数学3 定積分・面積 問題 247 解説

方針・初手
(1)の不等式証明は、(ア)については差の関数を作って微分による増減を調べる。(イ)については、(ア)の結果を利用して式変形を行う。すべての実数 $x$ で成り立つことを用いて、$x$ に特定の式を代入することがポイントである。 (2)の定積分の不等式は、被積分関数 $e^{-x^2}$ の原始関数が初等関数で表せないため、直接積分することはできない。(1)(イ)で示した不等式を区間 $[0, 1]$ で積分することで、求める不等式を導く。
解法1
(1)(ア)
$f(x) = e^x - (1+x)$ とおく。 $f(x)$ はすべての実数 $x$ において微分可能であり、
$$f'(x) = e^x - 1$$
$f'(x) = 0$ となるのは $e^x = 1$ より $x=0$ のときである。 $x < 0$ のとき $f'(x) < 0$ であり、$x > 0$ のとき $f'(x) > 0$ であるから、$f(x)$ は $x=0$ において最小値をとる。 その最小値は、
$$f(0) = e^0 - (1+0) = 1 - 1 = 0$$
よって、すべての実数 $x$ において $f(x) \geqq 0$ が成り立つため、
$$1+x \leqq e^x$$
が示された。(等号成立は $x=0$ のとき)
(1)(イ)
(ア)で示した不等式 $1+t \leqq e^t$ はすべての実数 $t$ について成り立つ。 $t$ を $-x^2$ に置き換えると、
$$1-x^2 \leqq e^{-x^2}$$
となり、左側の不等式が示された。 また、(ア)の不等式において $t$ を $x^2$ に置き換えると、
$$1+x^2 \leqq e^{x^2}$$
すべての実数 $x$ において $1+x^2 > 0$ であり、$e^{x^2} > 0$ である。 両辺ともに正であるから、両辺の逆数をとると大小関係が反転し、
$$\frac{1}{1+x^2} \geqq \frac{1}{e^{x^2}}$$
すなわち、
$$e^{-x^2} \leqq \frac{1}{1+x^2}$$
が成り立つ。これにより右側の不等式が示された。 以上より、すべての実数 $x$ に対して、
$$1-x^2 \leqq e^{-x^2} \leqq \frac{1}{1+x^2}$$
が示された。
(2)
(1)(イ)より、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において、
$$1-x^2 \leqq e^{-x^2} \leqq \frac{1}{1+x^2}$$
が成り立つ。 ここで、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において、関数 $1-x^2$、$e^{-x^2}$、$\frac{1}{1+x^2}$ は連続である。 また、これらは常に等しいわけではない(たとえば $x=1$ のとき、$1-x^2 = 0$、$e^{-x^2} = e^{-1}$、$\frac{1}{1+x^2} = \frac{1}{2}$ となり、それぞれ異なる値をとる)。 したがって、区間 $[0, 1]$ で定積分すると等号が外れ、厳密な不等号が成り立つ。
$$\int_{0}^{1} (1-x^2) dx < \int_{0}^{1} e^{-x^2} dx < \int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^2} dx$$
各辺の定積分を計算する。 左辺については、
$$\int_{0}^{1} (1-x^2) dx = \left[ x - \frac{x^3}{3} \right]_{0}^{1} = 1 - \frac{1}{3} = \frac{2}{3}$$
右辺については、$x = \tan \theta$ とおく置換積分を行う。 $x$ と $\theta$ の対応は以下のようになる。 $x : 0 \to 1$ のとき、$\theta : 0 \to \frac{\pi}{4}$ である。 また、$dx = \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta$ であるから、
$$\begin{aligned} \int_{0}^{1} \frac{1}{1+x^2} dx &= \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{1+\tan^2 \theta} \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\ &= \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \cos^2 \theta \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\ &= \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} 1 d\theta \\ &= \left[ \theta \right]_{0}^{\frac{\pi}{4}} \\ &= \frac{\pi}{4} \end{aligned}$$
以上より、
$$\frac{2}{3} < \int_{0}^{1} e^{-x^2} dx < \frac{\pi}{4}$$
が示された。
解説
関数の大小関係を利用して、積分できない関数の定積分の値を評価する典型問題である。 (1)(イ)で(ア)を利用する際、「すべての実数で成り立つ」という条件を生かし、$x$ の代わりに $-x^2$ や $x^2$ を代入する発想は非常に重要である。 (2)における定積分の評価では、被積分関数が積分区間で常に一致するわけではないため、等号付きの不等式から等号が外れる論理を記述することが求められる。これを書き忘れると減点対象になる可能性が高いため注意したい。また、$\frac{1}{1+x^2}$ の積分が $x = \tan \theta$ の置換積分となることは、定積分の基本事項として確実に身につけておくべきである。
答え
(1)(ア) 示された(本文参照)
(1)(イ) 示された(本文参照)
(2) 示された(本文参照)
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