数学3 定積分・面積 問題 152 解説

方針・初手
等比数列の和から生じる多項式列の極限と積分を考える問題である。 まず (1) で与えられた関数 $f_n(x)$ を等比数列の和の公式を用いて閉じた形(シグマを使わない形)で表し、極限を求める。(2) は $x = \tan\theta$ と置換する典型的な定積分計算である。 (3) は (1) の結果から誤差項(剰余項)を作り、積分区間における被積分関数の最大・最小を考えて不等式を評価する。(4) は $f_n(x)$ を項別積分して直接計算する。 最後に (5) は、(3) の不等式ではさみうちの原理を用いて極限を求め、(4) の式と結びつけることで無限級数の和を求める。この一連の流れは、グレゴリー・ライプニッツ級数とその類似級数を導く標準的な手法である。
解法1
(1)
$f_n(x)$ は、初項 $1$、公比 $-x^2$、項数 $2n+1$ の等比数列の和である。$0 < x < 1$ より公比は $-x^2 \neq 1$ であるから、和の公式を用いると
$$f_n(x) = \frac{1 - (-x^2)^{2n+1}}{1 - (-x^2)} = \frac{1 + x^{4n+2}}{1+x^2}$$
となる。$0 < x < 1$ のとき $\lim_{n \to \infty} x^{4n+2} = 0$ であるから、
$$\lim_{n \to \infty} f_n(x) = \frac{1}{1+x^2}$$
となる。
(2)
$$I = \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} \frac{dx}{1+x^2}$$
とおく。$x = \tan\theta$ と置換すると、$dx = \frac{1}{\cos^2\theta} d\theta$ であり、積分区間は $x: 0 \to \frac{1}{\sqrt{3}}$ に対応して $\theta: 0 \to \frac{\pi}{6}$ となる。
$$I = \int_0^{\frac{\pi}{6}} \frac{1}{1+\tan^2\theta} \cdot \frac{1}{\cos^2\theta} d\theta = \int_0^{\frac{\pi}{6}} 1 d\theta = \left[ \theta \right]_0^{\frac{\pi}{6}} = \frac{\pi}{6}$$
(3)
(1) の計算の途中式から、
$$f_n(x) - \frac{1}{1+x^2} = \frac{1+x^{4n+2}}{1+x^2} - \frac{1}{1+x^2} = \frac{x^{4n+2}}{1+x^2}$$
である。積分区間 $0 \leqq x \leqq \frac{1}{\sqrt{3}}$ において、$x^{4n+2} \geqq 0$ かつ $1+x^2 \geqq 1$ であるから、
$$0 \leqq \frac{x^{4n+2}}{1+x^2} \leqq x^{4n+2}$$
が成り立つ。ここで等号が成立するのは $x=0$ のときのみであり、積分区間全体で常に等号が成り立つわけではない。したがって、各辺を $0$ から $\frac{1}{\sqrt{3}}$ まで定積分すると狭義の不等号が成立し、
$$0 < \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} \frac{x^{4n+2}}{1+x^2} dx < \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} x^{4n+2} dx$$
となる。右辺の定積分を計算すると、
$$\int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} x^{4n+2} dx = \left[ \frac{x^{4n+3}}{4n+3} \right]_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} = \frac{1}{4n+3}\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)^{4n+3}$$
以上より、
$$0 < \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} \left( f_n(x) - \frac{1}{1+x^2} \right) dx < \frac{1}{4n+3} \left( \frac{1}{\sqrt{3}} \right)^{4n+3}$$
が成立することが示された。
(4)
与えられた $f_n(x)$ の定義式をそのまま定積分する。
$$\int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} f_n(x) dx = \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} \left( 1 + \sum_{k=1}^{2n} (-1)^k x^{2k} \right) dx$$
和の積分は積分の和に分けることができるので、
$$\int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} f_n(x) dx = \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} 1 dx + \sum_{k=1}^{2n} (-1)^k \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} x^{2k} dx$$
$$= \left[ x \right]_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} + \sum_{k=1}^{2n} (-1)^k \left[ \frac{x^{2k+1}}{2k+1} \right]_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}}$$
$$= \frac{1}{\sqrt{3}} + \sum_{k=1}^{2n} \frac{(-1)^k}{2k+1} \left( \frac{1}{\sqrt{3}} \right)^{2k+1}$$
となり、題意の等式が成立することが示された。
(5)
(3) で得られた不等式において $n \to \infty$ の極限をとる。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{4n+3}\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right)^{4n+3} = 0$$
であるから、はさみうちの原理より
$$\lim_{n \to \infty} \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} \left( f_n(x) - \frac{1}{1+x^2} \right) dx = 0$$
すなわち、(2) の結果も用いると
$$\lim_{n \to \infty} \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} f_n(x) dx = \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} \frac{dx}{1+x^2} = \frac{\pi}{6}$$
となる。一方で、(4) の等式において $n \to \infty$ の極限をとると、右辺のシグマは無限級数となる。ここで、シグマの中の項を整理すると、
$$\left( \frac{1}{\sqrt{3}} \right)^{2k+1} = \frac{1}{\sqrt{3}} \left( \left( \frac{1}{\sqrt{3}} \right)^2 \right)^k = \frac{1}{\sqrt{3}} \left( \frac{1}{3} \right)^k$$
であるから、
$$\lim_{n \to \infty} \int_0^{\frac{1}{\sqrt{3}}} f_n(x) dx = \frac{1}{\sqrt{3}} + \frac{1}{\sqrt{3}} \sum_{k=1}^{\infty} \frac{(-1)^k}{2k+1} \left( \frac{1}{3} \right)^k$$
と表せる。極限値は一致しなければならないので、
$$\frac{\pi}{6} = \frac{1}{\sqrt{3}} + \frac{1}{\sqrt{3}} \sum_{k=1}^{\infty} \frac{(-1)^k}{2k+1} \left( \frac{1}{3} \right)^k$$
求める無限級数の和を $S$ として解くと、
$$S = \sqrt{3} \left( \frac{\pi}{6} - \frac{1}{\sqrt{3}} \right) = \frac{\sqrt{3}\pi}{6} - 1$$
を得る。
解説
大学入試で頻出の、定積分を用いた無限級数の和を求める問題である。$\frac{1}{1+x} = 1 - x + x^2 - x^3 + \cdots$ という関係式を利用して、特定の無限級数(有名なものとして $\sum \frac{(-1)^n}{2n+1} = \frac{\pi}{4}$ となるライプニッツ級数がある)の値を得る背景がある。 等比数列の和を用いて $f_n(x)$ を変形し、積分区間における不等式評価によってはさみうちの原理を適用する流れは完全にパターン化されているため、一度経験しておけば見通しよく解答できるはずである。(5) において、指数の $2k+1$ を適切に分解して $\frac{1}{3}$ をくくり出す変形が最後のポイントとなる。
答え
(1) $\frac{1}{1+x^2}$
(2) $\frac{\pi}{6}$
(3) 証明略(解法参照)
(4) 証明略(解法参照)
(5) $\frac{\sqrt{3}\pi}{6} - 1$
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