ を $L_k$ の方程式に代入して $y$ 座標を求める。

$$\begin{aligned} y &= 2k\pi \cdot 2(2k+1)\pi - 4k^2\pi^2 \\ &= 4k(2k+1)\pi^2 - 4k^2\pi^2 \\ &= 4k(k+1)\pi^2 \end{aligned}$$

よって、交点 $\text{Q}_k$ の座標は $(2(2k+1)\pi, 4k(k+1)\pi^2)$ である。 次に、この座標の式から $k$ を消去する。 $x = 4k\pi + 2\pi$ より、$2k\pi = \frac{x}{2} - \pi$ である。 これを $y$ の式に代入する。

$$\begin{aligned} y &= 2k\pi(2k\pi + 2\pi) \\ &= \left(\frac{x}{2} - \pi\right)\left(\frac{x}{2} - \pi + 2\pi\right) \\ &= \left(\frac{x}{2} - \pi\right)\left(\frac{x}{2} + \pi\right) \\ &= \frac{x^2}{4} - \pi^2 \end{aligned}$$

交点 $\text{Q}_k$ の座標は常に方程式 $y = \frac{1}{4}x^2 - \pi^2$ を満たす。 したがって、$\text{Q}_1, \text{Q}_2, \text{Q}_3, \cdots$ は1つの放物線 $y = \frac{1}{4}x^2 - \pi^2$ 上にあることが示された。

(4) 曲線 $C$ について、$0 < t < \frac{\pi}{2}$ の範囲を考える。 $t \to +0$ のとき $x \to 0, y \to 0$ であり、$t = \frac{\pi}{2}$ のとき $x = 0, y = \frac{\pi}{2}$ である。 $0 < t < \frac{\pi}{2}$ において $t > 0, \sin t > 0, \cos t > 0$ であるため、$x = t\cos t > 0$ である。 また、(1) で求めた $\frac{dy}{dt}$ について、同じ範囲で

$$\frac{dy}{dt} = \sin t + t\cos t > 0$$

となるため、$y$ は単調増加である。 求める面積 $S$ は、曲線 $C$ と $y$ 軸($x=0$)で囲まれた部分の面積であるから、次のように積分で表せる。

$$\begin{aligned} S &= \int_0^{\frac{\pi}{2}} x \,dy \\ &= \int_0^{\frac{\pi}{2}} x \frac{dy}{dt} \,dt \\ &= \int_0^{\frac{\pi}{2}} t\cos t(\sin t + t\cos t) \,dt \\ &= \int_0^{\frac{\pi}{2}} (t\sin t\cos t + t^2\cos^2 t) \,dt \\ &= \int_0^{\frac{\pi}{2}} \left( \frac{1}{2}t\sin 2t + t^2 \frac{1+\cos 2t}{2} \right) \,dt \\ &= \int_0^{\frac{\pi}{2}} \left( \frac{1}{2}t\sin 2t + \frac{1}{2}t^2 + \frac{1}{2}t^2\cos 2t \right) \,dt \end{aligned}$$

それぞれの項を部分積分を用いて計算する。 第1項の積分は以下のようになる。

$$\begin{aligned} \int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{2}t\sin 2t \,dt &= \left[ -\frac{1}{4}t\cos 2t \right]_0^{\frac{\pi}{2}} - \int_0^{\frac{\pi}{2}} \left(-\frac{1}{4}\cos 2t\right) \,dt \\ &= -\frac{1}{4}\left(\frac{\pi}{2}\right)(-1) - 0 + \left[ \frac{1}{8}\sin 2t \right]_0^{\frac{\pi}{2}} \\ &= \frac{\pi}{8} \end{aligned}$$

第2項の積分は以下のようになる。

$$\int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{2}t^2 \,dt = \left[ \frac{1}{6}t^3 \right]_0^{\frac{\pi}{2}} = \frac{\pi^3}{48}$$

第3項の積分は以下のようになる。

$$\begin{aligned} \int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{2}t^2\cos 2t \,dt &= \left[ \frac{1}{4}t^2\sin 2t \right]_0^{\frac{\pi}{2}} - \int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{2}t\sin 2t \,dt \\ &= 0 - \frac{\pi}{8} = -\frac{\pi}{8} \end{aligned}$$

以上より、求める面積 $S$ は次のように計算できる。

$$S = \frac{\pi}{8} + \frac{\pi^3}{48} - \frac{\pi}{8} = \frac{\pi^3}{48}$$

解法2

(4の別解) 極座標表示を利用して面積を求める。 座標 $(x, y) = (t\cos t, t\sin t)$ は、極座標 $(r, \theta)$ を用いると次のように表される。

$$r = \sqrt{x^2+y^2} = \sqrt{t^2(\cos^2 t + \sin^2 t)} = t \quad (\because t > 0)$$

$$\cos \theta = \frac{x}{r} = \cos t, \quad \sin \theta = \frac{y}{r} = \sin t$$

これより、$\theta = t$ であることがわかる。 すなわち、この曲線は極方程式 $r = \theta$ (アルキメデスの螺旋)で表される。 $0 < t < \frac{\pi}{2}$ の部分は、動径 $\theta = 0$ と $\theta = \frac{\pi}{2}$、および曲線 $r = \theta$ で囲まれた図形となる。 したがって、極座標における扇形の面積の公式より、求める面積 $S$ は次のように計算できる。

$$\begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \int_0^{\frac{\pi}{2}} r^2 \,d\theta \\ &= \frac{1}{2} \int_0^{\frac{\pi}{2}} \theta^2 \,d\theta \\ &= \frac{1}{2} \left[ \frac{1}{3}\theta^3 \right]_0^{\frac{\pi}{2}} \\ &= \frac{1}{6} \cdot \frac{\pi^3}{8} \\ &= \frac{\pi^3}{48} \end{aligned}$$

解説

媒介変数表示で表された曲線の微分、軌跡、積分を用いた面積計算を含む総合問題である。 (2) では「$x$ 軸の正の部分」という条件から、交点を与える $t$ が自然数や奇数ではなく偶数となることを正しく立式できるかが問われている。 (3) は接線の方程式を連立して交点座標を求め、パラメータ $k$ を消去するという軌跡の定石通りの処理を行えばよい。 (4) は解法1のようにパラメータ積分 $\int x \,dy$ を用いて計算するのが王道であるが、三角関数の部分積分が複数回現れるため計算ミスに注意が必要である。一方、解法2のように極座標表示に気づくことができれば、$r = \theta$ という極めてシンプルな形となり、計算量が劇的に減少する。$x = t\cos t, y = t\sin t$ の形を見た際は、極座標への変換を選択肢として持っておくと有利に働く。

答え

(1) $\vec{v} = (\cos t - t\sin t, \sin t + t\cos t)$

(2) $y = 2k\pi x - 4k^2\pi^2$

(3) 放物線 $y = \frac{1}{4}x^2 - \pi^2$ 上にある。方程式は $y = \frac{1}{4}x^2 - \pi^2$

(4) $\frac{\pi^3}{48}$

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