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数学C 空間ベクトル 問題 38 解説

数学C 空間ベクトル 問題 38 解説

方針・初手

平面 $OAB$ は $\vec{a},\vec{b}$ の一次結合で表され、その法線方向が $\vec{e}$ である。同様に、平面 $OCD$ の法線方向が $\vec{f}$ である。

したがって、まず $\vec{e},\vec{f}$ を内積が $0$ になる条件から求める。その後、$\vec{e}$ が $\vec{a},\vec{b}$ の両方に垂直であることを用いて、距離を内積で表す。

解法1

$\vec{a},\vec{b},\vec{c},\vec{d}$ はそれぞれ

$$ \vec{a}=(-1,0,3),\quad \vec{b}=(1,-1,-1),\quad \vec{c}=(-1,-4,3),\quad \vec{d}=(4,1,-2) $$

である。

まず $\vec{e}=(x,y,z)$ とおく。$\vec{e}$ は $\vec{a},\vec{b}$ の両方に垂直であるから、

$$ \vec{e}\cdot \vec{a}=0,\qquad \vec{e}\cdot \vec{b}=0 $$

である。よって

$$ -x+3z=0,\qquad x-y-z=0 $$

となる。これより

$$ x=3z,\qquad y=2z $$

だから、

$$ \vec{e}=(3z,2z,z) $$

である。$\vec{e}$ は単位ベクトルなので、

$$ |\vec{e}|^2=9z^2+4z^2+z^2=14z^2=1 $$

より

$$ z=\pm \frac{1}{\sqrt{14}} $$

である。したがって、向きを一方に定めて

$$ \vec{e}=\frac{1}{\sqrt{14}}(3,2,1) $$

とする。反対向きの $-\vec{e}$ をとっても、以後の距離の議論は変わらない。

次に $\vec{f}=(x,y,z)$ とおく。$\vec{f}$ は $\vec{c},\vec{d}$ の両方に垂直であるから、

$$ \vec{f}\cdot \vec{c}=0,\qquad \vec{f}\cdot \vec{d}=0 $$

である。よって

$$ -x-4y+3z=0,\qquad 4x+y-2z=0 $$

となる。第2式から

$$ y=2z-4x $$

であり、これを第1式に代入すると

$$ -x-4(2z-4x)+3z=0 $$

すなわち

$$ 15x-5z=0 $$

となる。よって

$$ z=3x,\qquad y=2x $$

である。したがって

$$ \vec{f}=(x,2x,3x) $$

であり、$\vec{f}$ が単位ベクトルであることから

$$ |\vec{f}|^2=x^2+4x^2+9x^2=14x^2=1 $$

である。よって、向きを一方に定めて

$$ \vec{f}=\frac{1}{\sqrt{14}}(1,2,3) $$

とする。

次に、任意の実数 $s,t,u$ に対して

$$ \left|s\vec{a}+t\vec{b}+u\vec{e}\right|^2 $$

を考える。$\vec{e}$ は $\vec{a},\vec{b}$ の両方に垂直であるから、

$$ (s\vec{a}+t\vec{b})\cdot \vec{e}=0 $$

である。また、$\vec{e}$ は単位ベクトルなので $|\vec{e}|=1$ である。したがって、

$$ \begin{aligned} \left|s\vec{a}+t\vec{b}+u\vec{e}\right|^2 &=\left|(s\vec{a}+t\vec{b})+u\vec{e}\right|^2\\ &=|s\vec{a}+t\vec{b}|^2 +2u(s\vec{a}+t\vec{b})\cdot \vec{e} +u^2|\vec{e}|^2\\ &=|s\vec{a}+t\vec{b}|^2+u^2 \end{aligned} $$

となる。

次に、点 $Q$ の位置ベクトルを

$$ \vec{q}=s\vec{a}+t\vec{b} $$

とする。点 $Q$ は平面 $OAB$ 上の点である。

点 $P$ の位置ベクトルは

$$ \vec{p}=\alpha\vec{a}+\beta\vec{b}+\gamma\vec{e} $$

であるから、

$$ \overrightarrow{QP} =\vec{p}-\vec{q} =(\alpha-s)\vec{a}+(\beta-t)\vec{b}+\gamma\vec{e} $$

である。よって、先ほど示した等式を用いると、

$$ |\overrightarrow{QP}|^2 =\left|(\alpha-s)\vec{a}+(\beta-t)\vec{b}\right|^2+\gamma^2 $$

である。右辺の第1項は $0$ 以上なので、

$$ |\overrightarrow{QP}|^2\geq \gamma^2 $$

であり、

$$ |\overrightarrow{QP}|\geq |\gamma| $$

となる。

等号は

$$ s=\alpha,\qquad t=\beta $$

のときに成立する。このとき

$$ (\alpha-s)\vec{a}+(\beta-t)\vec{b}=\vec{0} $$

となるからである。したがって、$s,t$ を動かしたときの $|PQ|$ の最小値は

$$ |\gamma| $$

である。

これが点 $P$ と平面 $OAB$ との距離である。

また、

$$ \vec{p}=\alpha\vec{a}+\beta\vec{b}+\gamma\vec{e} $$

の両辺と $\vec{e}$ の内積をとると、$\vec{a}\cdot\vec{e}=0,\ \vec{b}\cdot\vec{e}=0,\ \vec{e}\cdot\vec{e}=1$ より、

$$ \vec{p}\cdot\vec{e}=\gamma $$

である。したがって、点 $P$ と平面 $OAB$ との距離は

$$ |\vec{p}\cdot\vec{e}| $$

で表される。

最後に、$\vec{p}=(l,m,n)$ とする。点 $P$ と平面 $OAB$ との距離は

$$ |\vec{p}\cdot\vec{e}| $$

である。一方、$\vec{f}$ は平面 $OCD$ の単位法線ベクトルであるから、点 $P$ と平面 $OCD$ との距離は

$$ |\vec{p}\cdot\vec{f}| $$

である。

したがって、2つの距離が等しいための必要十分条件は

$$ |\vec{p}\cdot\vec{e}|=|\vec{p}\cdot\vec{f}| $$

である。

ここで

$$ \vec{e}=\frac{1}{\sqrt{14}}(3,2,1),\qquad \vec{f}=\frac{1}{\sqrt{14}}(1,2,3) $$

であるから、

$$ \vec{p}\cdot\vec{e} =\frac{3l+2m+n}{\sqrt{14}} $$

かつ

$$ \vec{p}\cdot\vec{f} =\frac{l+2m+3n}{\sqrt{14}} $$

である。よって条件は

$$ \left|\frac{3l+2m+n}{\sqrt{14}}\right| = \left|\frac{l+2m+3n}{\sqrt{14}}\right| $$

すなわち

$$ |3l+2m+n|=|l+2m+3n| $$

である。両辺を2乗すると、

$$ (3l+2m+n)^2=(l+2m+3n)^2 $$

である。これは

$$ {(3l+2m+n)-(l+2m+3n)}{(3l+2m+n)+(l+2m+3n)}=0 $$

と因数分解できる。したがって、

$$ (2l-2n)(4l+4m+4n)=0 $$

より、

$$ (l-n)(l+m+n)=0 $$

である。

よって求める必要十分条件は

$$ l=n \quad\text{または}\quad l+m+n=0 $$

である。

解説

この問題の中心は、平面を張る2つのベクトルと、その両方に垂直な単位ベクトルを使って、空間内の点を「平面方向の成分」と「垂直方向の成分」に分解することである。

$\vec{p}=\alpha\vec{a}+\beta\vec{b}+\gamma\vec{e}$ において、$\alpha\vec{a}+\beta\vec{b}$ は平面 $OAB$ 上の成分であり、$\gamma\vec{e}$ は平面 $OAB$ に垂直な成分である。したがって、点 $P$ から平面 $OAB$ までの最短距離は、垂直成分の長さ $|\gamma|$ になる。

また、$\vec{e}$ が単位法線ベクトルであるため、垂直成分 $\gamma$ は内積 $\vec{p}\cdot\vec{e}$ によって取り出せる。したがって、平面までの距離は $|\vec{p}\cdot\vec{e}|$ で表される。

同じ考えを平面 $OCD$ にも適用すると、距離は $|\vec{p}\cdot\vec{f}|$ である。よって、2つの平面からの距離が等しい条件は、単位法線ベクトルとの内積の絶対値が等しいことに帰着する。

答え

(1)

$$ \vec{e}=\frac{1}{\sqrt{14}}(3,2,1),\qquad \vec{f}=\frac{1}{\sqrt{14}}(1,2,3) $$

ただし、それぞれ反対向きのベクトルをとってもよい。

(2)

$$ \left|s\vec{a}+t\vec{b}+u\vec{e}\right|^2 = \left|s\vec{a}+t\vec{b}\right|^2+u^2 $$

が成り立つ。

(3)

$$ \min |PQ|=|\gamma| $$

である。

(4)

点 $P$ と平面 $OAB$ との距離は

$$ |\vec{p}\cdot\vec{e}| $$

である。

(5)

必要十分条件は

$$ l=n \quad\text{または}\quad l+m+n=0 $$

である。

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