数学3 定積分・面積 問題 257 解説

方針・初手
(1) 分母に根号を含む形である。分母・分子に $\sqrt{x+1}-1$ を掛けて分母の根号を消去する有理化の変形が有効である。または、根号部分全体を $t$ と置換してもよい。
(2) 指数関数と三角関数の積の積分である。部分積分を2回行い、元の積分と同じ形を作り出して方程式として解く(同形出現)のが定石である。
(3) 絶対値を含む定積分である。絶対値記号の中身である $x-1$ の正負が変わる $x=1$ を境にして、積分区間を分割して計算する。
解法1
(1)
被積分関数の分母・分子に $\sqrt{x+1}-1$ を掛ける。
$$\begin{aligned} \int \frac{x}{\sqrt{x+1}+1} dx &= \int \frac{x(\sqrt{x+1}-1)}{(\sqrt{x+1}+1)(\sqrt{x+1}-1)} dx \\ &= \int \frac{x(\sqrt{x+1}-1)}{(x+1)-1} dx \\ &= \int \frac{x(\sqrt{x+1}-1)}{x} dx \\ &= \int (\sqrt{x+1}-1) dx \end{aligned}$$
これを積分して、求める不定積分は以下のようになる($C$ は積分定数とする)。
$$\int (\sqrt{x+1}-1) dx = \frac{2}{3}(x+1)^{\frac{3}{2}} - x + C$$
(2)
求める積分を $I = \int \cos(x) e^{ax} dx$ とおく。部分積分を2回適用する。
$$\begin{aligned} I &= \int (\sin x)' e^{ax} dx \\ &= \sin(x) e^{ax} - \int \sin(x) \cdot a e^{ax} dx \\ &= e^{ax} \sin x - a \int (-\cos x)' e^{ax} dx \\ &= e^{ax} \sin x - a \left\{ -\cos(x) e^{ax} - \int (-\cos x) \cdot a e^{ax} dx \right\} \\ &= e^{ax} \sin x + a e^{ax} \cos x - a^2 \int \cos(x) e^{ax} dx \\ &= e^{ax}(\sin x + a \cos x) - a^2 I \end{aligned}$$
したがって、以下の式が成り立つ。
$$(1+a^2)I = e^{ax}(a \cos x + \sin x)$$
$a$ は実数定数であり $1+a^2 \neq 0$ であるから、両辺を $1+a^2$ で割る。積分定数 $C$ を付加して、以下の結果を得る。
$$I = \frac{e^{ax}}{a^2+1}(a \cos x + \sin x) + C$$
(3)
絶対値記号の中身 $x-1$ は、$x \geqq 1$ のとき正または $0$、$x < 1$ のとき負である。積分区間 $0 \leqq x \leqq 2$ を $x=1$ で分割する。
$$\begin{aligned} \int_{0}^{2} |x-1| dx &= \int_{0}^{1} -(x-1) dx + \int_{1}^{2} (x-1) dx \\ &= \left[ -\frac{1}{2}x^2 + x \right]_{0}^{1} + \left[ \frac{1}{2}x^2 - x \right]_{1}^{2} \\ &= \left( -\frac{1}{2} + 1 \right) - 0 + (2 - 2) - \left( \frac{1}{2} - 1 \right) \\ &= \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \\ &= 1 \end{aligned}$$
解法2
(1)の別解
$t = \sqrt{x+1}$ とおく。両辺を2乗すると $x = t^2-1$ であり、両辺を微分すると $dx = 2t dt$ となる。
$$\begin{aligned} \int \frac{x}{\sqrt{x+1}+1} dx &= \int \frac{t^2-1}{t+1} \cdot 2t dt \\ &= \int \frac{(t+1)(t-1)}{t+1} \cdot 2t dt \\ &= \int 2t(t-1) dt \\ &= \int (2t^2 - 2t) dt \\ &= \frac{2}{3}t^3 - t^2 + C' \quad (C' \text{は積分定数}) \end{aligned}$$
$t = \sqrt{x+1}$ を代入して $x$ の式に戻す。
$$\begin{aligned} \frac{2}{3}(x+1)^{\frac{3}{2}} - (x+1) + C' &= \frac{2}{3}(x+1)^{\frac{3}{2}} - x - 1 + C' \\ &= \frac{2}{3}(x+1)^{\frac{3}{2}} - x + C \end{aligned}$$
($C = C'-1$ とおいた。$C$ は任意の定数である)
(2)の別解
$e^{ax} \sin x$ と $e^{ax} \cos x$ の微分を考える。
$$\begin{aligned} (e^{ax} \sin x)' &= a e^{ax} \sin x + e^{ax} \cos x \quad \cdots \text{①} \\ (e^{ax} \cos x)' &= a e^{ax} \cos x - e^{ax} \sin x \quad \cdots \text{②} \end{aligned}$$
右辺から $\sin x$ の項を消去するため、① $+ \text{②} \times a$ を計算する。
$$(e^{ax} \sin x)' + a(e^{ax} \cos x)' = (a^2+1)e^{ax} \cos x$$
両辺を積分する。
$$\int (a^2+1)e^{ax} \cos x dx = e^{ax} \sin x + a e^{ax} \cos x + C' \quad (C' \text{は積分定数})$$
$a^2+1 \neq 0$ であるから、両辺を $a^2+1$ で割る。
$$\int \cos(x)e^{ax} dx = \frac{e^{ax}}{a^2+1}(a \cos x + \sin x) + C \quad \left( C = \frac{C'}{a^2+1} \right)$$
(3)の別解
定積分 $\int_{0}^{2} |x-1| dx$ は、座標平面上における関数 $y = |x-1|$ のグラフと $x$ 軸、および $2$ 直線 $x=0, x=2$ で囲まれた図形の面積を表す。
$y = |x-1|$ のグラフは点 $(1, 0)$ を頂点とするV字型の折れ線であり、求める面積は底辺が $1$、高さが $1$ の直角三角形 $2$ つ分の面積の和となる。
$$2 \times \left( \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \right) = 1$$
解説
いずれも基本的な積分の計算問題である。確実に完答したい。
(1) は、分母が $\sqrt{A}+B$ の形をしているため、共役な無理式である $\sqrt{A}-B$ を分母分子に掛ける操作が最も簡明である。根号を丸ごと置換する方法も有力であり、無理関数の積分における定石である。
(2) は「指数関数 $\times$ 三角関数」の積分であり、部分積分を2回行う解法が王道である。微分公式の逆算(解法2)は、記述量を減らすことができるため、計算ミスを防ぐ手段として有用である。
(3) は絶対値を含む定積分であり、中身の符号で区間を分けるのが基本原則である。本問のように被積分関数が1次式の絶対値の場合は、グラフを描いて図形の面積として求めることで、素早くかつ正確に計算できる。
答え
(1) $\frac{2}{3}(x+1)^{\frac{3}{2}} - x + C$ ($C$ は積分定数)
(2) $\frac{e^{ax}}{a^2+1}(a \cos x + \sin x) + C$ ($C$ は積分定数)
(3) $1$
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