数学3 定積分・面積 問題 261 解説

方針・初手
(1)と(2)は指定された領域の面積を定積分を用いて計算する。(2)では、$y$ 軸を基準とした積分になるため、$y = x^{p-1}$ を $x$ について解き、$\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ の関係式を利用して指数を $q$ で表す。(3)は(1)と(2)で求めた面積の和と長方形の面積を比較する図形的な方法、または微積分を用いて関数の最小値を求める方法で証明できる。(4)は(3)で証明した不等式に $s = |f(x)|$、$t = |g(x)|$ を代入し、両辺を定積分することで示される。
解法1
(1)
$p > 1$ より $p-1 > 0$ であるから、曲線 $y = x^{p-1}$ ($x \geqq 0$) は原点を通り、単調に増加する。 求める面積を $S_1$ とすると、
$$S_1 = \int_0^s x^{p-1} dx = \left[ \frac{x^p}{p} \right]_0^s = \frac{s^p}{p}$$
(2)
曲線 $y = x^{p-1}$ ($x \geqq 0$) を $x$ について解くと、$x = y^{\frac{1}{p-1}}$ である。 ここで、条件 $\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ より、
$$\frac{1}{q} = 1 - \frac{1}{p} = \frac{p-1}{p}$$
$$q = \frac{p}{p-1}$$
これを用いると、指数の部分は次のように変形できる。
$$q - 1 = \frac{p}{p-1} - 1 = \frac{1}{p-1}$$
したがって、$x = y^{q-1}$ と表せる。 求める面積を $S_2$ とすると、
$$S_2 = \int_0^t y^{q-1} dy = \left[ \frac{y^q}{q} \right]_0^t = \frac{t^q}{q}$$
(3)
$t \geqq 0$ を任意に固定し、$s$ の関数 $F(s)$ を次のように定義する。
$$F(s) = \frac{s^p}{p} + \frac{t^q}{q} - st \quad (s \geqq 0)$$
$F(s)$ を $s$ について微分すると、
$$F'(s) = s^{p-1} - t$$
$F'(s) = 0$ となるのは $s^{p-1} = t$ のときであり、(2)の変形から $s = t^{\frac{1}{p-1}} = t^{q-1}$ のときである。 $s \geqq 0$ における $F(s)$ の増減表は以下のようになる。
$$\begin{array}{c|c|c|c|c} \hline s & 0 & \cdots & t^{q-1} & \cdots \\ \hline F'(s) & & - & 0 & + \\ \hline F(s) & \frac{t^q}{q} & \searrow & \text{極小かつ最小} & \nearrow \\ \hline \end{array}$$
ここで、$s = t^{q-1}$ のときの最小値 $F(t^{q-1})$ を計算する。
$$F(t^{q-1}) = \frac{(t^{q-1})^p}{p} + \frac{t^q}{q} - t^{q-1} \cdot t = \frac{t^{(q-1)p}}{p} + \frac{t^q}{q} - t^q$$
$(q-1)p = \frac{1}{p-1} \cdot p = q$ であるから、
$$F(t^{q-1}) = \frac{t^q}{p} + \frac{t^q}{q} - t^q = t^q \left( \frac{1}{p} + \frac{1}{q} - 1 \right)$$
条件 $\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ より、
$$F(t^{q-1}) = t^q (1 - 1) = 0$$
したがって、$s \geqq 0$ において $F(s) \geqq 0$ が成り立つので、
$$st \leqq \frac{s^p}{p} + \frac{t^q}{q}$$
が示された。
(4)
(3)の不等式において、$s = |f(x)|$、$t = |g(x)|$ とおくと、
$$|f(x)||g(x)| \leqq \frac{|f(x)|^p}{p} + \frac{|g(x)|^q}{q}$$
$$|f(x)g(x)| \leqq \frac{1}{p} |f(x)|^p + \frac{1}{q} |g(x)|^q$$
この不等式の両辺を $x$ について $a$ から $b$ まで定積分する。
$$\int_a^b |f(x)g(x)| dx \leqq \int_a^b \left( \frac{1}{p} |f(x)|^p + \frac{1}{q} |g(x)|^q \right) dx$$
右辺は積分の線形性より次のように分けられる。問題文の表記 $|f(x)^p|$ は実数の累乗であるため $|f(x)|^p$ と等しいことに注意する。
$$\int_a^b |f(x)g(x)| dx \leqq \frac{1}{p} \int_a^b |f(x)|^p dx + \frac{1}{q} \int_a^b |g(x)|^q dx$$
条件より $\int_a^b |f(x)|^p dx = 1$、$\int_a^b |g(x)|^q dx = 1$ であるから、代入すると、
$$\int_a^b |f(x)g(x)| dx \leqq \frac{1}{p} \cdot 1 + \frac{1}{q} \cdot 1 = \frac{1}{p} + \frac{1}{q}$$
$\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ であるから、
$$\int_a^b |f(x)g(x)| dx \leqq 1$$
が示された。
解法2
(3)の別解(面積を用いた証明)
$s > 0$、$t > 0$ とする。 座標平面上の領域 $D$ を、$x$ 軸、$y$ 軸、直線 $x = s$、直線 $y = t$ で囲まれた長方形の領域とする。この長方形の面積は $st$ である。 曲線 $y = x^{p-1}$ は原点を通り、単調増加する連続曲線である。
このとき、長方形の領域は、曲線 $y = x^{p-1}$ によって下側の領域と左側の領域に分割される。 下側の領域の面積は、(1)より直線 $x=s$ までの積分であるため、$S_1 = \frac{s^p}{p}$ 以下になる($t < s^{p-1}$ のときは一部が長方形からはみ出るが、面積としては $S_1$ より小さくなる)。 左側の領域の面積は、(2)より直線 $y=t$ までの積分であるため、$S_2 = \frac{t^q}{q}$ 以下になる。
図形的に、長方形の領域全体は、曲線 $y = x^{p-1}$ と $x$ 軸、$x=s$ で囲まれた領域と、曲線 $x = y^{q-1}$ と $y$ 軸、$y=t$ で囲まれた領域の和集合に含まれる。 したがって、それらの面積の和は長方形の面積以上になる。
$$st \leqq S_1 + S_2$$
$$st \leqq \frac{s^p}{p} + \frac{t^q}{q}$$
等号は、点 $(s, t)$ が曲線 $y = x^{p-1}$ 上にあるとき、すなわち $t = s^{p-1}$ のときに成立する。 また、$s = 0$ または $t = 0$ のときは、$st = 0$ であり、右辺は $0$ 以上となるため自明に成り立つ。 以上より、すべての $s \geqq 0$, $t \geqq 0$ に対して不等式が成立する。
解説
本問は「ヤングの不等式」とその積分形である「ヘルダーの不等式」の導出をテーマにした有名問題である。(1)と(2)の面積計算が(3)の図形的な証明の強力な誘導となっている。 (3)は、誘導に乗って面積で比較する解法が本質的であるが、微積分を用いて関数として処理する方が論理的な抜け漏れを防ぎやすい。試験場では解法1のように差をとって微分し、最小値が0になることを示す方針が堅実である。 (4)は(3)の結果を利用して積分するだけであり、変数 $s, t$ に具体的な関数を代入するという発想がポイントである。
答え
(1) $\frac{s^p}{p}$
(2) $\frac{t^q}{q}$
(3) 本文に記載の通り証明された。
(4) 本文に記載の通り証明された。
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