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北海道大学 2009年 理系 第2問 解説

数学1/図形計量数学B/数列テーマ/図形総合
北海道大学 2009年 理系 第2問 解説

方針・初手

直角三角形であるという条件を活用するため、直角の頂点 $B$ を基準とする。 $B$ を原点とする座標平面を設定するか、$\vec{BA}$ と $\vec{BC}$ を基底ベクトルとして内積が $0$ になることを利用すると、線分の長さの2乗が計算しやすくなる。その後はシグマの基本的な計算に帰着する。

解法1

(1)

点 $B$ を原点 $(0, 0)$ とし、直線 $BC$ を $x$ 軸、直線 $BA$ を $y$ 軸とする座標平面を設定する。 これにより、頂点の座標を $A(0, a), C(c, 0)$ ($a>0, c>0$)とおくことができる。 三平方の定理より、$AC^2 = AB^2 + BC^2$ であるから、以下の関係式が成り立つ。

$$a^2 + c^2 = \alpha^2$$

点 $D_k$ は、辺 $AC$ を $A$ 側から $k : (n-k)$ に内分する点であるから、その座標は以下のようになる。

$$D_k \left( \frac{(n-k) \cdot 0 + k \cdot c}{n}, \frac{(n-k) \cdot a + k \cdot 0}{n} \right)$$

すなわち、次のように表せる。

$$D_k \left( \frac{kc}{n}, \frac{(n-k)a}{n} \right)$$

点 $B$ は原点であるため、線分 $BD_k$ の長さ $L_k$ の2乗は、各座標の2乗の和として次のように計算できる。

$$(L_k)^2 = \left( \frac{kc}{n} \right)^2 + \left( \frac{(n-k)a}{n} \right)^2 = \frac{1}{n^2} \{ k^2 c^2 + (n-k)^2 a^2 \}$$

したがって、求める和 $S_n$ は次のように計算できる。

$$S_n = \sum_{k=1}^{n-1} (L_k)^2 = \sum_{k=1}^{n-1} \frac{1}{n^2} \{ k^2 c^2 + (n-k)^2 a^2 \}$$

$$= \frac{c^2}{n^2} \sum_{k=1}^{n-1} k^2 + \frac{a^2}{n^2} \sum_{k=1}^{n-1} (n-k)^2$$

ここで、$k$ が $1$ から $n-1$ まで動くとき、$n-k$ は $n-1$ から $1$ まで動くので、和の順序を反転させることで以下の等式が成り立つ。

$$\sum_{k=1}^{n-1} (n-k)^2 = \sum_{k=1}^{n-1} k^2$$

これを用いると、$S_n$ は以下のように整理される。

$$S_n = \frac{a^2+c^2}{n^2} \sum_{k=1}^{n-1} k^2$$

$a^2+c^2 = \alpha^2$ であり、自然数の2乗の和の公式 $\sum_{k=1}^{n-1} k^2 = \frac{1}{6}(n-1)n(2n-1)$ を代入する。

$$S_n = \frac{\alpha^2}{n^2} \cdot \frac{1}{6}(n-1)n(2n-1) = \frac{(n-1)(2n-1)}{6n} \alpha^2$$

(2)

(1) の結果を用いて、極限を計算する。

$$\lim_{n \to \infty} \frac{S_n}{n} = \lim_{n \to \infty} \frac{(n-1)(2n-1)}{6n^2} \alpha^2$$

式を変形し、分母と分子を $n^2$ で割る。

$$= \lim_{n \to \infty} \frac{1}{6} \left( 1 - \frac{1}{n} \right) \left( 2 - \frac{1}{n} \right) \alpha^2$$

$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{n} \to 0$ となるため、

$$= \frac{1}{6} \cdot 1 \cdot 2 \cdot \alpha^2 = \frac{\alpha^2}{3}$$

解法2

(1)

$\vec{BA} = \vec{a}$, $\vec{BC} = \vec{c}$ とする。 $\angle B = 90^\circ$ であるため、内積は $\vec{a} \cdot \vec{c} = 0$ となる。 また、辺 $AC$ の長さが $\alpha$ であることから、以下の関係式が成り立つ。

$$|\vec{c} - \vec{a}|^2 = \alpha^2$$

展開すると、

$$|\vec{a}|^2 - 2\vec{a}\cdot\vec{c} + |\vec{c}|^2 = |\vec{a}|^2 + |\vec{c}|^2 = \alpha^2$$

点 $D_k$ は線分 $AC$ を $k : (n-k)$ に内分する点であるため、位置ベクトル $\vec{BD_k}$ は次のように表される。

$$\vec{BD_k} = \frac{(n-k)\vec{a} + k\vec{c}}{n}$$

よって、線分 $BD_k$ の長さの2乗は次のように計算できる。

$$(L_k)^2 = |\vec{BD_k}|^2 = \frac{1}{n^2} |(n-k)\vec{a} + k\vec{c}|^2$$

$$= \frac{1}{n^2} \left\{ (n-k)^2 |\vec{a}|^2 + 2k(n-k)\vec{a}\cdot\vec{c} + k^2 |\vec{c}|^2 \right\}$$

$\vec{a} \cdot \vec{c} = 0$ であるため、

$$(L_k)^2 = \frac{1}{n^2} \left\{ (n-k)^2 |\vec{a}|^2 + k^2 |\vec{c}|^2 \right\}$$

これの和をとる。

$$S_n = \sum_{k=1}^{n-1} (L_k)^2 = \frac{|\vec{a}|^2}{n^2} \sum_{k=1}^{n-1} (n-k)^2 + \frac{|\vec{c}|^2}{n^2} \sum_{k=1}^{n-1} k^2$$

解法1と同様に $\sum_{k=1}^{n-1} (n-k)^2 = \sum_{k=1}^{n-1} k^2$ であるため、くくり出すことができる。

$$S_n = \frac{|\vec{a}|^2 + |\vec{c}|^2}{n^2} \sum_{k=1}^{n-1} k^2$$

$|\vec{a}|^2 + |\vec{c}|^2 = \alpha^2$ であることから、

$$S_n = \frac{\alpha^2}{n^2} \cdot \frac{1}{6}(n-1)n(2n-1) = \frac{(n-1)(2n-1)}{6n} \alpha^2$$

(2)

極限計算は解法1と同様に実行できる。

$$\lim_{n \to \infty} \frac{S_n}{n} = \lim_{n \to \infty} \frac{(n-1)(2n-1)}{6n^2} \alpha^2 = \frac{\alpha^2}{3}$$

解説

図形的な線分の長さの2乗の和を求める問題である。直角三角形という条件から、直角をなす頂点を原点とした座標軸を設定するか、その頂点を始点とする直交ベクトルを導入するのが定石の手法である。 シグマ計算においては、項をそのまま展開して計算することも可能であるが、$\sum_{k=1}^{n-1} (n-k)^2 = \sum_{k=1}^{n-1} k^2$ となること(和をとる順番が逆になるだけで全体の和は等しいこと)を利用すると計算量が減る。これにより $(a^2+c^2)$ の形を作り出し、条件である $\alpha^2$ に一括で置き換えるのがポイントである。

答え

(1)

$$S_n = \frac{(n-1)(2n-1)}{6n} \alpha^2$$

(2)

$$\lim_{n \to \infty} \frac{S_n}{n} = \frac{\alpha^2}{3}$$

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