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北海道大学 2016年 理系 第1問 解説

数学C/複素数平面数学1/二次関数テーマ/最大・最小
北海道大学 2016年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) 複素数の絶対値の2乗は、自身と共役複素数との積で表されること($|w|^2 = w\bar{w}$)を利用する。問題文で与えられた $|z|=2$ や $z+\bar{z}=2x$ の条件を用いて式を展開・整理していく。

(2) (1) で得られた式は $x$ についての2次関数となる。点 $z$ が円 $C$ 上を一周するとき、$x$ のとり得る値の範囲は $-2 \le x \le 2$ である。この区間における2次関数の最小値を、軸の位置と区間の位置関係によって場合分けして求める。最後に $|w|$ を求めるため平方根をとる際、$\sqrt{A^2} = |A|$ であることに注意してさらに場合分けを行う。

解法1

(1) 点 $z$ は原点を中心とする半径 $2$ の円 $C$ 上にあるので、$|z| = 2$、すなわち $z\bar{z} = 4$ である。 また、$z$ の実部が $x$ であるから、$z + \bar{z} = 2x$ が成り立つ。

$$ \begin{aligned} |w|^2 &= w \bar{w} \\ &= (z^2 - 2az + 1)(\bar{z}^2 - 2a\bar{z} + 1) \\ &= z^2\bar{z}^2 - 2az^2\bar{z} + z^2 - 2az\bar{z}^2 + 4a^2z\bar{z} - 2az + \bar{z}^2 - 2a\bar{z} + 1 \\ &= (z\bar{z})^2 - 2az\bar{z}(z+\bar{z}) + (z^2+\bar{z}^2) + 4a^2z\bar{z} - 2a(z+\bar{z}) + 1 \end{aligned} $$

ここで、$z^2+\bar{z}^2 = (z+\bar{z})^2 - 2z\bar{z} = (2x)^2 - 2 \cdot 4 = 4x^2 - 8$ であるから、これらを代入して、

$$ \begin{aligned} |w|^2 &= 4^2 - 2a \cdot 4 \cdot (2x) + (4x^2 - 8) + 4a^2 \cdot 4 - 2a(2x) + 1 \\ &= 16 - 16ax + 4x^2 - 8 + 16a^2 - 4ax + 1 \\ &= 4x^2 - 20ax + 16a^2 + 9 \end{aligned} $$

(2) 点 $z$ が円 $C$ 上を一周するとき、$z$ の実部 $x$ のとり得る値の範囲は $-2 \le x \le 2$ である。 $f(x) = 4x^2 - 20ax + 16a^2 + 9$ とおくと、

$$ f(x) = 4 \left( x - \frac{5}{2}a \right)^2 - 9a^2 + 9 $$

この関数は下に凸の放物線であり、軸は直線 $x = \frac{5}{2}a$ である。 定義域 $-2 \le x \le 2$ における $f(x)$ の最小値を求めるため、軸の位置によって場合分けを行う。

(i) $\frac{5}{2}a < -2$、すなわち $a < -\frac{4}{5}$ のとき

$f(x)$ は $x = -2$ で最小となる。 最小値は $f(-2) = 4(-2)^2 - 20a(-2) + 16a^2 + 9 = 16a^2 + 40a + 25 = (4a+5)^2$ よって、$|w|$ の最小値は $\sqrt{(4a+5)^2} = |4a+5|$ である。 ここで、 $a < -\frac{5}{4}$ のとき $4a+5 < 0$ より、最小値は $-(4a+5) = -4a-5$ $-\frac{5}{4} \le a < -\frac{4}{5}$ のとき $4a+5 \ge 0$ より、最小値は $4a+5$

(ii) $-2 \le \frac{5}{2}a \le 2$、すなわち $-\frac{4}{5} \le a \le \frac{4}{5}$ のとき

$f(x)$ は $x = \frac{5}{2}a$ で最小となる。 最小値は $f\left(\frac{5}{2}a\right) = -9a^2 + 9$ よって、$|w|$ の最小値は $\sqrt{-9a^2+9} = 3\sqrt{1-a^2}$

(iii) $\frac{5}{2}a > 2$、すなわち $a > \frac{4}{5}$ のとき

$f(x)$ は $x = 2$ で最小となる。 最小値は $f(2) = 4(2)^2 - 20a(2) + 16a^2 + 9 = 16a^2 - 40a + 25 = (4a-5)^2$ よって、$|w|$ の最小値は $\sqrt{(4a-5)^2} = |4a-5|$ である。 ここで、 $\frac{4}{5} < a \le \frac{5}{4}$ のとき $4a-5 \le 0$ より、最小値は $-(4a-5) = -4a+5$ $a > \frac{5}{4}$ のとき $4a-5 > 0$ より、最小値は $4a-5$

解説

(1) における複素数の絶対値の計算は、$z = x+yi$ と成分表示するよりも、共役複素数の性質を利用して展開する方が計算を簡潔に進められる典型的な手法である。(2) は数学Iで学習する「定義域固定で軸が動く2次関数の最小問題」に帰着される。ただし、本問では最終的に $f(x)$ ではなくその平方根 $|w|$ の最小値を求めるため、$\sqrt{A^2} = |A|$ となる性質を用いて、絶対値記号を外すためのさらなる場合分けが必要となる点に注意が必要である。

答え

(1)

$$ |w|^2 = 4x^2 - 20ax + 16a^2 + 9 $$

(2)

$$ \begin{cases} -4a - 5 & \left( a < -\frac{5}{4} \text{ のとき} \right) \\ 4a + 5 & \left( -\frac{5}{4} \le a < -\frac{4}{5} \text{ のとき} \right) \\ 3\sqrt{1-a^2} & \left( -\frac{4}{5} \le a < \frac{4}{5} \text{ のとき} \right) \\ -4a + 5 & \left( \frac{4}{5} \le a < \frac{5}{4} \text{ のとき} \right) \\ 4a - 5 & \left( a \ge \frac{5}{4} \text{ のとき} \right) \end{cases} $$

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