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北海道大学 2007年 文系 第1問 解説

数学2/図形と式数学1/二次関数数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
北海道大学 2007年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) は、2次方程式の実数解の存在範囲(解の配置)に関する問題である。$f(x) = x^2+ax+b$ とおき、$f(x)=0$ が $-1 \le x \le 1$ の範囲に実数解のみをもつ条件を求める。これには、「判別式 $D \ge 0$」「軸の位置」「区間の端点における関数値の符号」の3つの観点から不等式を立式し、それらが同時に満たされる $ab$ 平面上の領域を考えればよい。

(2) は、(1) で求めた領域内を点 $(a,b)$ が動くときの $a+2b$ の最大値と最小値を求める問題である。$k = a+2b$ とおき、領域の各境界線上における $k$ の値の変化を1変数関数として調べる方法が確実である。

解法1

(1) $f(x) = x^2+ax+b$ とおく。方程式 $f(x)=0$ が実数解をもち、すべての解の絶対値が $1$ 以下であるための条件は、放物線 $y=f(x)$ と $x$ 軸との共有点(接点を含む)が、区間 $-1 \le x \le 1$ の範囲のみに存在することである。

これは、以下の3つの条件が同時に成り立つことと同値である。

条件1: $f(x)=0$ が実数解をもつための判別式 $D$ の条件 $$ D = a^2 - 4b \ge 0 \iff b \le \frac{1}{4}a^2 $$

条件2: 放物線 $y=f(x)$ の軸 $x = -\frac{a}{2}$ が区間 $-1 \le x \le 1$ にある条件 $$ -1 \le -\frac{a}{2} \le 1 \iff -2 \le a \le 2 $$

条件3: 区間の端点 $x=-1, 1$ における関数値の条件 $$ f(1) = 1+a+b \ge 0 \iff b \ge -a-1 $$ かつ $$ f(-1) = 1-a+b \ge 0 \iff b \ge a-1 $$

以上より、求める点 $(a, b)$ 全体の集合は、以下の連立不等式を満たす領域である。

$$ \begin{cases} b \le \frac{1}{4}a^2 \\ -2 \le a \le 2 \\ b \ge -a-1 \\ b \ge a-1 \end{cases} $$

この領域は、$ab$ 平面上において、放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ ($-2 \le a \le 2$) と、2直線 $b = -a-1$、$b = a-1$ によって囲まれた部分である。また、境界線上の交点は以下のようになる。

求める領域はこれらの曲線および直線で囲まれた部分であり、境界線を含む。

(2) $k = a+2b$ とおく。点 $(a,b)$ が(1)で求めた領域内を動くときの $k$ の値の範囲を調べる。最大値および最小値は領域の境界上でとるため、それぞれの境界線に沿って $k$ の増減を調べる。

(i) 点 $(a,b)$ が上側の境界である放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ ($-2 \le a \le 2$) 上にあるとき $$ k = a + 2 \left( \frac{1}{4}a^2 \right) = \frac{1}{2}a^2 + a = \frac{1}{2}(a+1)^2 - \frac{1}{2} $$

このとき、$k$ は $a$ の2次関数であり、$-2 \le a \le 2$ の範囲において、

(ii) 点 $(a,b)$ が左下側の境界である直線 $b = -a-1$ ($-2 \le a \le 0$) 上にあるとき $$ k = a + 2(-a-1) = -a - 2 $$

これは単調減少する1次関数であり、$-2 \le a \le 0$ の範囲において、

(iii) 点 $(a,b)$ が右下側の境界である直線 $b = a-1$ ($0 \le a \le 2$) 上にあるとき $$ k = a + 2(a-1) = 3a - 2 $$

これは単調増加する1次関数であり、$0 \le a \le 2$ の範囲において、

(i), (ii), (iii) より、領域全体を通して $k$ がとりうる最大の値は $4$、最小の値は $-2$ である。

したがって、$a+2b$ の最大値は $4$、最小値は $-2$ である。

解法2

(1) の別解として、解と係数の関係を利用する。

方程式 $x^2+ax+b=0$ の2つの実数解を $\alpha, \beta$ とおく(重解の場合は $\alpha = \beta$)。解と係数の関係より、

$$ \begin{cases} \alpha + \beta = -a \\ \alpha \beta = b \end{cases} $$

条件は、$\alpha, \beta$ が実数であり、$-1 \le \alpha \le 1$ かつ $-1 \le \beta \le 1$ を満たすことである。

まず、$\alpha, \beta$ が実数であるための条件は、$(\alpha - \beta)^2 \ge 0$ であるから、

$$ (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha \beta \ge 0 \iff (-a)^2 - 4b \ge 0 \iff b \le \frac{1}{4}a^2 $$

次に、$-1 \le \alpha \le 1$ かつ $-1 \le \beta \le 1$ は、以下の [条件A][条件B] が同時に成り立つことと同値である。

[条件A] $\alpha + 1 \ge 0$ かつ $\beta + 1 \ge 0$ これは、和と積がともに $0$ 以上であることと同値なので、

$$ \begin{aligned} (\alpha + 1) + (\beta + 1) \ge 0 &\iff (\alpha + \beta) + 2 \ge 0 \iff -a + 2 \ge 0 \iff a \le 2 \\ (\alpha + 1)(\beta + 1) \ge 0 &\iff \alpha \beta + (\alpha + \beta) + 1 \ge 0 \iff b - a + 1 \ge 0 \iff b \ge a - 1 \end{aligned} $$

[条件B] $1 - \alpha \ge 0$ かつ $1 - \beta \ge 0$ 同様に、和と積がともに $0$ 以上であることと同値なので、

$$ \begin{aligned} (1 - \alpha) + (1 - \beta) \ge 0 &\iff 2 - (\alpha + \beta) \ge 0 \iff 2 + a \ge 0 \iff a \ge -2 \\ (1 - \alpha)(1 - \beta) \ge 0 &\iff 1 - (\alpha + \beta) + \alpha \beta \ge 0 \iff 1 + a + b \ge 0 \iff b \ge -a - 1 \end{aligned} $$

以上より、求める条件は $b \le \frac{1}{4}a^2$ かつ $-2 \le a \le 2$ かつ $b \ge a-1$ かつ $b \ge -a-1$ となり、解法1と全く同じ連立不等式が得られる。領域の図示および(2)の解答は解法1と同様である。

解説

(1) は「2次方程式の解の配置問題」における典型であり、落とせない問題である。解法1のように「判別式」「軸」「端点の符号」の3点セットを過不足なく立式するアプローチが王道である。また、解法2のように「解と係数の関係」を用いて文字式を同値変形していく手法も、計算が機械的になるため見通しが良い。

(2) は図示した領域における $k = a+2b$ の最大・最小を求める問題(線形計画法)である。$b = -\frac{1}{2}a + \frac{k}{2}$ と変形し、$ab$ 平面上で傾き $-\frac{1}{2}$ の直線を上下に平行移動させ、領域と共有点をもつ $y$ 切片の最大・最小を視覚的に捉える方法がよく知られている。直線を上へ動かすと点 $(2, 1)$ を通るときに $y$ 切片が最大になり、下へ動かすと点 $(0, -1)$ を通るときに $y$ 切片が最小になることが図から読み取れる。ただし、曲線が境界に含まれる場合は「直線と曲線が接する瞬間」に最大・最小をとるケースもあるため、視覚的な直感だけに頼らず、解法1のように各境界線上での1変数関数として式を用いて厳密に確認する手法が安全である。

答え

(1) $ab$ 平面上において、連立不等式 $$ \begin{cases} b \le \frac{1}{4}a^2 \\ -2 \le a \le 2 \\ b \ge -a-1 \\ b \ge a-1 \end{cases} $$ を満たす領域。すなわち、放物線 $b = \frac{1}{4}a^2$ ($-2 \le a \le 2$)、直線 $b = -a-1$、直線 $b = a-1$ で囲まれた部分(境界線を含む)。

(2) 最大値 $4$、最小値 $-2$

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