トップ 基礎問題 数学3 積分法 定積分・面積 問題 139

数学3 定積分・面積 問題 139 解説

数学3 定積分・面積 問題 139 解説

方針・初手

(1) は、与えられた $g(x)$ の定義式に具体的な値を代入し、定積分 $f(1), f(-1), f(0)$ の値を計算する。この定積分は $t = \tan \theta$ の置換積分を用いる典型的な形である。 (2) は、関数 $g(x)$ のグラフをかくために、直接積分するのではなく導関数 $g'(x)$ を計算する。微積分学の基本定理を用いて $f'(x)$ を求め、合成関数の微分法を用いると、$g'(x)$ が非常に単純な形になることに着目する。

解法1

(1)

与えられた関数 $g(x)$ に $x=1$ を代入すると、

$$g(1) = 2f(1) + f(0)$$

となる。ここで $f(1)$ は、

$$f(1) = \int_{0}^{1} \frac{1}{1+t^2} dt$$

である。$t = \tan \theta$ とおくと、

$$dt = \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta$$

であり、積分区間は $t: 0 \to 1$ に対応して $\theta: 0 \to \frac{\pi}{4}$ となる。

$$\begin{aligned} f(1) &= \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{1+\tan^2 \theta} \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\ &= \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \cos^2 \theta \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\ &= \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} 1 d\theta \\ &= \left[ \theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{4}} = \frac{\pi}{4} \end{aligned}$$

また、$f(0)$ は積分区間が $0 \to 0$ であるため、

$$f(0) = \int_{0}^{0} \frac{1}{1+t^2} dt = 0$$

である。これらを $g(1)$ の式に代入して、

$$g(1) = 2 \cdot \frac{\pi}{4} + 0 = \frac{\pi}{2}$$

を得る。

次に $x=-1$ のとき、

$$g(-1) = 2f(-1) + f(0)$$

である。$f(-1)$ を計算するために、同様に $t = \tan \theta$ とおくと、積分区間は $t: 0 \to -1$ に対応して $\theta: 0 \to -\frac{\pi}{4}$ となる。

$$\begin{aligned} f(-1) &= \int_{0}^{-\frac{\pi}{4}} \frac{1}{1+\tan^2 \theta} \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\ &= \int_{0}^{-\frac{\pi}{4}} 1 d\theta \\ &= \left[ \theta \right]_{0}^{-\frac{\pi}{4}} = -\frac{\pi}{4} \end{aligned}$$

これを $g(-1)$ の式に代入して、

$$g(-1) = 2 \cdot \left( -\frac{\pi}{4} \right) + 0 = -\frac{\pi}{2}$$

を得る。

(2)

微積分学の基本定理より、

$$f'(x) = \frac{1}{1+x^2}$$

である。$x \neq 0$ において、合成関数の微分法を用いて $g(x)$ を微分する。

$$\begin{aligned} g'(x) &= 2f'(x) + f'\left(\frac{1-x^2}{2x}\right) \cdot \left(\frac{1-x^2}{2x}\right)' \\ &= \frac{2}{1+x^2} + \frac{1}{1+\left(\frac{1-x^2}{2x}\right)^2} \cdot \frac{-2x \cdot 2x - (1-x^2) \cdot 2}{(2x)^2} \\ &= \frac{2}{1+x^2} + \frac{4x^2}{4x^2+(1-x^2)^2} \cdot \frac{-4x^2 - 2 + 2x^2}{4x^2} \\ &= \frac{2}{1+x^2} + \frac{4x^2}{x^4+2x^2+1} \cdot \frac{-2x^2-2}{4x^2} \\ &= \frac{2}{1+x^2} + \frac{4x^2}{(1+x^2)^2} \cdot \frac{-2(1+x^2)}{4x^2} \\ &= \frac{2}{1+x^2} - \frac{2}{1+x^2} \\ &= 0 \end{aligned}$$

$g'(x) = 0$ であることから、$g(x)$ は区間 $x>0$ および区間 $x<0$ のそれぞれにおいて定数関数であることがわかる。

(1) の結果より、$x>0$ の区間には $x=1$ が含まれており、$g(1) = \frac{\pi}{2}$ であるため、この区間で常に $g(x) = \frac{\pi}{2}$ となる。 同様に、$x<0$ の区間には $x=-1$ が含まれており、$g(-1) = -\frac{\pi}{2}$ であるため、この区間で常に $g(x) = -\frac{\pi}{2}$ となる。

したがって、求めるグラフは、 $x>0$ において半直線 $y = \frac{\pi}{2}$ $x<0$ において半直線 $y = -\frac{\pi}{2}$ となる(ただし、それぞれの端点である $y$ 軸上の点は含まない)。

解説

逆三角関数である $\arctan x$ に関連する有名な恒等式を背景に持つ問題である。 (2) において、定積分で表された関数を直接計算せずに、微分して $0$ になることを示す手法は、入試数学における定数関数の証明として極めて重要である。積分区間に変数を含む関数の微分公式 $\frac{d}{dx}\int_{a}^{x} h(t) dt = h(x)$ を正確に運用できるかが問われている。

答え

(1) $g(1) = \frac{\pi}{2}, \ g(-1) = -\frac{\pi}{2}$

(2) $x>0$ の範囲では $y = \frac{\pi}{2}$ を満たす半直線、$x<0$ の範囲では $y = -\frac{\pi}{2}$ を満たす半直線を描く。グラフは $x$ 軸に平行な2本の半直線からなり、$y$ 軸上の点($x=0$ の点)は含まれない。

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