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数学3 定積分・面積 問題 94 解説

数学3 定積分・面積 問題 94 解説

方針・初手

被積分関数 $\frac{t}{t^2+1}$ は、分子が分母の微分の定数倍となっているため、容易に積分できる関数です。したがって、まずは定積分を計算して $f(x)$ を $x$ の関数として具体的に書き下す方針が最も自然です。

一方で、被積分関数が奇関数であることや、定積分で表された関数の微分の公式を利用して、積分を実行せずに (1) や (2) を処理する方針も考えられます。(3) で極限を調べたり最小値を計算したりする際には、いずれにしても $f(x)$ の具体的な式が必要になります。

解法1

まず、$f(x)$ の定積分を計算して具体的な式を求めます。 被積分関数は $\frac{t}{t^2+1} = \frac{1}{2} \cdot \frac{(t^2+1)'}{t^2+1}$ と変形できるため、次のように積分できます。

$$f(x) = \left[ \frac{1}{2} \log(t^2+1) \right]_{-x}^{x+4}$$

$$f(x) = \frac{1}{2} \log \{(x+4)^2+1\} - \frac{1}{2} \log \{(-x)^2+1\}$$

対数の性質を用いてまとめます。

$$f(x) = \frac{1}{2} \log \frac{(x+4)^2+1}{x^2+1} = \frac{1}{2} \log \frac{x^2+8x+17}{x^2+1}$$

(1)

$f(x) = 0$ となるのは、対数の真数が $1$ になるときです。

$$\frac{x^2+8x+17}{x^2+1} = 1$$

$$x^2+8x+17 = x^2+1$$

$$8x = -16$$

これを解いて、$x = -2$ を得ます。

(2)

上で求めた $f(x)$ を $x$ で微分します。

$$f(x) = \frac{1}{2} \{ \log(x^2+8x+17) - \log(x^2+1) \}$$

合成関数の微分法を用いると、導関数は次のようになります。

$$f'(x) = \frac{1}{2} \left( \frac{2x+8}{x^2+8x+17} - \frac{2x}{x^2+1} \right) = \frac{x+4}{x^2+8x+17} - \frac{x}{x^2+1}$$

右辺を通分して整理します。

$$f'(x) = \frac{(x+4)(x^2+1) - x(x^2+8x+17)}{(x^2+8x+17)(x^2+1)}$$

$$f'(x) = \frac{x^3+x+4x^2+4 - (x^3+8x^2+17x)}{(x^2+8x+17)(x^2+1)}$$

$$f'(x) = \frac{-4x^2-16x+4}{(x^2+8x+17)(x^2+1)} = \frac{-4(x^2+4x-1)}{(x^2+8x+17)(x^2+1)}$$

$f'(x) = 0$ となるのは、分子が $0$ になるときです。

$$x^2+4x-1 = 0$$

二次方程式の解の公式より、$x = -2 \pm \sqrt{5}$ を得ます。

(3)

$f'(x)$ の分母 $(x^2+8x+17)(x^2+1) = \{(x+4)^2+1\}(x^2+1)$ はすべての実数 $x$ において正です。 したがって、$f'(x)$ の符号は分子の $-4(x^2+4x-1)$ の符号と一致します。 $x^2+4x-1=0$ の2解を $\alpha = -2-\sqrt{5}$, $\beta = -2+\sqrt{5}$ とおくと、$f(x)$ の増減表は次のようになります。

$x$ $\cdots$ $\alpha$ $\cdots$ $\beta$ $\cdots$
$f'(x)$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$
$f(x)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$ 極大 $\searrow$

増減表より、$f(x)$ は $x = \alpha$ で極小値、 $x = \beta$ で極大値をとることがわかります。 次に、$x \to \pm\infty$ のときの $f(x)$ の極限を調べます。

$$\lim_{x \to \pm\infty} f(x) = \lim_{x \to \pm\infty} \frac{1}{2} \log \frac{x^2+8x+17}{x^2+1} = \lim_{x \to \pm\infty} \frac{1}{2} \log \frac{1+\frac{8}{x}+\frac{17}{x^2}}{1+\frac{1}{x^2}} = \frac{1}{2} \log 1 = 0$$

ここで、極小値 $f(\alpha)$ の符号について考えます。 $\alpha = -2-\sqrt{5} < -2$ であり、増減表から $x < \beta$ の範囲において $f(x)$ は $x = \alpha$ でただ一つの極小値をとります。 (1) より $f(-2) = 0$ であり、$\alpha < -2 < \beta$ であるため、$f(\alpha) < f(-2) = 0$ となります。 $x \to \pm\infty$ で $f(x) \to 0$ となり、かつ極小値が負であることから、関数 $f(x)$ は $x = \alpha$ で最小値をもつことが示されました。

最後に、最小値 $f(\alpha)$ を計算します。 $x = \alpha$ は $x^2+4x-1 = 0$ の解であるため、$x^2 = -4x+1$ が成り立ちます。 これを $f(x)$ の真数部分の分母と分子に代入し、次数を下げます。

$$\frac{x^2+8x+17}{x^2+1} = \frac{(-4x+1)+8x+17}{(-4x+1)+1} = \frac{4x+18}{-4x+2} = \frac{2x+9}{-2x+1}$$

$x = -2-\sqrt{5}$ を代入します。

$$\frac{2(-2-\sqrt{5})+9}{-2(-2-\sqrt{5})+1} = \frac{5-2\sqrt{5}}{5+2\sqrt{5}}$$

分母を有理化します。

$$\frac{(5-2\sqrt{5})^2}{(5+2\sqrt{5})(5-2\sqrt{5})} = \frac{25-20\sqrt{5}+20}{25-20} = \frac{45-20\sqrt{5}}{5} = 9-4\sqrt{5}$$

ここで、$9-4\sqrt{5} = 5-4\sqrt{5}+4 = (\sqrt{5}-2)^2$ であることに着目すると、最小値は次のように求まります。

$$f(-2-\sqrt{5}) = \frac{1}{2} \log (9-4\sqrt{5}) = \frac{1}{2} \log (\sqrt{5}-2)^2 = \log (\sqrt{5}-2)$$

解法2

定積分の性質と微積分の基本定理を利用して (1) と (2) を解く別解です。

(1)

被積分関数 $g(t) = \frac{t}{t^2+1}$ は、$g(-t) = -g(t)$ を満たす奇関数です。 したがって、任意の定数 $a$ に対して $\int_{-a}^a g(t) dt = 0$ が成り立ちます。 積分区間 $[-x, x+4]$ を $[-x, x]$ と $[x, x+4]$ に分割します。

$$f(x) = \int_{-x}^x g(t) dt + \int_x^{x+4} g(t) dt = 0 + \int_x^{x+4} \frac{t}{t^2+1} dt$$

$f(x) = 0$ となるためには、$\int_x^{x+4} \frac{t}{t^2+1} dt = 0$ である必要があります。 $t > 0$ で被積分関数は正、$t < 0$ で負となるため、定積分が $0$ になるには積分区間が原点をまたぎ、かつ原点対称でなければなりません。 よって、$x = -(x+4)$ が必要十分条件です。これを解いて $x = -2$ を得ます。

(2)

定積分の微分公式 $\frac{d}{dx} \int_{h(x)}^{g(x)} p(t)dt = p(g(x))g'(x) - p(h(x))h'(x)$ を利用します。

$$f'(x) = \frac{d}{dx} \int_{-x}^{x+4} \frac{t}{t^2+1} dt$$

$$f'(x) = \frac{x+4}{(x+4)^2+1} \cdot (x+4)' - \frac{-x}{(-x)^2+1} \cdot (-x)'$$

$$f'(x) = \frac{x+4}{x^2+8x+17} \cdot 1 - \frac{-x}{x^2+1} \cdot (-1) = \frac{x+4}{x^2+8x+17} - \frac{x}{x^2+1}$$

以降の通分計算と方程式 $f'(x)=0$ の解法は解法1と同様であり、$x = -2 \pm \sqrt{5}$ を得ます。

解説

定積分で表された関数の極値や最小値を求める典型問題です。 (1) や (2) は、解法2で示したように奇関数の性質や微分公式を使うとスマートに計算できますが、(3) で極限を調べるためには結局 $f(x)$ の具体的な式が必要になります。そのため、本問においては最初から解法1のように $f(x)$ を積分して求めてしまうのが最も無駄がありません。

(3) で最小値を持つことの証明は、単に「極小値をもつから」とするだけでは不十分であり、必ず区間の端(本問では $x \to \pm\infty$)の極限を調べ、極小値との大小を比較する必要があります。 また、極小値を計算する際に $x^2+4x-1 = 0$ を用いて「次数下げ」を行うテクニックは、計算ミスを防ぐうえで非常に有効です。

答え

(1) $x = -2$

(2) $x = -2 \pm \sqrt{5}$

(3) 極限 $\lim_{x\to\pm\infty} f(x) = 0$ および極小値が負であることを示すことで、最小値をもつことが示される。

最小値は $\log (\sqrt{5}-2)$ (または $\frac{1}{2} \log (9-4\sqrt{5})$)

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