北海道大学 1993年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) は定義に従って代入し、式を整理する。(2) は「2つの集合が一致する」という条件から、要素の総和が等しいことに着目する。(1) の結果を $x=p$ として利用することで $f(p)$ を $p$ と $a$ を用いて表すことができる。そこから $f(p)$ の取り得る3つの値で場合分けを行い、$a<0$ の条件で絞り込む。(3) は(2)で得られた $a$ の値や $f(p)$ の関係式を用い、恒等式のように係数比較を行って $b, c$ を $p$ で表す。最後に $c > 0$ と $p$ が整数であるという条件から $p$ を決定する。
解法1
(1)
与えられた2次関数 $f(x) = ax^2 + bx + c$ に対して、$f(x+1)$ および $f(x-1)$ を計算する。
$$ \begin{aligned} f(x+1) &= a(x+1)^2 + b(x+1) + c \\ &= ax^2 + (2a+b)x + a+b+c \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} f(x-1) &= a(x-1)^2 + b(x-1) + c \\ &= ax^2 + (-2a+b)x + a-b+c \end{aligned} $$
したがって、求める式は次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} &f(x+1) + f(x-1) - 2f(x) \\ &= \{ax^2 + (2a+b)x + a+b+c\} + \{ax^2 + (-2a+b)x + a-b+c\} - 2(ax^2 + bx + c) \\ &= (a+a-2a)x^2 + (2a+b-2a+b-2b)x + (a+b+c+a-b+c-2c) \\ &= 2a \end{aligned} $$
(2)
集合 $\{f(p-1), f(p), f(p+1)\}$ と集合 $\{p-2, p, p+2\}$ が一致するから、両集合の要素の総和は等しい。
$$ f(p-1) + f(p) + f(p+1) = (p-2) + p + (p+2) $$
$$ f(p-1) + f(p) + f(p+1) = 3p $$
また、(1) の結果より、任意の $x$ について $f(x+1) + f(x-1) - 2f(x) = 2a$ が成り立つ。この式に $x=p$ を代入する。
$$ f(p+1) + f(p-1) - 2f(p) = 2a $$
$$ f(p+1) + f(p-1) = 2f(p) + 2a $$
これを要素の総和の式に代入する。
$$ (2f(p) + 2a) + f(p) = 3p $$
$$ 3f(p) + 2a = 3p $$
$$ f(p) = p - \frac{2}{3}a $$
ここで、集合 $\{f(p-1), f(p), f(p+1)\}$ は $\{p-2, p, p+2\}$ と一致するため、$f(p)$ は $p-2$、$p$、$p+2$ のいずれかの値をとる。それぞれの場合について $a$ の値を調べる。
(i) $f(p) = p-2$ のとき
$$ p - \frac{2}{3}a = p - 2 $$
$$ -\frac{2}{3}a = -2 $$
$$ a = 3 $$
これは問題の条件 $a < 0$ に反するため不適である。
(ii) $f(p) = p$ のとき
$$ p - \frac{2}{3}a = p $$
$$ -\frac{2}{3}a = 0 $$
$$ a = 0 $$
これも $a < 0$ に反するため不適である。
(iii) $f(p) = p+2$ のとき
$$ p - \frac{2}{3}a = p + 2 $$
$$ -\frac{2}{3}a = 2 $$
$$ a = -3 $$
これは $a < 0$ を満たす。
以上 (i), (ii), (iii) より、$f(p) = p+2$ が示され、このときの $a$ の値は $a = -3$ である。
(3)
(2)の結果と与えられた条件から、$a = -3$ であり、以下の3式が成り立つ。
$$ \begin{aligned} f(p-1) &= p-2 \\ f(p) &= p+2 \\ f(p+1) &= p \end{aligned} $$
$f(x) = -3x^2 + bx + c$ であるから、$f(p) = p+2$ および $f(p+1) = p$ をそれぞれ立式する。
$$ -3p^2 + bp + c = p+2 \quad \cdots (A) $$
$$ -3(p+1)^2 + b(p+1) + c = p \quad \cdots (B) $$
式(B)を展開して整理する。
$$ -3(p^2 + 2p + 1) + bp + b + c = p $$
$$ (-3p^2 + bp + c) - 6p - 3 + b = p $$
この式に(A)である $-3p^2 + bp + c = p+2$ を代入する。
$$ (p+2) - 6p - 3 + b = p $$
$$ -5p - 1 + b = p $$
$$ b = 6p + 1 $$
次に、$b$ の値を(A)に代入して $c$ を求める。
$$ -3p^2 + (6p+1)p + c = p + 2 $$
$$ -3p^2 + 6p^2 + p + c = p + 2 $$
$$ 3p^2 + c = 2 $$
$$ c = -3p^2 + 2 $$
ここで、問題の条件より $c > 0$ であるため、次の不等式が成り立つ。
$$ -3p^2 + 2 > 0 $$
$$ 3p^2 < 2 $$
$$ p^2 < \frac{2}{3} $$
$p$ は整数であるから、この不等式を満たす整数 $p$ は $p = 0$ のみである。
$p = 0$ を $b = 6p + 1$ および $c = -3p^2 + 2$ に代入する。
$$ b = 6 \cdot 0 + 1 = 1 $$
$$ c = -3 \cdot 0^2 + 2 = 2 $$
求まった値を用いて $f(p-1)$ の条件を確認すると、$f(x) = -3x^2 + x + 2$、$p=0$ より $f(-1) = -3 - 1 + 2 = -2$ となり、$p-2 = -2$ と一致するため条件を満たしている。
したがって、$b = 1$, $c = 2$, $p = 0$ である。
解説
2次関数を題材とした式の値と係数決定の問題である。 (1) で求める式は、2次関数の2階差分が定数になるという性質を表している。(2) では「集合が一致する」という条件をどう扱うかが最大のポイントとなる。それぞれの要素の対応を個別に仮定すると場合分けが煩雑になるが、「要素の和が等しい」という集合が一致するための必要条件を立式し、(1) で導いた関係式と組み合わせることで $f(p)$ の値を絞り込むことができる。 (3) は連立方程式の処理である。差分を利用して文字を消去していくことでスムーズに計算が進む。最後に $c>0$ と $p$ が整数であるという条件から、絞り込まれた不等式を解くことで答えが一つに確定する。
答え
(1) $2a$
(2) $f(p)$ は集合 $\{p-2, p, p+2\}$ の要素であり、$f(p) = p - \frac{2}{3}a$ であることから $f(p) = p+2$ が示される。このときの $a$ の値は $a = -3$。
(3) $b = 1$, $c = 2$, $p = 0$
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