数学3 定積分・面積 問題 216 解説

方針・初手
与えられた分数の極限を求める問題である。分子は $(1+2+\cdots+n)^5$ であり、和の公式から $n^2$ の定数倍の式を $5$ 乗するため、全体の次数は $n^{10}$ となる。分母は $(1+2^4+\cdots+n^4)^2$ であり、同様に和の公式を考えると $n^5$ の定数倍の式を $2$ 乗するため、こちらも全体の次数は $n^{10}$ となる。
したがって、分母分子を $n^{10}$ で割ることで極限が求まることが予想できる。このとき、区分求積法の形を作り出すことで、複雑な $4$ 乗の和の公式を用いずに計算することが可能である。
解法1
求める極限を $L$ とする。与式の分母分子を $n^{10}$ で割ると、次のように変形できる。
$$\begin{aligned} L &= \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{1}{n^{10}} (1+2+3+\cdots+n)^5}{\frac{1}{n^{10}} (1+2^4+3^4+\cdots+n^4)^2} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left\{ \frac{1}{n^2} \sum_{k=1}^n k \right\}^5}{\left\{ \frac{1}{n^5} \sum_{k=1}^n k^4 \right\}^2} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left\{ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \frac{k}{n} \right\}^5}{\left\{ \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^4 \right\}^2} \end{aligned}$$
ここで、区分求積法より、定積分を用いて極限値を計算できる。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \frac{k}{n} = \int_0^1 x \, dx = \left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_0^1 = \frac{1}{2}$$
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n \left(\frac{k}{n}\right)^4 = \int_0^1 x^4 \, dx = \left[ \frac{1}{5}x^5 \right]_0^1 = \frac{1}{5}$$
これらを $L$ の式に代入する。
$$L = \frac{\left( \frac{1}{2} \right)^5}{\left( \frac{1}{5} \right)^2} = \frac{\frac{1}{32}}{\frac{1}{25}} = \frac{25}{32}$$
解法2
自然数の累乗の和の性質を利用して解く。
分子の和について、公式より以下が成り立つ。
$$\sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}n(n+1) = \frac{1}{2}n^2 + \frac{1}{2}n$$
分母の和について、$S = \sum_{k=1}^n k^4$ とおく。恒等式 $(k+1)^5 - k^5 = 5k^4 + 10k^3 + 10k^2 + 5k + 1$ において、$k=1, 2, \cdots, n$ を代入して辺々を加えると、左辺は $(n+1)^5 - 1$ となり、$n$ の $5$ 次式で最高次の項は $n^5$ である。右辺は $5S + (\text{4次以下の式})$ となる。 したがって、これを $S$ について解くと、$S$ は $n$ の $5$ 次式であり、最高次の項の係数は $\frac{1}{5}$ であることがわかる。すなわち、ある $n$ の $4$ 次以下の多項式 $P(n)$ を用いて次のように表せる。
$$\sum_{k=1}^n k^4 = \frac{1}{5}n^5 + P(n)$$
これらを与式に代入する。
$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \frac{\left( \sum_{k=1}^n k \right)^5}{\left( \sum_{k=1}^n k^4 \right)^2} &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left( \frac{1}{2}n^2 + \frac{1}{2}n \right)^5}{\left( \frac{1}{5}n^5 + P(n) \right)^2} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{n^{10} \left( \frac{1}{2} + \frac{1}{2n} \right)^5}{n^{10} \left( \frac{1}{5} + \frac{P(n)}{n^5} \right)^2} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\left( \frac{1}{2} + \frac{1}{2n} \right)^5}{\left( \frac{1}{5} + \frac{P(n)}{n^5} \right)^2} \end{aligned}$$
ここで、$P(n)$ は $4$ 次以下の多項式であるため、$\lim_{n \to \infty} \frac{P(n)}{n^5} = 0$ となる。よって極限値は次のように計算できる。
$$\frac{\left( \frac{1}{2} \right)^5}{\left( \frac{1}{5} \right)^2} = \frac{25}{32}$$
解説
無限級数の和の極限を求める典型問題である。分子分母の次数を見極め、適切な $n$ の累乗で割る操作が鍵となる。
本問において、分母の $\sum k^4$ の公式を暗記している必要はない。解法1のように定積分(区分求積法)に帰着させるのが最も鮮やかで計算ミスも少ない有効な方針である。和の極限において「$\frac{1}{n}$」と「$\frac{k}{n}$ の関数」の形を作り出すという基本動作を定着させておきたい。解法2は、累乗の和を多項式として捉え、その最高次の項のみに注目するという代数的なアプローチである。
答え
$$\frac{25}{32}$$
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