数学3 定積分・面積 問題 118 解説

方針・初手
絶対値を含む関数であるため、まずは絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、関数の式を整理する。$x \geqq 0$ のときは分子が因数分解でき、式が簡略化されることに着目する。微分係数の定義や導関数の極限を丁寧に計算し、連続性の定義に従って証明を進める。積分計算においては、絶対値の符号が変わる $x=0$ を境に積分区間を分割し、有理関数の積分を実行する。
解法1
関数 $f(x)$ は、絶対値記号をはずすと以下のように表される。
(i) $x \geqq 0$ のとき $|x| = x$ であるから、
$$f(x) = \frac{4 - x^2}{2+x} = \frac{(2-x)(2+x)}{2+x}$$
$x \neq -2$ であるから、約分して $f(x) = 2-x$ となる。
(ii) $x < 0$ (かつ $x \neq -2$)のとき $|x| = -x$ であるから、
$$f(x) = \frac{4 - (-x)x}{2+x} = \frac{x^2+4}{x+2}$$
(1)
$f'(0)$ を導関数の定義に従って求める。 右側微分係数は、
$$\lim_{h \to +0} \frac{f(h) - f(0)}{h} = \lim_{h \to +0} \frac{(2-h) - 2}{h} = \lim_{h \to +0} \frac{-h}{h} = -1$$
左側微分係数は、
$$\lim_{h \to -0} \frac{f(h) - f(0)}{h} = \lim_{h \to -0} \frac{\frac{h^2+4}{h+2} - 2}{h} = \lim_{h \to -0} \frac{h^2+4 - 2(h+2)}{h(h+2)}$$
$$= \lim_{h \to -0} \frac{h^2 - 2h}{h(h+2)} = \lim_{h \to -0} \frac{h-2}{h+2} = \frac{-2}{2} = -1$$
右側微分係数と左側微分係数が一致するため、関数 $f(x)$ は $x=0$ で微分可能であり、
$$f'(0) = -1$$
である。
(2)
$f'(x)$ が $x=0$ で連続であることを示すには、$\lim_{x \to 0} f'(x) = f'(0)$ が成り立つことを示せばよい。 $x \neq 0$ における導関数 $f'(x)$ を求める。
$x > 0$ のとき、$f(x) = 2-x$ より、
$$f'(x) = -1$$
$-2 < x < 0$ または $x < -2$ のとき、$f(x) = \frac{x^2+4}{x+2}$ より、商の微分法を用いて、
$$f'(x) = \frac{2x(x+2) - (x^2+4) \cdot 1}{(x+2)^2} = \frac{x^2+4x-4}{(x+2)^2}$$
これらより、$f'(x)$ の $x \to 0$ における極限を調べる。 右側極限は、
$$\lim_{x \to +0} f'(x) = \lim_{x \to +0} (-1) = -1$$
左側極限は、
$$\lim_{x \to -0} f'(x) = \lim_{x \to -0} \frac{x^2+4x-4}{(x+2)^2} = \frac{-4}{2^2} = -1$$
したがって、$\lim_{x \to 0} f'(x) = -1$ であり、(1) で求めた $f'(0) = -1$ と一致する。 よって、$f'(x)$ は $x=0$ で連続である。
(3)
積分区間 $[-1, 1]$ において、$x=0$ を境に $f(x)$ の表す式が異なるため、積分を分割して計算する。
$$\int_{-1}^1 f(x) dx = \int_{-1}^0 f(x) dx + \int_0^1 f(x) dx$$
$$= \int_{-1}^0 \frac{x^2+4}{x+2} dx + \int_0^1 (2-x) dx$$
ここで、第1項の被積分関数は分子の次数が分母の次数以上であるため、割り算を行って次数を下げる。
$$x^2+4 = (x+2)(x-2) + 8$$
より、
$$\frac{x^2+4}{x+2} = x-2 + \frac{8}{x+2}$$
と変形できる。よって、
$$\int_{-1}^0 \left( x-2 + \frac{8}{x+2} \right) dx + \int_0^1 (2-x) dx$$
$$= \left[ \frac{1}{2}x^2 - 2x + 8\log(x+2) \right]_{-1}^0 + \left[ 2x - \frac{1}{2}x^2 \right]_0^1$$
絶対値記号は積分区間内で $x+2 > 0$ であるため省いている。それぞれの値を代入して計算する。 前半部分は、
$$(0 - 0 + 8\log 2) - \left( \frac{1}{2} + 2 + 8\log 1 \right) = 8\log 2 - \frac{5}{2}$$
後半部分は、
$$\left( 2 - \frac{1}{2} \right) - 0 = \frac{3}{2}$$
これらを足し合わせて、
$$8\log 2 - \frac{5}{2} + \frac{3}{2} = 8\log 2 - 1$$
解説
絶対値を含む関数の微積分に関する標準的な問題である。 (1) では、微分の公式をいきなり使うのではなく、関数の分岐点における微分係数であるため、定義に立ち返って左右の微分係数の一致を確認することが基本となる。 (2) では、「微分可能」と「導関数が連続」の違いに注意が必要である。一般に、導関数が連続であることを示すには、各区間で導関数を求めた上でその極限が微分係数と一致することを示す必要がある。 (3) では、定積分の区間分割と、分数関数(有理関数)の積分の基本手技である「分子の次数を下げる」操作が問われている。いずれも基本に忠実に処理すれば確実に得点できる問題である。
答え
(1)
$f'(0) = -1$
(2)
$\lim_{x \to 0} f'(x) = -1 = f'(0)$ が成り立つことから示された。
(3)
$8\log 2 - 1$
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