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北海道大学 1961年 文系 第5問 解説

数学2/図形と式数学1/二次関数数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/図形総合
北海道大学 1961年 文系 第5問 解説

方針・初手

(1) は絶対値の定義に従って $f(x)$ の符号で場合分けを行い、$g(x)$ の式を決定してからグラフの形状を明らかにする。

(2) は (1) で求めたグラフと直線 $y = ax + b$ の共有点の個数を考える。直線の傾きが $a > 0$ であることに着目し、グラフのどの部分といくつの交点を持つかを視覚的に分類する。その後、2次方程式の解の配置問題(解の存在範囲)に帰着させる。

解法1

(1)

$f(x) = x^2 + x - 2 = (x+2)(x-1)$ である。 $f(x)$ の符号によって場合分けを行う。

(i) $f(x) \ge 0$ すなわち $x \le -2$ または $1 \le x$ のとき

$|f(x)| = f(x)$ となるため、$g(x)$ は以下のようになる。

$$ g(x) = \frac{f(x) - f(x)}{2} = 0 $$

(ii) $f(x) < 0$ すなわち $-2 < x < 1$ のとき

$|f(x)| = -f(x)$ となるため、$g(x)$ は以下のようになる。

$$ g(x) = \frac{-f(x) - f(x)}{2} = -f(x) = -x^2 - x + 2 $$

これを平方完成すると以下のようになる。

$$ g(x) = -\left( x + \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{9}{4} $$

以上より、$y = g(x)$ のグラフは、

(2)

直線 $y = ax + b$ を $l$ とする。 問題の条件より $a > 0$ であるから、直線 $l$ は単調に増加する。 $y = g(x)$ のグラフは $x \le -2$ と $x \ge 1$ の範囲において $x$ 軸上にある。直線 $l$ は単調増加であるため、$x$ 軸と交わるのはただ1点のみである。すなわち、$l$ が $x \le -2$ の部分と $x \ge 1$ の部分の両方と交わることはない。

もし直線 $l$ が $x \ge 1$ の範囲で $x$ 軸と交わる場合、交点より左側($x < 1$)において直線 $l$ の $y$ 座標は負となる。しかし、すべての $x$ において $g(x) \ge 0$ であるため、直線 $l$ は $-2 < x < 1$ の放物線部分と交わることはなく、交点の総数は1個となって不適である。

したがって、直線 $l$ と曲線 $y = g(x)$ が相異なる3点で交わるための条件は、直線 $l$ が $x < -2$ の範囲で $x$ 軸と1点で交わり、かつ $-2 < x < 1$ の範囲で放物線 $y = -x^2 - x + 2$ と相異なる2点で交わることである。

まず、直線 $l$ が $x < -2$ で $x$ 軸と交わる条件を求める。 $ax + b = 0$ の解 $x = -\frac{b}{a}$ が $-2$ より小さければよい。

$$ -\frac{b}{a} < -2 $$

$a > 0$ であるから、両辺に $-a$ を掛けて以下の不等式を得る。

$$ b > 2a $$

次に、直線 $l$ が $-2 < x < 1$ で $y = -x^2 - x + 2$ と相異なる2点で交わる条件を求める。 両辺を等置して整理する。

$$ -x^2 - x + 2 = ax + b $$

$$ x^2 + (a+1)x + b - 2 = 0 $$

$h(x) = x^2 + (a+1)x + b - 2$ とおく。 2次方程式 $h(x) = 0$ が $-2 < x < 1$ の範囲に相異なる2つの実数解をもつための条件は、以下の4つをすべて満たすことである。

(ア) 判別式 $D > 0$

$$ D = (a+1)^2 - 4(b-2) > 0 $$

$$ 4b < a^2 + 2a + 9 $$

$$ b < \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4} $$

(イ) 軸の位置が $-2 < x < 1$ の範囲にある

$$ -2 < -\frac{a+1}{2} < 1 $$

各辺に $-2$ を掛けて符号を反転させる。

$$ -2 < a + 1 < 4 $$

$$ -3 < a < 3 $$

(ウ) $h(-2) > 0$

$$ h(-2) = (-2)^2 + (a+1)(-2) + b - 2 = -2a + b > 0 $$

$$ b > 2a $$

(エ) $h(1) > 0$

$$ h(1) = 1^2 + (a+1)\cdot 1 + b - 2 = a + b > 0 $$

ここで、条件**(ウ)の $b > 2a$ と、問題の条件である $a > 0$ より $b > 0$ となる。したがって、条件(エ)の $a + b > 0$ は常に満たされる。 また、条件(イ)の $-3 < a < 3$ と $a > 0$ の共通範囲は $0 < a < 3$ である。 さらに、条件(ウ)**は、直線 $l$ が $x < -2$ で $x$ 軸と交わるための条件と完全に一致する。

以上をまとめると、求める $a, b$ の関係式は以下のようになる。

$$ 0 < a < 3 \quad \text{かつ} \quad 2a < b < \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4} $$

最後に、この不等式が表す領域を図示するために、境界線の関係を調べる。 放物線 $b = \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4}$ と 直線 $b = 2a$ の交点を求める。

$$ \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4} = 2a $$

$$ a^2 + 2a + 9 = 8a $$

$$ a^2 - 6a + 9 = 0 $$

$$ (a - 3)^2 = 0 $$

ゆえに、$a = 3$ で重解をもつ。すなわち、放物線と直線は点 $(3, 6)$ で接する。 また、放物線の $a = 0$ における $b$ 切片は $\frac{9}{4}$ である。 したがって、求める領域は $ab$ 平面において、直線 $b = 2a$ の上側かつ放物線 $b = \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4}$ の下側で、$0 < a < 3$ を満たす部分となる。

解説

絶対値を含む関数のグラフを描く際は、絶対値記号の中身の正負によって場合分けを行うのが基本である。本問では $f(x)$ 自身の値を用いて $g(x)$ が定義されているため、場合分けによって式が劇的に簡単になる。

(2) では、図形的な考察を事前に行うことで、計算の見通しが良くなる。傾きが正である直線が、定数関数($x$ 軸)の2つの部分とどのようにつながりを持つかを考えると、交点が3つになるパターンは「左側の $x$ 軸部分で1回、真ん中の放物線部分で2回」の1通りしかないことがわかる。その後は典型的な「2次方程式の解の配置問題」に帰着させて丁寧に条件を処理すればよい。

答え

(1) $x \le -2$ または $1 \le x$ のとき $y = 0$、 $-2 < x < 1$ のとき $y = -x^2 - x + 2$ (頂点は $\left(-\frac{1}{2}, \frac{9}{4}\right)$) のグラフとなる。

(2) 関係式: $$ 0 < a < 3 \quad \text{かつ} \quad 2a < b < \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4} $$

存在範囲: $ab$ 平面上において、点 $(3, 6)$ で接する放物線 $b = \frac{1}{4}a^2 + \frac{1}{2}a + \frac{9}{4}$ と直線 $b = 2a$ によって囲まれた、$0 < a < 3$ の領域。 (境界線はすべて含まない)

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