九州大学 2024年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) 3点が同一直線上にあると仮定し、ベクトルの平行条件から矛盾を導く方針をとる。 (2) 三角形の面積の公式 $S = \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{PQ}|^2 |\overrightarrow{PR}|^2 - (\overrightarrow{PQ} \cdot \overrightarrow{PR})^2}$ を用いて $a$ の式で表し、微分の活用や変数の置き換えによって最大値を求める。
解法1
(1)
3点 $P(-1, 1, -1)$、$Q(1, 1, 1)$、$R(a, a^2, a^3)$ に対して、ベクトル $\overrightarrow{PQ}$ と $\overrightarrow{PR}$ の成分を求める。
$$ \overrightarrow{PQ} = (1 - (-1), 1 - 1, 1 - (-1)) = (2, 0, 2) $$
$$ \overrightarrow{PR} = (a - (-1), a^2 - 1, a^3 - (-1)) = (a+1, a^2-1, a^3+1) $$
3点 $P, Q, R$ が同一直線上にあると仮定すると、$\overrightarrow{PR} = k\overrightarrow{PQ}$ を満たす実数 $k$ が存在する。 これを成分で比較すると、以下のようになる。
$$ \begin{cases} a + 1 = 2k \\ a^2 - 1 = 0 \\ a^3 + 1 = 2k \end{cases} $$
第2式より $a^2 = 1$ であり、これを解くと $a = 1, -1$ となる。 しかし、これは問題の条件である $a \neq -1$ かつ $a \neq 1$ に反する。 したがって、これを満たす実数 $k$ は存在せず、3点 $P, Q, R$ は同一直線上にないことが示された。
(2)
三角形 $PQR$ の面積を $S$ とすると、面積の公式より以下のように表せる。
$$ S = \frac{1}{2} \sqrt{|\overrightarrow{PQ}|^2 |\overrightarrow{PR}|^2 - (\overrightarrow{PQ} \cdot \overrightarrow{PR})^2} $$
それぞれの値を計算する。
$$ |\overrightarrow{PQ}|^2 = 2^2 + 0^2 + 2^2 = 8 $$
$$ |\overrightarrow{PR}|^2 = (a+1)^2 + (a^2-1)^2 + (a^3+1)^2 = a^6 + a^4 + 2a^3 - a^2 + 2a + 3 $$
$$ \overrightarrow{PQ} \cdot \overrightarrow{PR} = 2(a+1) + 0 \cdot (a^2-1) + 2(a^3+1) = 2a^3 + 2a + 4 $$
これらを公式に代入して根号の中身を計算する。
$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{PQ}|^2 |\overrightarrow{PR}|^2 - (\overrightarrow{PQ} \cdot \overrightarrow{PR})^2 &= 8(a^6 + a^4 + 2a^3 - a^2 + 2a + 3) - 4(a^3 + a + 2)^2 \\ &= 8(a^6 + a^4 + 2a^3 - a^2 + 2a + 3) - 4(a^6 + 2a^4 + 4a^3 + a^2 + 4a + 4) \\ &= 4a^6 - 12a^2 + 8 \\ &= 4(a^6 - 3a^2 + 2) \\ &= 4(a^2 - 1)^2 (a^2 + 2) \end{aligned} $$
したがって、面積 $S$ は次のようになる。
$$ S = \frac{1}{2} \sqrt{4(a^2 - 1)^2 (a^2 + 2)} = |a^2 - 1| \sqrt{a^2 + 2} $$
ここで、$-1 < a < 1$ であるため $a^2 - 1 < 0$ となり、$|a^2 - 1| = 1 - a^2$ である。
$$ S = (1 - a^2) \sqrt{a^2 + 2} $$
この $S$ の最大値を求めるため、$A = a^2$ とおく。 $-1 < a < 1$ より、変数 $A$ のとり得る値の範囲は $0 \le A < 1$ である。 このとき、面積の2乗 $S^2$ を $A$ の関数 $f(A)$ とおく。
$$ f(A) = (1 - A)^2 (A + 2) $$
これを $A$ で微分する。
$$ \begin{aligned} f'(A) &= 2(1 - A)(-1)(A + 2) + (1 - A)^2 \cdot 1 \\ &= (1 - A) \{ -2(A + 2) + (1 - A) \} \\ &= (1 - A) (-3A - 3) \\ &= -3(A - 1)(A + 1) \end{aligned} $$
$0 \le A < 1$ の範囲において $f'(A) < 0$ であるため、$f(A)$ は単調に減少する。 よって、$f(A)$ は $A = 0$ のとき最大となる。
$$ f(0) = (1 - 0)^2 (0 + 2) = 2 $$
$S > 0$ であるため、$S$ が最大となるとき $S^2$ も最大となる。 したがって、面積 $S$ の最大値は $\sqrt{2}$ である。
解法2
(2)の別解
点 $R$ から直線 $PQ$ に下ろした垂線の足を $H$ とし、底辺を $PQ$、高さを $RH$ として面積を求める。
直線 $PQ$ は点 $P(-1, 1, -1)$ を通り、方向ベクトルを $\frac{1}{2}\overrightarrow{PQ} = (1, 0, 1)$ とする直線であるから、実数 $t$ を用いて次のように媒介変数表示できる。
$$ \overrightarrow{OH} = \overrightarrow{OP} + t(1, 0, 1) = (-1 + t, 1, -1 + t) $$
よって、点 $H$ の座標は $(t-1, 1, t-1)$ とおける。 このとき、ベクトル $\overrightarrow{HR}$ は以下のようになる。
$$ \overrightarrow{HR} = (a - (t-1), a^2 - 1, a^3 - (t-1)) = (a - t + 1, a^2 - 1, a^3 - t + 1) $$
$\overrightarrow{HR} \perp \overrightarrow{PQ}$ より $\overrightarrow{HR} \cdot (1, 0, 1) = 0$ であるから、以下の等式が成り立つ。
$$ (a - t + 1) + (a^3 - t + 1) = 0 $$
これを $t$ について解く。
$$ 2t = a^3 + a + 2 \quad \iff \quad t = \frac{a^3 + a + 2}{2} $$
この $t$ を用いて、$\overrightarrow{HR}$ の成分を計算する。
$$ a - t + 1 = a - \frac{a^3 + a + 2}{2} + 1 = \frac{a - a^3}{2} = -\frac{a(a^2 - 1)}{2} $$
$$ a^3 - t + 1 = a^3 - \frac{a^3 + a + 2}{2} + 1 = \frac{a^3 - a}{2} = \frac{a(a^2 - 1)}{2} $$
したがって、$|\overrightarrow{HR}|^2$ は次のように求まる。
$$ \begin{aligned} |\overrightarrow{HR}|^2 &= \left\{ -\frac{a(a^2 - 1)}{2} \right\}^2 + (a^2 - 1)^2 + \left\{ \frac{a(a^2 - 1)}{2} \right\}^2 \\ &= \frac{a^2(a^2 - 1)^2}{4} + (a^2 - 1)^2 + \frac{a^2(a^2 - 1)^2}{4} \\ &= (a^2 - 1)^2 \left( \frac{a^2}{2} + 1 \right) \\ &= \frac{(a^2 - 1)^2(a^2 + 2)}{2} \end{aligned} $$
三角形 $PQR$ の面積 $S$ は、底辺 $|\overrightarrow{PQ}| = \sqrt{8} = 2\sqrt{2}$、高さ $|\overrightarrow{HR}|$ として求められる。
$$ S = \frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{2} \cdot \sqrt{\frac{(a^2 - 1)^2(a^2 + 2)}{2}} = \sqrt{(a^2 - 1)^2(a^2 + 2)} = |a^2 - 1| \sqrt{a^2 + 2} $$
これ以降は解法1と同様にして $S$ の最大値を求める。
解説
(1)は、空間ベクトルにおける直線の条件を確認する基本問題である。ベクトルの実数倍で表現し、成分ごとの方程式を立てることで矛盾を確実に導くことができる。
(2)は、空間図形における三角形の面積を立式した後に、1変数の関数の最大値を求める問題である。式がやや複雑になるが、整理の過程で $(a^2 - 1)^2$ のような塊がくくり出せることに気づけると計算が楽になる。また、$S$ の式が偶関数($a^2$ のみで構成される式)であることを利用し、$A = a^2$ と置き換えて変数の次数を下げる工夫が、微分計算の手間を省き計算ミスを防ぐための重要なポイントである。
答え
(1) 背理法により、3点 $P, Q, R$ が同一直線上にあると仮定すると $a=1, -1$ となるが、これは $a \neq -1, a \neq 1$ という条件に矛盾する。したがって、3点は同一直線上にない。(証明終)
(2) 最大値は $\sqrt{2}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











