北海道大学 2016年 文系 第4問 解説

方針・初手
分数式の値が自然数になる条件を求める典型的な整数問題です。 与えられた分数式の値を自然数 $k$ などとおき、不等式を作ってとり得る値を絞り込むか、または分母を払って $x$ についての方程式とみなし、実数解をもつ条件(判別式)から $k$ の値を絞り込むのが基本方針となります。
解法1
(1)
$\frac{3x}{x^2+2}$ が自然数となるためには、少なくとも $$\frac{3x}{x^2+2} \ge 1$$ を満たさなければならない。 $x > 0$ より $x^2+2 > 0$ であるから、両辺に $x^2+2$ を掛けて整理すると、 $$x^2 - 3x + 2 \le 0$$
$$(x-1)(x-2) \le 0$$
これを満たす自然数 $x$ は $x=1, 2$ のみである。 逆に、 $x=1$ のとき $\frac{3 \cdot 1}{1^2+2} = 1$ $x=2$ のとき $\frac{3 \cdot 2}{2^2+2} = 1$ となり、ともに自然数であるから条件を満たす。 よって、$x=1, 2$。
(2)
(1) の議論より、任意の自然数 $x$ に対して $(x-1)(x-2) \ge 0$ が成り立つため(等号成立は $x=1, 2$ のとき)、 $$x^2 - 3x + 2 \ge 0$$
$$3x \le x^2 + 2$$
両辺を $x^2+2$ で割って、 $$\frac{3x}{x^2+2} \le 1$$
また、$x$ は自然数であるから $\frac{3x}{x^2+2} > 0$ である。 したがって、任意の自然数 $x$ において $0 < \frac{3x}{x^2+2} \le 1$ が成り立つ。 さらに $y$ も自然数であるから、$0 < \frac{1}{y} \le 1$ である。 ゆえに、 $$0 < \frac{3x}{x^2+2} + \frac{1}{y} \le 2$$
与式が自然数となるので、その値は $1$ または $2$ に限られる。
(i) $\frac{3x}{x^2+2} + \frac{1}{y} = 2$ のとき
各項の範囲から、和が $2$ となるのは $$\frac{3x}{x^2+2} = 1 \quad \text{かつ} \quad \frac{1}{y} = 1$$ のときに限る。 (1) より、$\frac{3x}{x^2+2} = 1$ を満たす自然数 $x$ は $x=1, 2$。 $\frac{1}{y} = 1$ より $y=1$。 よって、$(x, y) = (1, 1), (2, 1)$。
(ii) $\frac{3x}{x^2+2} + \frac{1}{y} = 1$ のとき
$$\frac{1}{y} = 1 - \frac{3x}{x^2+2} = \frac{x^2-3x+2}{x^2+2}$$
$y$ は自然数であるから $\frac{1}{y} > 0$ であり、$x^2+2 > 0$ であるから、 $$x^2-3x+2 > 0$$
$$(x-1)(x-2) > 0$$
$x$ は自然数であるから、$x \ge 3$。 このとき、 $$y = \frac{x^2+2}{x^2-3x+2} = \frac{(x^2-3x+2) + 3x}{x^2-3x+2} = 1 + \frac{3x}{x^2-3x+2}$$
$y$ が自然数となるためには、$\frac{3x}{x^2-3x+2}$ が正の整数でなければならない。 よって、 $$\frac{3x}{x^2-3x+2} \ge 1$$
分母は正であるから、両辺に掛けて整理すると、 $$x^2 - 3x + 2 \le 3x$$
$$x^2 - 6x + 2 \le 0$$
方程式 $x^2 - 6x + 2 = 0$ の解は $x = 3 \pm \sqrt{7}$ である。 $2 < \sqrt{7} < 3$ であるから、$0 < 3 - \sqrt{7} < 1$、$5 < 3 + \sqrt{7} < 6$。 不等式を満たす自然数 $x$ は $1 \le x \le 5$ であり、条件 $x \ge 3$ と合わせて $x = 3, 4, 5$。 各々について $\frac{3x}{x^2-3x+2}$ の値を調べる。
$x=3$ のとき、$\frac{9}{9-9+2} = \frac{9}{2}$ (不適) $x=4$ のとき、$\frac{12}{16-12+2} = 2$ (適する) $x=5$ のとき、$\frac{15}{25-15+2} = \frac{5}{4}$ (不適)
したがって、$x=4$ のみが適し、このとき $y = 1 + 2 = 3$ となり自然数である。 よって、$(x, y) = (4, 3)$。
(i), (ii) より、求める組は $(1, 1), (2, 1), (4, 3)$。
解法2
(1)
与えられた式が自然数 $k$ に等しいとする。 $$\frac{3x}{x^2+2} = k$$
分母を払って整理すると、 $$kx^2 - 3x + 2k = 0$$
$x$ は実数であるから、この $x$ についての2次方程式の判別式を $D$ とすると、$D \ge 0$ でなければならない。 $$D = (-3)^2 - 4 \cdot k \cdot 2k = 9 - 8k^2 \ge 0$$
$$k^2 \le \frac{9}{8}$$
$k$ は自然数であるから、$k=1$ に限られる。 $k=1$ のとき、方程式は $x^2 - 3x + 2 = 0$ となり、$(x-1)(x-2) = 0$ より $x = 1, 2$。 これらはともに自然数であり条件を満たす。 よって、$x=1, 2$。
(2)
与えられた式が自然数 $N$ に等しいとする。 $$\frac{3x}{x^2+2} + \frac{1}{y} = N$$
両辺に $y(x^2+2)$ を掛けて整理すると、 $$y(N x^2 - 3x + 2N) = x^2 + 2$$
$y \ge 1$ かつ $x^2+2 > 0$ であるから、 $$x^2 + 2 \ge N x^2 - 3x + 2N$$
$$(N-1)x^2 - 3x + 2(N-1) \le 0$$
この不等式を満たす実数 $x$ が存在する必要がある。 $N-1 > 0$ すなわち $N \ge 2$ のとき、左辺の2次関数の判別式を $D'$ とすると、$D' \ge 0$ とならなければならない。 $$D' = (-3)^2 - 4(N-1) \cdot 2(N-1) = 9 - 8(N-1)^2 \ge 0$$
$$(N-1)^2 \le \frac{9}{8}$$
$N$ は自然数であるから $N-1$ は $0$ 以上の整数であり、これを満たすのは $N-1 = 0, 1$ すなわち $N = 1, 2$ のみである。
(i) $N=2$ のとき
先ほどの不等式は $x^2 - 3x + 2 \le 0$ となり、$(x-1)(x-2) \le 0$。 $x$ は自然数より $x=1, 2$。 これらをもとの関係式 $y(2x^2 - 3x + 4) = x^2 + 2$ に代入する。
$x=1$ のとき、$y(2-3+4) = 1+2$ より $3y = 3$、すなわち $y=1$。 $x=2$ のとき、$y(8-6+4) = 4+2$ より $6y = 6$、すなわち $y=1$。
ともに $y$ は自然数となり適する。 よって、$(x, y) = (1, 1), (2, 1)$。
(ii) $N=1$ のとき
関係式は $y(x^2 - 3x + 2) = x^2 + 2$ となる。 $y$ は自然数(正の数)であり、$x^2+2 > 0$ であるから $x^2 - 3x + 2 > 0$ すなわち $(x-1)(x-2) > 0$。 $x$ は自然数より、$x \ge 3$ である。 このとき、 $$y = \frac{x^2+2}{x^2-3x+2} = 1 + \frac{3x}{x^2-3x+2}$$
$y$ が自然数となるためには、$\frac{3x}{x^2-3x+2}$ が正の整数でなければならない。したがって $$\frac{3x}{x^2-3x+2} \ge 1$$
$$x^2 - 6x + 2 \le 0$$
これを解くと $3 - \sqrt{7} \le x \le 3 + \sqrt{7}$。 $2 < \sqrt{7} < 3$ であるから、これを満たす自然数 $x$ は $1, 2, 3, 4, 5$ であり、$x \ge 3$ より $x = 3, 4, 5$。 各々を調べると、
$x=3$ のとき $\frac{3 \cdot 3}{9-9+2} = \frac{9}{2}$ (不適) $x=4$ のとき $\frac{3 \cdot 4}{16-12+2} = 2$ (適する) $x=5$ のとき $\frac{3 \cdot 5}{25-15+2} = \frac{5}{4}$ (不適)
したがって、$x=4$ のみが適し、このとき $y = 1+2 = 3$ であり適する。 よって、$(x, y) = (4, 3)$。
(i), (ii) より、求める組は $(1, 1), (2, 1), (4, 3)$。
解説
「式が整数になる条件」を扱う整数問題の定石を問う問題です。 解法1のように値の範囲を不等式で大まかに絞り込むアプローチと、解法2のように方程式の実数解条件(判別式)に帰着させる代数的なアプローチの2つが有効です。 (1) で不等式評価による絞り込みを経験することで、(2) で複数の文字が登場した際にも「各項の取り得る最大値」に着目し、和が $1$ か $2$ にしかならないと見抜くことができます。文字が多い場合は「範囲の狭いものから決める」のが鉄則です。
答え
(1) $x = 1, 2$ (2) $(x, y) = (1, 1), (2, 1), (4, 3)$
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