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北海道大学 2004年 文系 第2問 解説

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北海道大学 2004年 文系 第2問 解説

方針・初手

関数 $F(x)$ の導関数は、微積分学の基本定理 $\frac{d}{dx}\int_{x}^{x+a} f(t) dt = f(x+a) - f(x)$ を用いて求める。 導関数 $F'(x) = 0$ となる $x$ の値を求める方程式では、絶対値が含まれるため、方程式 $|A| = |B| \iff A = \pm B$ の性質を利用して場合分けを行う。 極値を求める際の定積分は、被積分関数 $y=||t|-1|$ が偶関数であることや、グラフの対称性・直線で囲まれた図形の面積であることを利用すると計算が大幅に簡略化できる。

解法1

(1) $F(x) = \int_{x}^{x+a} ||t|-1| dt$ の両辺を $x$ で微分すると、微積分学の基本定理より導関数が得られる。

$$F'(x) = ||x+a|-1| - ||x|-1|$$

$F'(x) = 0$ となる条件は、

$$||x+a|-1| = ||x|-1|$$

両辺はともに $0$ 以上であるから、この等式は以下のいずれかが成り立つことと同値である。

$$|x+a|-1 = |x|-1 \quad \text{または} \quad |x+a|-1 = -(|x|-1)$$

整理すると、次の2つの場合になる。

$$|x+a| = |x| \quad \text{または} \quad |x+a| + |x| = 2$$

(i) $|x+a| = |x|$ のとき 両辺を2乗して整理する。

$$(x+a)^2 = x^2$$

$$2ax + a^2 = 0$$

$a>0$ であるから、

$$x = -\frac{a}{2}$$

(ii) $|x+a| + |x| = 2$ のとき $f(x) = |x+a| + |x|$ とおく。絶対値を外すと以下のようになる。 $x \geqq 0$ のとき、$f(x) = x+a+x = 2x+a$ $-a \leqq x < 0$ のとき、$f(x) = x+a-x = a$ $x < -a$ のとき、$f(x) = -(x+a)-x = -2x-a$

方程式 $f(x)=2$ の解を $a$ の値で場合分けして求める。

・$0 < a < 2$ のとき $x \geqq 0$ の範囲では $2x+a=2$ より $x = 1-\frac{a}{2}$ となる。$0 < a < 2$ より $1-\frac{a}{2} > 0$ であるため、これは $x \geqq 0$ を満たす解である。 $x < -a$ の範囲では $-2x-a=2$ より $x = -1-\frac{a}{2}$ となる。$-1-\frac{a}{2} < -a \iff a < 2$ であるため、これは $x < -a$ を満たす解である。 $-a \leqq x < 0$ の範囲では $f(x)=a$ となり、$a \neq 2$ より解をもたない。 よって、$x = 1-\frac{a}{2}, -1-\frac{a}{2}$。

・$a = 2$ のとき $f(x)$ は $-2 \leqq x \leqq 0$ の区間で定数値 $2$ をとる。したがって、この区間に含まれるすべての実数 $x$ が解となる。 よって、$-2 \leqq x \leqq 0$。

・$a > 2$ のとき $f(x)$ の最小値は $a$ である。$a > 2$ より $f(x) = 2$ を満たす実数 $x$ は存在しない。

以上より、(i)(ii) を合わせた $F'(x)=0$ の解は以下のようになる。 $0 < a < 2$ のとき、$x = -\frac{a}{2}, 1-\frac{a}{2}, -1-\frac{a}{2}$ $a = 2$ のとき、$-2 \leqq x \leqq 0$ $a > 2$ のとき、$x = -\frac{a}{2}$

(2) $0 < a < 2$ のとき、$F'(x)=0$ の解は小さい順に $x = -1-\frac{a}{2}, -\frac{a}{2}, 1-\frac{a}{2}$ である。 $x$ が十分小さいとき($x < -1-\frac{a}{2}$)、 $x+a < 0$ かつ $x < 0$ であり、$F'(x) = (-x-a-1) - (-x-1) = -a < 0$ となる。 同様に $x$ が十分大きいとき($x > 1-\frac{a}{2}$)、 $F'(x) = (x+a-1) - (x-1) = a > 0$ となる。 $F'(x)$ は連続関数であり、$F'(x)=0$ の解の前後で符号が変わるため、増減は以下のようになる。 $x < -1-\frac{a}{2}$ で減少 $-1-\frac{a}{2} < x < -\frac{a}{2}$ で増加 $-\frac{a}{2} < x < 1-\frac{a}{2}$ で減少 $x > 1-\frac{a}{2}$ で増加

したがって、関数 $F(x)$ は $x = -\frac{a}{2}$ で極大値、$x = 1-\frac{a}{2}$ および $x = -1-\frac{a}{2}$ で極小値をとる。

極大値は以下の積分で求められる。被積分関数 $g(t) = ||t|-1|$ は偶関数であることを利用する。

$$F\left(-\frac{a}{2}\right) = \int_{-a/2}^{a/2} ||t|-1| dt = 2 \int_{0}^{a/2} ||t|-1| dt$$

$0 < a < 2$ より $0 < \frac{a}{2} < 1$ であるから、積分区間 $0 \leqq t \leqq \frac{a}{2}$ において $||t|-1| = |t-1| = 1-t$ である。

$$F\left(-\frac{a}{2}\right) = 2 \int_{0}^{a/2} (1-t) dt = 2 \left[ t - \frac{t^2}{2} \right]_{0}^{a/2} = 2 \left( \frac{a}{2} - \frac{a^2}{8} \right) = a - \frac{a^2}{4}$$

極小値 $F\left(1-\frac{a}{2}\right)$ を計算する。

$$F\left(1-\frac{a}{2}\right) = \int_{1-a/2}^{1+a/2} ||t|-1| dt$$

積分区間は正の領域にあるため、$||t|-1| = |t-1|$ である。ここで $u=t-1$ と置換すると、積分区間は $-\frac{a}{2} \leqq u \leqq \frac{a}{2}$ となる。

$$F\left(1-\frac{a}{2}\right) = \int_{-a/2}^{a/2} |u| du = 2 \int_{0}^{a/2} u du = 2 \left[ \frac{u^2}{2} \right]_{0}^{a/2} = \frac{a^2}{4}$$

もう一つの極小値 $F\left(-1-\frac{a}{2}\right)$ は、偶関数の性質 $g(-t) = g(t)$ を用いて変数変換 $u=-t$ を行うと、

$$F\left(-1-\frac{a}{2}\right) = \int_{-1-a/2}^{-1+a/2} g(t) dt = \int_{1-a/2}^{1+a/2} g(-u) du = \int_{1-a/2}^{1+a/2} g(u) du = F\left(1-\frac{a}{2}\right)$$

となり、両者は一致する。

(3) $a > 2$ のとき、$F'(x)=0$ となるのは $x=-\frac{a}{2}$ のみである。 (2) と同様に導関数の符号を調べると、$x < -\frac{a}{2}$ では $F'(x) < 0$、$x > -\frac{a}{2}$ では $F'(x) > 0$ となる。 したがって、$F(x)$ は $x=-\frac{a}{2}$ で極小(かつ最小)となる。

極小値は以下のようになる。

$$F\left(-\frac{a}{2}\right) = 2 \int_{0}^{a/2} ||t|-1| dt$$

$a > 2$ より $\frac{a}{2} > 1$ であるから、積分区間を $t=1$ で分割して絶対値を外す。

$$F\left(-\frac{a}{2}\right) = 2 \left( \int_{0}^{1} (1-t) dt + \int_{1}^{a/2} (t-1) dt \right)$$

$$= 2 \left( \left[ t - \frac{t^2}{2} \right]_{0}^{1} + \left[ \frac{t^2}{2} - t \right]_{1}^{a/2} \right)$$

$$= 2 \left( \frac{1}{2} + \left( \frac{a^2}{8} - \frac{a}{2} \right) - \left( \frac{1}{2} - 1 \right) \right)$$

$$= 2 \left( \frac{a^2}{8} - \frac{a}{2} + 1 \right) = \frac{a^2}{4} - a + 2$$

解説

絶対値を含む定積分で定義された関数の増減と極値を調べる典型問題である。 導関数 $F'(x)$ を求める際は微積分学の基本定理を用いればよいが、$F'(x)=0$ の方程式を解く際に絶対値の処理を正しく行えるかがポイントとなる。グラフをイメージして視覚的に捉えると、場合分けの条件を見落としにくい。 また、積分計算のフェーズでは、被積分関数が偶関数であることや、特定の直線に対して対称であることを積極的に活用することで、計算量とミスを大幅に減らすことができる。

答え

(1) $F'(x) = ||x+a|-1| - ||x|-1|$ $F'(x)=0$ となる $x$ の値は、 $0 < a < 2$ のとき、$x = -\frac{a}{2}, 1-\frac{a}{2}, -1-\frac{a}{2}$ $a = 2$ のとき、$-2 \leqq x \leqq 0$ $a > 2$ のとき、$x = -\frac{a}{2}$

(2) $x = -\frac{a}{2}$ のとき、極大値 $a - \frac{a^2}{4}$ $x = 1-\frac{a}{2}, -1-\frac{a}{2}$ のとき、極小値 $\frac{a^2}{4}$

(3) $x = -\frac{a}{2}$ のとき、極小値 $\frac{a^2}{4} - a + 2$

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