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北海道大学 1980年 文系 第1問 解説

数学A/整数問題テーマ/整数の証明
北海道大学 1980年 文系 第1問 解説

方針・初手

$a_1, a_2, a_3, a_4, a_5, a_6$ は順序を区別しなくてよいため、値が $1, 2, 3$ となる変数の「個数」に注目する。未知数を設定して条件式から個数の組をすべて洗い出し、それぞれの場合における3乗の和を計算して比較するのが確実な方針である。

解法1

$a_1, a_2, a_3, a_4, a_5, a_6$ のうち、値が $1, 2, 3$ であるものの個数をそれぞれ $x, y, z$ とおく。

$a_k$ は合計 $6$ 個であるから、

$$ x + y + z = 6 $$

が成り立つ。また、それらの和が $12$ であるから、

$$ x + 2y + 3z = 12 $$

が成り立つ。上の2式から $x$ を消去するため、下の式から上の式を引くと、

$$ y + 2z = 6 $$

$$ y = 6 - 2z $$

となる。これを $x + y + z = 6$ に代入すると、

$$ x + (6 - 2z) + z = 6 $$

$$ x = z $$

となる。$x, y, z$ は非負の整数であるから、$y \ge 0$ より $6 - 2z \ge 0$、すなわち $0 \le z \le 3$ を満たす必要がある。したがって、考えられる整数の組 $(x, y, z)$ は、$(0, 6, 0), (1, 4, 1), (2, 2, 2), (3, 0, 3)$ の4通りに絞られる。

求める値 $a_1^3 + a_2^3 + a_3^3 + a_4^3 + a_5^3 + a_6^3$ を $S$ とおくと、

$$ S = 1^3 \cdot x + 2^3 \cdot y + 3^3 \cdot z = x + 8y + 27z $$

と表せる。それぞれの $(x, y, z)$ の組について $S$ の値を計算する。

(i) $(x, y, z) = (0, 6, 0)$ のとき

$$ S = 0 + 8 \cdot 6 + 0 = 48 $$

(ii) $(x, y, z) = (1, 4, 1)$ のとき

$$ S = 1 + 8 \cdot 4 + 27 \cdot 1 = 60 $$

(iii) $(x, y, z) = (2, 2, 2)$ のとき

$$ S = 2 + 8 \cdot 2 + 27 \cdot 2 = 72 $$

(iv) $(x, y, z) = (3, 0, 3)$ のとき

$$ S = 3 + 8 \cdot 0 + 27 \cdot 3 = 84 $$

以上より、$S$ の値が最大となるのは $(x, y, z) = (3, 0, 3)$ のときであり、その最大値は $84$ である。

解法2

値の置き換えによる3乗の和の変化に注目する。

条件を満たす数列 $a_1, \dots, a_6$ の中に $2$ が $2$ つ以上含まれているとする。そのうちの $2$ つの $2$ を、$1$ と $3$ のペアに置き換えても、

$$ 2 + 2 = 1 + 3 $$

であるから、値の総和が $12$ であるという条件は崩れない。

一方で、求めるべき3乗の和の増減を考える。置き換える前の2つの項の3乗の和への寄与は、

$$ 2^3 + 2^3 = 16 $$

であるが、置き換えた後の寄与は、

$$ 1^3 + 3^3 = 28 $$

となる。したがって、$2$ つの $2$ を $1$ と $3$ のペアに置き換える操作を行うことで、全体の和を変えることなく、3乗の和を常に大きくすることができる。

このことから、3乗の和が最大となるのは、これ以上置き換え操作ができないとき、すなわち数列に $2$ が高々 $1$ つしか含まれないとき($2$ の個数が $0$ 個または $1$ 個のとき)であると分かる。

(i) $2$ が $0$ 個のとき

値はすべて $1$ または $3$ である。$1$ の個数を $x$、$3$ の個数を $z$ とすると、

$$ x + z = 6 $$

$$ x + 3z = 12 $$

これらを解くと $x = 3, z = 3$ となり、個数として適する。このときの3乗の和は、

$$ 1^3 \cdot 3 + 3^3 \cdot 3 = 3 + 81 = 84 $$

となる。

(ii) $2$ が $1$ 個のとき

残りの $5$ つの項は $1$ または $3$ である。同様に $1$ の個数を $x$、$3$ の個数を $z$ とすると、

$$ x + z = 5 $$

$$ x + 3z = 10 $$

これらを解くと $2z = 5$ より $z = \frac{5}{2}$ となり、$z$ は整数でなければならないため不適である。

以上より、求める最大値は $84$ である。

解説

変数の和が一定という制約のもとで、変数の個数を絞り込む典型的な整数問題である。解法1のように、変数のとる値が3種類しかないことを活かして連立方程式を立て、未知数を消去して候補をすべて列挙するのが最も確実な手法である。

解法2は、「合計を変えずに値のばらつきを大きくすると、高次式の和はどうなるか」に着目したものである。一般に $y = x^3$ のような下に凸の関数においては、変数の合計が一定の場合、変数の値が両極端にばらつくほど関数の値の総和は大きくなる性質がある。この直感を「$2$ を $1$ と $3$ に交換する」という具体的な操作によって証明したのが解法2の論理である。

答え

$84$

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