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北海道大学 1997年 理系 第6問 解説

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北海道大学 1997年 理系 第6問 解説

方針・初手

(1)は余事象「出た目の積が4で割り切れない」を考えるのが定石である。積が4で割り切れないのは、すべて奇数の場合と、偶数が1回だけ出てかつそれが2または6である場合である。(2)は反復試行の確率であり、ここでも余事象を活用すると計算量が減る。(3)は確率変数の期待値の定義式を書き下し、二項定理を用いて和を計算する。

解法1

(1)

3個のさいころの目の出方は、全体で $6^3 = 216$ 通りある。

事象 $A$ の余事象 $\bar{A}$ は「出た目の数の積が4で割り切れない」事象である。これが起こるのは、次の2つの場合である。

(i) 3個とも奇数の目が出る場合 目の出方は $1, 3, 5$ の3通りから選ぶので、 $$3^3 = 27 \text{ 通り}$$

(ii) 2個が奇数で、1個が「2または6」の目が出る場合 どのさいころが「2または6」になるかが $_3\text{C}_1$ 通り、その目の出方が2通り、残り2個の奇数の目の出方が $3^2$ 通りある。よって、 $${}_3\text{C}_1 \times 2 \times 3^2 = 3 \times 2 \times 9 = 54 \text{ 通り}$$

(i)(ii) は互いに排反であるから、事象 $\bar{A}$ が起こる場合の数は $$27 + 54 = 81 \text{ 通り}$$

したがって、事象 $\bar{A}$ が起こる確率は $$P(\bar{A}) = \frac{81}{216} = \frac{3}{8}$$

よって、求める確率 $P(A)$ は $$P(A) = 1 - P(\bar{A}) = 1 - \frac{3}{8} = \frac{5}{8}$$

(2)

1回の試行で事象 $A$ が起こる確率は $\frac{5}{8}$、起こらない確率は $\frac{3}{8}$ である。

4回の試行で事象 $A$ が2回以上起こる確率は、全体から「0回起こる(1回も起こらない)」「1回だけ起こる」確率を引くことで求められる。

4回とも事象 $A$ が起こらない確率は $$\left(\frac{3}{8}\right)^4 = \frac{81}{4096}$$

4回のうち事象 $A$ がちょうど1回起こる確率は $${}_4\text{C}_1 \times \left(\frac{5}{8}\right)^1 \times \left(\frac{3}{8}\right)^3 = 4 \times \frac{5}{8} \times \frac{27}{512} = \frac{540}{4096}$$

これらは排反であるから、求める確率は $$1 - \left( \frac{81}{4096} + \frac{540}{4096} \right) = 1 - \frac{621}{4096} = \frac{3475}{4096}$$

(3)

$n$ 回の反復試行において、事象 $A$ が起こる回数を表す確率変数を $Y$ とすると、$Y$ は二項分布 $B\left(n, \frac{5}{8}\right)$ に従う。 事象 $A$ が $k$ 回起こる確率は $$P(Y = k) = {}_n\text{C}_k \left(\frac{5}{8}\right)^k \left(\frac{3}{8}\right)^{n-k} \quad (k = 0, 1, 2, \dots, n)$$

確率変数 $X$ は $X = 3^k = 3^Y$ で定義されるから、求める期待値 $E(X)$ は $$E(X) = \sum_{k=0}^{n} 3^k P(Y=k)$$

これに $P(Y=k)$ の式を代入して変形すると、 $$\begin{aligned} E(X) &= \sum_{k=0}^{n} 3^k \cdot {}_n\text{C}_k \left(\frac{5}{8}\right)^k \left(\frac{3}{8}\right)^{n-k} \\ &= \sum_{k=0}^{n} {}_n\text{C}_k \left(3 \times \frac{5}{8}\right)^k \left(\frac{3}{8}\right)^{n-k} \\ &= \sum_{k=0}^{n} {}_n\text{C}_k \left(\frac{15}{8}\right)^k \left(\frac{3}{8}\right)^{n-k} \end{aligned}$$

ここで、二項定理 $(a+b)^n = \sum_{k=0}^{n} {}_n\text{C}_k a^k b^{n-k}$ を用いると、 $$E(X) = \left(\frac{15}{8} + \frac{3}{8}\right)^n = \left(\frac{18}{8}\right)^n = \left(\frac{9}{4}\right)^n$$

解説

(1)の事象の把握は、確率の基本である「扱いやすい余事象への変換」ができるかが鍵である。「4で割り切れる」条件を直接数えるのは、4の目が出る場合と、2や6が複数回出る場合を整理する必要があり、数え落としのリスクが高い。 (3)は二項分布の期待値 $E(Y)=np$ ではなく、$E(a^Y)$ の形の期待値を求める問題である。期待値の定義式に立ち返り、総和の形を書いた上で、二項定理の展開式の形になっていることに気づけるかがポイントとなる。

答え

(1) $\frac{5}{8}$

(2) $\frac{3475}{4096}$

(3) $\left(\frac{9}{4}\right)^n$

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