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東北大学 2021年 理系 第5問 解説

数学C/複素数平面数学2/三角関数テーマ/図形総合テーマ/最大・最小
東北大学 2021年 理系 第5問 解説

方針・初手

$z$ を極形式

$$ z=re^{i\theta}\qquad (r\geqq 0) $$

とおくと,点 $A,B$ はそれぞれ

$$ A(z)=re^{i\theta},\qquad B(z^2)=r^2e^{2i\theta} $$

である。したがって

$$ OA=|z|=r,\qquad OB=|z^2|=r^2,\qquad AB=|z^2-z|=r|z-1| $$

となる。

また,三角形 $OAB$ の面積 $S$ は,ベクトル $\overrightarrow{OA},\overrightarrow{OB}$ を用いて

$$ S=\frac12 \left| \det \begin{pmatrix} r\cos\theta & r^2\cos 2\theta\ r\sin\theta & r^2\sin 2\theta \end{pmatrix} \right| =\frac12 r^3|\sin\theta| $$

と表せる。これを用いて各問を処理する。

解法1

(1)

3点 $O,A,B$ が同一直線上にあることは,$\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ が平行であることと同値である。

$\overrightarrow{OA}$ の偏角は $\theta$,$\overrightarrow{OB}$ の偏角は $2\theta$ であるから,平行条件は

$$ 2\theta\equiv \theta \pmod{\pi} $$

すなわち

$$ \theta\equiv 0 \pmod{\pi} $$

である。

これは $z$ が実数であることにほかならない。したがって必要十分条件は

$$ z\in \mathbb{R} $$

である。


(2)

3点 $O,A,B$ が二等辺三角形の頂点になるためには,三辺

$$ OA=r,\qquad OB=r^2,\qquad AB=r|z-1| $$

のうち2つが等しく,しかも3点が一致せず一直線上にもないことが必要である。

まず,辺の等しさを場合分けする。

(i)

$OA=OB$ のとき

$$ r=r^2 $$

より

$$ r=0\ \text{または}\ r=1 $$

である。$r=0$ では $O=A=B$ となり三角形にならないので除く。よって

$$ |z|=1 $$

である。

ただし $z=\pm 1$ のときは3点が一直線上に並ぶので除く。したがってこの場合の軌跡は

$$ |z|=1\qquad (z\neq \pm 1) $$

である。

(ii)

$OA=AB$ のとき

$$ r=r|z-1| $$

より,$r\neq 0$ なので

$$ |z-1|=1 $$

である。これは中心 $1$,半径 $1$ の円である。

この円上で実軸との交点は $z=0,2$ であり,これらでは3点が一直線上に並ぶので除く。したがってこの場合の軌跡は

$$ |z-1|=1\qquad (z\neq 0,2) $$

である。

(iii)

$OB=AB$ のとき

$$ r^2=r|z-1| $$

より,$r\neq 0$ として

$$ r=|z-1| $$

すなわち

$$ |z|=|z-1| $$

である。これは点 $0,1$ からの距離が等しい点の集合であるから,線分 $[0,1]$ の垂直二等分線

$$ \operatorname{Re}(z)=\frac12 $$

となる。

この直線上で実軸上の点 $z=\dfrac12$ では3点が一直線上に並ぶので除く。したがってこの場合の軌跡は

$$ \operatorname{Re}(z)=\frac12\qquad \left(z\neq \frac12\right) $$

である。

以上より,求める $z$ 全体は

$$ |z|=1\ (z\neq \pm 1),\qquad |z-1|=1\ (z\neq 0,2),\qquad \operatorname{Re}(z)=\frac12\ \left(z\neq \frac12\right) $$

の和集合である。


(3)

$0\leqq \theta\leqq \dfrac{\pi}{3}$ とする。この範囲では $\sin\theta\geqq 0$ であるから,

$$ S=\frac12 r^3\sin\theta $$

としてよい。

二等辺三角形になる条件を (i) ~ (iii) で調べる。

(i)

$OA=OB$ のとき

このとき $r=1$ であるから,

$$ S=\frac12 \sin\theta $$

となる。$0\leqq \theta\leqq \dfrac{\pi}{3}$ で最大となるのは $\theta=\dfrac{\pi}{3}$ のときで,

$$ S=\frac12 \sin\frac{\pi}{3}=\frac{\sqrt3}{4} $$

である。

このとき

$$ z=e^{i\pi/3}=\frac12+\frac{\sqrt3}{2}i $$

である。

(ii)

$OA=AB$ のとき

条件 $|z-1|=1$ を極形式で書くと

$$ |re^{i\theta}-1|=1 $$

より

$$ r^2-2r\cos\theta+1=1 $$

すなわち

$$ r(r-2\cos\theta)=0 $$

である。三角形なので $r\neq 0$ だから

$$ r=2\cos\theta $$

となる。したがって

$$ S=\frac12 (2\cos\theta)^3\sin\theta =4\cos^3\theta\sin\theta $$

である。これを微分すると

$$ \frac{dS}{d\theta} =4\cos^2\theta(\cos^2\theta-3\sin^2\theta) $$

となるから,極値条件は

$$ \cos^2\theta=3\sin^2\theta $$

すなわち

$$ \tan\theta=\frac1{\sqrt3} $$

である。範囲内では

$$ \theta=\frac{\pi}{6} $$

のみである。このとき

$$ r=2\cos\frac{\pi}{6}=\sqrt3 $$

なので

$$ S=4\left(\frac{\sqrt3}{2}\right)^3\cdot \frac12 =\frac{3\sqrt3}{4} $$

である。

また

$$ z=\sqrt3,e^{i\pi/6} =\frac32+\frac12 i $$

である。

(iii)

$OB=AB$ のとき

条件 $|z|=|z-1|$ から

$$ r=|re^{i\theta}-1| $$

であり,両辺を2乗すると

$$ r^2=r^2-2r\cos\theta+1 $$

よって

$$ 2r\cos\theta=1 $$

すなわち

$$ r=\frac1{2\cos\theta} $$

である。したがって

$$ S=\frac12 \left(\frac1{2\cos\theta}\right)^3\sin\theta =\frac{\sin\theta}{16\cos^3\theta} $$

となる。これを微分すると

$$ \frac{dS}{d\theta} ================== \frac{\cos^2\theta+3\sin^2\theta}{16\cos^4\theta}>0 $$

であるから,$S$ はこの範囲で単調増加であり,最大は $\theta=\dfrac{\pi}{3}$ のときである。そのとき

$$ r=\frac1{2\cos(\pi/3)}=1 $$

より

$$ S=\frac12 \sin\frac{\pi}{3}=\frac{\sqrt3}{4} $$

である。

以上を比較すると,

$$ \frac{\sqrt3}{4},\qquad \frac{3\sqrt3}{4},\qquad \frac{\sqrt3}{4} $$

のうち最大は

$$ \frac{3\sqrt3}{4} $$

であり,そのとき

$$ z=\frac32+\frac12 i $$

である。

解説

この問題の本質は,点 $A(z)$ と $B(z^2)$ を極形式で

$$ z=re^{i\theta},\qquad z^2=r^2e^{2i\theta} $$

と見ることである。これにより,長さは $r,r^2,r|z-1|$ となり,偏角は $\theta,2\theta$ となるので,直線条件も二等辺条件も整理しやすい。

特に (2) では,二等辺三角形の条件を「3辺のうちどれとどれが等しいか」で分けるのが標準的である。すると軌跡が「円」「円」「直線」の3つに分かれて現れる。

また (3) では,面積公式

$$ S=\frac12 r^3\sin\theta $$

が決定的である。二等辺条件から $r$ を $\theta$ の式で表し,1変数関数の最大値に帰着すればよい。

答え

$$ \text{(1)}\quad z\in \mathbb{R} $$

$$ \text{(2)}\quad \left{ z\mid |z|=1,\ z\neq \pm1 \right} \cup \left{ z\mid |z-1|=1,\ z\neq 0,2 \right} \cup \left{ z\mid \operatorname{Re}(z)=\frac12,\ z\neq \frac12 \right} $$

$$ \text{(3)}\quad \text{面積の最大値は } \frac{3\sqrt3}{4},\ \text{そのとき } z=\frac32+\frac12 i $$

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