数学3 定積分・面積 問題 264 解説

方針・初手
(1)は、関数の微分を用いて増減表を作成し、与えられた極限を考慮してグラフの概形を描く定石通りの問題である。
(2)は、方程式を同値変形し、(1)で調べた関数と定数関数のグラフの共有点の存在条件に帰着させる。
(3)は、曲線と $x$ 軸の交点を求め、指定された図形の面積を定積分で表して方程式を解く。積分区間において関数の符号が変わらないように注意する。
解法1
(1)
$f(x) = \frac{\log x}{x^2}$ とおく。真数条件より、定義域は $x > 0$ である。
$f(x)$ を $x$ で微分すると
$$f'(x) = \frac{\frac{1}{x} \cdot x^2 - (\log x) \cdot 2x}{(x^2)^2} = \frac{x - 2x\log x}{x^4} = \frac{1 - 2\log x}{x^3}$$
$f'(x) = 0$ とすると、$1 - 2\log x = 0$ より $\log x = \frac{1}{2}$、すなわち $x = e^{\frac{1}{2}} = \sqrt{e}$ となる。
$f(\sqrt{e}) = \frac{\log e^{\frac{1}{2}}}{(\sqrt{e})^2} = \frac{1}{2e}$
増減表は以下のようになる。
$$\begin{array}{c|ccccc} x & (0) & \cdots & \sqrt{e} & \cdots \\ \hline f'(x) & & + & 0 & - \\ \hline f(x) & & \nearrow & \frac{1}{2e} & \searrow \end{array}$$
また、$x \to +0$ の極限は
$$\lim_{x \to +0} \frac{\log x}{x^2} = -\infty$$
であり、問題文で与えられた条件より
$$\lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{x^2} = 0$$
である。さらに、$f(x) = 0$ となるのは $\log x = 0$ より $x = 1$ のときである。 以上より、$x = \sqrt{e}$ のとき極大値 $\frac{1}{2e}$ をとり、極小値はない。 グラフの概形は、$x=1$ で $x$ 軸と交わり、$y$ 軸と $x$ 軸の正の部分を漸近線にもつような曲線となる。(概形図は解答用紙に描くこととする)
(2)
方程式 $x^n = e^{x^2}$ について、$x>0$ において両辺は正であるから、自然対数をとると
$$n\log x = x^2$$
となる。$x>0$ より $x^2 \neq 0$ であるため、両辺を $x^2$ で割ると
$$\frac{\log x}{x^2} = \frac{1}{n}$$
を得る。この方程式が正の実数解をもつための条件は、(1)で考えた関数 $y = f(x)$ のグラフと直線 $y = \frac{1}{n}$ が共有点をもつことである。
$f(x)$ は $x = \sqrt{e}$ において最大値 $\frac{1}{2e}$ をとるので、共有点をもつ条件は
$$\frac{1}{n} \leqq \frac{1}{2e}$$
となる。$n$ は自然数であるから $n > 0$ であり、変形すると
$$n \geqq 2e$$
となる。問題文の条件 $2.7 < e < 2.8$ より $5.4 < 2e < 5.6$ であるから
$$n \geqq 5.4 \cdots$$
これを満たす最小の自然数 $n$ は $6$ である。
(3)
曲線 $y = f(x)$ と $x$ 軸の交点は $x = 1$ のみである。直線 $x=a$ と $x$ 軸および曲線で囲まれた図形が存在するためには、$a \neq 1$ である必要がある。
まず、不定積分 $\int \frac{\log x}{x^2} dx$ を部分積分法を用いて計算する。
$$\begin{aligned} \int \frac{\log x}{x^2} dx &= \int \left(-\frac{1}{x}\right)' \log x dx \\ &= -\frac{1}{x} \log x - \int \left(-\frac{1}{x}\right) \cdot \frac{1}{x} dx \\ &= -\frac{\log x}{x} + \int \frac{1}{x^2} dx \\ &= -\frac{\log x}{x} - \frac{1}{x} + C \\ &= -\frac{\log x + 1}{x} + C \quad (C \text{ は積分定数}) \end{aligned}$$
図形の面積を $S$ とおく。
(i) $a > 1$ のとき 区間 $1 \leqq x \leqq a$ において $f(x) \geqq 0$ であるから
$$\begin{aligned} S &= \int_{1}^{a} \frac{\log x}{x^2} dx \\ &= \left[ -\frac{\log x + 1}{x} \right]_{1}^{a} \\ &= -\frac{\log a + 1}{a} - \left( -\frac{\log 1 + 1}{1} \right) \\ &= 1 - \frac{\log a + 1}{a} \end{aligned}$$
$S = 1$ となるとき
$$1 - \frac{\log a + 1}{a} = 1$$
$$\frac{\log a + 1}{a} = 0$$
$$\log a + 1 = 0$$
$$\log a = -1$$
よって $a = e^{-1} = \frac{1}{e}$ となるが、これは $a > 1$ を満たさない。
(ii) $0 < a < 1$ のとき 区間 $a \leqq x \leqq 1$ において $f(x) \leqq 0$ であるから
$$\begin{aligned} S &= \int_{a}^{1} \left( - \frac{\log x}{x^2} \right) dx \\ &= \left[ \frac{\log x + 1}{x} \right]_{a}^{1} \\ &= \frac{\log 1 + 1}{1} - \frac{\log a + 1}{a} \\ &= 1 - \frac{\log a + 1}{a} \end{aligned}$$
$S = 1$ となるとき、(i) と同様にして
$$a = \frac{1}{e}$$
となり、これは $0 < a < 1$ を満たす。
以上より、求める $a$ の値は $a = \frac{1}{e}$ である。
解説
微分法を用いたグラフの描画、方程式の解の存在範囲、および面積計算を組み合わせた標準的な微積分総合問題である。
(2)における「定数分離」は頻出手法である。方程式のまま扱うのではなく、扱いやすい関数のグラフと水平線の交点に帰着させることで見通しが良くなる。
(3)では、囲まれる面積を考える際、積分区間が $x=1$ に対してどちら側にあるかによって関数の正負が変わることに注意する。結果的に定積分の式は同じ形になるが、論理の飛躍を防ぐために場合分けをして記述することが望ましい。また、対数関数を含む積分は $\frac{1}{x}$ などのべき関数との積とみて部分積分を行うのが定石である。
答え
(1) 極大値: $\frac{1}{2e}$ ($x = \sqrt{e}$ のとき)
極小値: なし
グラフの概形: 省略
(2) $n = 6$
(3) $a = \frac{1}{e}$
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