数学3 定積分・面積 問題 207 解説

方針・初手
積分の被積分関数 $\cos ax \cos bx \cos cx$ を、三角関数の積和の公式を用いて和の形に変形する。定積分 $\int_0^\pi \cos nx \,dx$ は、整数 $n \neq 0$ のときは $0$ となり、$n=0$ のときのみ $\pi$ となることを利用して、与えられた不等式が成立する $a, b, c$ の条件を求める。
解法1
与えられた定積分を $I$ とする。
$$I = \int_0^\pi \cos ax \cos bx \cos cx \,dx$$
積和の公式 $\cos A \cos B = \frac{1}{2} \{ \cos(A+B) + \cos(A-B) \}$ を用いて被積分関数を変形する。
$$\begin{aligned} \cos ax \cos bx \cos cx &= \frac{1}{2} \{ \cos(a+b)x + \cos(a-b)x \} \cos cx \\ &= \frac{1}{4} \{ \cos(a+b+c)x + \cos(a+b-c)x + \cos(a-b+c)x + \cos(a-b-c)x \} \end{aligned}$$
ここで、$n$ を整数とするとき、定積分 $\int_0^\pi \cos nx \,dx$ は、 $n \neq 0$ のとき
$$\int_0^\pi \cos nx \,dx = \left[ \frac{1}{n} \sin nx \right]_0^\pi = 0$$
$n = 0$ のとき
$$\int_0^\pi \cos nx \,dx = \int_0^\pi 1 \,dx = \pi$$
となる。
$a, b, c$ はさいころの目であるから、$1 \leqq a, b, c \leqq 6$ を満たす整数である。 したがって、$a+b+c, a+b-c, a-b+c, a-b-c$ はすべて整数であり、かつ $a+b+c \geqq 3$ であるから、$a+b+c=0$ となることはない。
ゆえに、$I > 0$ となるのは、$a+b-c=0, a-b+c=0, a-b-c=0$ の少なくとも1つが成り立つときであり、このとき $n=0$ となる項から積分値として $\frac{\pi}{4}$ が生じて $I > 0$ を満たす。 すなわち、条件は
$$c = a+b \quad \text{または} \quad b = a+c \quad \text{または} \quad a = b+c$$
である。これらは $a, b, c$ のうちの1つが残りの2つの和に等しいことを意味する。
$a, b, c$ は正の整数であるため、これらの3つの等式のうち2つ以上が同時に成り立つことはない(例えば $a=b+c$ かつ $b=a+c$ とすると、辺々足して $a+b=a+b+2c$ より $c=0$ となり、さいころの目であることに矛盾する)。よって、これら3つの事象は互いに排反である。
(i) $a = b+c$ となる場合
$a$ は $2$ 以上の整数となるため、それぞれの場合について $(b, c)$ の組を調べる。
- $a=2$ のとき、$(b, c) = (1, 1)$ の1通り
- $a=3$ のとき、$(b, c) = (1, 2), (2, 1)$ の2通り
- $a=4$ のとき、$(b, c) = (1, 3), (2, 2), (3, 1)$ の3通り
- $a=5$ のとき、$(b, c) = (1, 4), (2, 3), (3, 2), (4, 1)$ の4通り
- $a=6$ のとき、$(b, c) = (1, 5), (2, 4), (3, 3), (4, 2), (5, 1)$ の5通り
これらを合計して、$1+2+3+4+5=15$ 通り。
(ii) $b = a+c$ となる場合
(i) と同様にして、$(a, c)$ の組み合わせから 15通り。
(iii) $c = a+b$ となる場合
(i) と同様にして、$(a, b)$ の組み合わせから 15通り。
したがって、$I > 0$ を満たす $(a, b, c)$ の組の総数は
$$15 + 15 + 15 = 45 \text{(通り)}$$
さいころの目の出方の総数は $6^3 = 216$ 通りであるから、求める確率は
$$\frac{45}{216} = \frac{5}{24}$$
解説
三角関数の積を和に直す公式と、$\cos$ 関数の基本周期に関する定積分の性質を組み合わせた典型問題である。
一般に整数 $n$ について $\int_0^\pi \cos nx \,dx$ は $n=0$ のときのみ値($\pi$)を持ち、$n \neq 0$ では $0$ となる。この性質により、積分値が正になるかどうかは、展開した被積分関数の中に定数項($n=0$ となる項)が存在するかどうかを調べることに帰着できる。
また、「3つの変数のうち1つが残り2つの和になる」という事象が互いに排反であることを確認した上で、丁寧に数え上げることが重要である。
答え
$\frac{5}{24}$
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