北海道大学 1969年 文系 第4問 解説

注意
画像の一部が不鮮明で、特に「(2)の式の演算記号」の読取りに不確実性があります。以下は「$w^{2n+1-k} + \overline{w}^k$」として解釈した場合の解答解説です。
方針・初手
方程式 $z^{2n+1}=1$ の解は、複素数平面上の単位円周を $2n+1$ 等分する点として表される。 まずはド・モアブルの定理を用いて $w$ を極形式で表し、その偏角 $\theta$ を求めることから始める。 後半の設問では、等比数列の和の公式や、$w$ とその共役複素数 $\overline{w}$ の関係($w \overline{w} = |w|^2 = 1$)を利用して式の値を求めていく。
解法1
(1)
方程式 $z^{2n+1} = 1$ の解は、整数 $m$ を用いて次のように極形式で表される。
$$z = \cos\left(\frac{2m\pi}{2n+1}\right) + i\sin\left(\frac{2m\pi}{2n+1}\right)$$
偏角が正で最小となるのは $m=1$ のときであるから、$w$ は次のように表せる。
$$w = \cos\left(\frac{2\pi}{2n+1}\right) + i\sin\left(\frac{2\pi}{2n+1}\right)$$
よって、その偏角 $\theta$ は次のようになる。
$$\theta = \frac{2\pi}{2n+1}$$
(2)
$w$ は単位円周上の点であるから、$|w| = 1$ であり、$w \overline{w} = |w|^2 = 1$ より $\overline{w} = w^{-1}$ が成り立つ。 また、$w$ は方程式 $z^{2n+1} = 1$ の根であるから、$w^{2n+1} = 1$ である。 これらを用いると、$w^{2n+1-k}$ は次のように変形できる。
$$w^{2n+1-k} = w^{2n+1} \cdot w^{-k} = 1 \cdot (w^{-1})^k = (\overline{w})^k = \overline{w}^k$$
したがって、求める式は次のようになる。
$$w^{2n+1-k} + \overline{w}^k = \overline{w}^k + \overline{w}^k = 2\overline{w}^k$$
(極形式を用いて $2\cos k\theta - 2i\sin k\theta$ と答えてもよい。)
(3)
求める和を $S$ とおく。
$$S = w + w^2 + \cdots + w^{2n-1} + w^{2n}$$
これは初項 $w$、公比 $w$、項数 $2n$ の等比数列の和である。 $w \neq 1$ であるから、等比数列の和の公式より次のように計算できる。
$$S = \frac{w(1 - w^{2n})}{1 - w}$$
分子を展開すると、
$$S = \frac{w - w^{2n+1}}{1 - w}$$
ここで、$w^{2n+1} = 1$ であるから、
$$S = \frac{w - 1}{1 - w} = -1$$
よって、求める値は $-1$ である。
(4)
(3)の和を前半 $n$ 項と後半 $n$ 項に分けて考える。
$$\sum_{k=1}^{2n} w^k = \sum_{k=1}^n w^k + \sum_{k=n+1}^{2n} w^k$$
右辺の第2項(後半の和)において、 $j = 2n+1-k$ とおくと、$k$ が $n+1$ から $2n$ まで変わるとき、$j$ は $n$ から $1$ まで変わる。
$$\sum_{k=n+1}^{2n} w^k = \sum_{j=1}^n w^{2n+1-j}$$
(2)の導出過程で示した通り、$w^{2n+1-j} = \overline{w}^j$ であるから、後半の和は次のように書き換えられる。
$$\sum_{j=1}^n w^{2n+1-j} = \sum_{j=1}^n \overline{w}^j$$
したがって、(3)の全体の和は次のように表せる。
$$\sum_{k=1}^{2n} w^k = \sum_{k=1}^n w^k + \sum_{k=1}^n \overline{w}^k = \sum_{k=1}^n (w^k + \overline{w}^k)$$
ここで極形式より $w^k = \cos k\theta + i\sin k\theta$、$\overline{w}^k = \cos k\theta - i\sin k\theta$ であるから、和をとると虚部が打ち消し合う。
$$w^k + \overline{w}^k = 2\cos k\theta$$
これより、全体の和は実部のみの和として次のように整理できる。
$$\sum_{k=1}^{2n} w^k = \sum_{k=1}^n 2\cos k\theta = 2 \left( \cos\theta + \cos 2\theta + \cdots + \cos n\theta \right)$$
(3)の結果より $\sum_{k=1}^{2n} w^k = -1$ であるから、
$$2 \left( \cos\theta + \cos 2\theta + \cdots + \cos n\theta \right) = -1$$
両辺を $2$ で割ることで、求める値が得られる。
$$\cos\theta + \cos 2\theta + \cdots + \cos n\theta = -\frac{1}{2}$$
解説
複素数平面における正多角形の頂点に関する典型的な問題である。 方程式 $z^{2n+1}=1$ の根は、複素数平面上の単位円を $2n+1$ 等分する点として表される。 (2)の真の目的は、対称な位置にある頂点同士の関係($w^{2n+1-k} = \overline{w}^k$)に気づかせることである。この性質を用いることで、和のペアリングが可能となる。 (3)は等比数列の和として処理できる。方程式 $z^{2n+1}-1=0$ を因数分解し、すべての根の和が $0$ であること($1 + w + w^2 + \dots + w^{2n} = 0$)を利用して $-1$ を導くことも可能である。 (4)では、(3)で求めた和を共役なペア $(w^k, \overline{w}^k)$ に組み直すことで、実部のみの和を抽出している。この手法は複素数を用いた三角関数の和の計算において非常に強力かつ頻出の手筋である。
答え
(1) $\frac{2\pi}{2n+1}$
(2) $2\overline{w}^k$ (または $2\cos k\theta - 2i\sin k\theta$)
(3) $-1$
(4) $-\frac{1}{2}$
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