トップ 基礎問題 数学C 平面ベクトル 平面ベクトル(斜交座標) 問題 8

数学C 平面ベクトル(斜交座標) 問題 8 解説

数学C 平面ベクトル(斜交座標) 問題 8 解説

方針・初手

条件 $\left|\vec a\cdot \vec b\right|\geqq 1$ を座標で表すと、円の内部と2本の平行な直線で囲まれる領域の問題になる。

ただし $\vec a=(1,\sqrt3)$ より、

$$ \vec a\cdot \vec b=x+\sqrt3y,\qquad |\vec b|=\sqrt{x^2+y^2} $$

である。したがって、まず

$$ x^2+y^2\leqq 1,\qquad |x+\sqrt3y|\geqq 1 $$

を図形的に解釈する。

解法1

領域 $D$ は

$$ D=\{(x,y)\mid x^2+y^2\leqq 1,\ |x+\sqrt3y|\geqq 1\} $$

である。

絶対値の条件は

$$ x+\sqrt3y\geqq 1 $$

または

$$ x+\sqrt3y\leqq -1 $$

である。よって、$D$ は単位円 $x^2+y^2\leqq 1$ のうち、2本の直線

$$ x+\sqrt3y=1,\qquad x+\sqrt3y=-1 $$

の外側にある部分である。

ここで、原点から直線 $x+\sqrt3y=1$ までの距離は

$$ \frac{|0+0-1|}{\sqrt{1^2+(\sqrt3)^2}}=\frac{1}{2} $$

である。同様に、直線 $x+\sqrt3y=-1$ までの距離も $\frac12$ である。

したがって、$D$ は半径 $1$ の円の中で、中心から距離 $\frac12$ の2本の平行な弦によって切り取られる、互いに反対側の2つの円弓部分である。

直線 $x+\sqrt3y=1$ と単位円の交点を求める。

$$ \begin{cases} x+\sqrt3y=1\\ x^2+y^2=1 \end{cases} $$

より、$x=1-\sqrt3y$ として代入すると、

$$ (1-\sqrt3y)^2+y^2=1 $$

$$ 1-2\sqrt3y+4y^2=1 $$

$$ 2y(2y-\sqrt3)=0 $$

したがって、

$$ y=0,\quad \frac{\sqrt3}{2} $$

である。対応する $x$ はそれぞれ

$$ x=1,\quad -\frac12 $$

となるから、交点は

$$ (1,0),\quad \left(-\frac12,\frac{\sqrt3}{2}\right) $$

である。

同様に、直線 $x+\sqrt3y=-1$ と単位円の交点は

$$ (-1,0),\quad \left(\frac12,-\frac{\sqrt3}{2}\right) $$

である。

よって、図示としては、単位円を描き、その中で直線

$$ x+\sqrt3y=1,\qquad x+\sqrt3y=-1 $$

の外側にある2つの円弓領域を塗ればよい。

次に面積を求める。

1つの円弓部分について考える。中心から弦までの距離は $\frac12$、円の半径は $1$ である。中心から弦の端点へ引いた2本の半径がなす角を $\theta$ とすると、直角三角形より

$$ \cos\frac{\theta}{2}=\frac12 $$

である。したがって、

$$ \frac{\theta}{2}=\frac{\pi}{3} $$

より、

$$ \theta=\frac{2\pi}{3} $$

である。

1つの円弓部分の面積は、中心角 $\frac{2\pi}{3}$ の扇形の面積から、2本の半径と弦でできる三角形の面積を引けばよい。

扇形の面積は

$$ \frac12\cdot 1^2\cdot \frac{2\pi}{3}=\frac{\pi}{3} $$

である。

三角形の面積は、2辺がともに $1$、その間の角が $\frac{2\pi}{3}$ であるから、

$$ \frac12\cdot 1\cdot 1\cdot \sin\frac{2\pi}{3} =\frac12\cdot \frac{\sqrt3}{2} =\frac{\sqrt3}{4} $$

である。

したがって、1つの円弓部分の面積は

$$ \frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{4} $$

である。

$D$ はこれと合同な円弓部分が2つあるので、$D$ の面積は

$$ 2\left(\frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{4}\right) =\frac{2\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2} $$

である。

解法2

座標を回転して考える。

$\vec a=(1,\sqrt3)$ の長さは

$$ |\vec a|=\sqrt{1^2+(\sqrt3)^2}=2 $$

である。そこで、$\vec a$ の方向を新しい $X$ 軸にとる。具体的に

$$ X=\frac{x+\sqrt3y}{2},\qquad Y=\frac{-\sqrt3x+y}{2} $$

とおく。これは回転変換なので、距離と面積を保つ。

このとき、

$$ x^2+y^2=X^2+Y^2 $$

であり、また

$$ x+\sqrt3y=2X $$

である。

したがって条件は

$$ X^2+Y^2\leqq 1,\qquad |2X|\geqq 1 $$

すなわち

$$ X^2+Y^2\leqq 1,\qquad |X|\geqq \frac12 $$

となる。

これは、単位円のうち

$$ X\geqq \frac12 $$

または

$$ X\leqq -\frac12 $$

を満たす部分である。つまり、単位円の左右にある合同な2つの円弓領域である。

右側の1つの円弓部分の面積は、直線 $X=\frac12$ と単位円が切り取る部分の面積である。

交点は

$$ X=\frac12,\qquad X^2+Y^2=1 $$

より、

$$ Y^2=1-\frac14=\frac34 $$

なので、

$$ Y=\pm\frac{\sqrt3}{2} $$

である。したがって、2つの半径のなす角は

$$ \frac{2\pi}{3} $$

である。

よって、1つの円弓部分の面積は

$$ \frac12\cdot \frac{2\pi}{3}-\frac12\cdot \sin\frac{2\pi}{3} =\frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{4} $$

である。

左右に同じ面積の部分があるので、

$$ S_D=2\left(\frac{\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{4}\right) =\frac{2\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2} $$

である。

解説

この問題の本質は、内積条件を直線の条件として読むことである。

$$ \vec a\cdot \vec b=x+\sqrt3y $$

だから、$\left|\vec a\cdot \vec b\right|\geqq 1$ は

$$ x+\sqrt3y\geqq 1 $$

または

$$ x+\sqrt3y\leqq -1 $$

を意味する。一方、$|\vec b|\leqq 1$ は単位円の内部を表す。

したがって、円と平行な2直線によってできる円弓部分の面積問題に帰着する。計算を簡単にするなら、解法2のように $\vec a$ の方向を新しい軸にする回転座標が有効である。

答え

(1)

$D$ は単位円 $x^2+y^2\leqq 1$ のうち、2直線

$$ x+\sqrt3y=1,\qquad x+\sqrt3y=-1 $$

の外側にある2つの円弓領域である。

直線 $x+\sqrt3y=1$ と単位円の交点は

$$ (1,0),\quad \left(-\frac12,\frac{\sqrt3}{2}\right) $$

であり、直線 $x+\sqrt3y=-1$ と単位円の交点は

$$ (-1,0),\quad \left(\frac12,-\frac{\sqrt3}{2}\right) $$

である。

(2)

$D$ の面積は

$$ \frac{2\pi}{3}-\frac{\sqrt3}{2} $$

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