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京都大学 1979年 理系 第6問 解説

数学C/式と曲線数学B/数列数学3/積分法テーマ/軌跡・領域テーマ/速度・距離
京都大学 1979年 理系 第6問 解説

方針・初手

(i) 位置ベクトル $\vec{p} = \overrightarrow{OP}$ を $t$ で微分して、速度ベクトル $\vec{v}$ を求める。得られた $\vec{v}$ を $\vec{p}$ の成分 $x, y$ を用いて表すことで、内積 $\vec{p} \cdot \vec{v}$ と速さ $|\vec{v}|$ が $|\vec{p}|$ を用いて簡潔に表せる。これを利用してなす角を計算する。

(ii) 定点 $C(c_1, c_2)$ を極座標表示することで、動点 $P$ の軌跡が極座標 $(r, \theta)$ においてどのような式になるかを把握する(対数螺旋)。点 $P$ が線分 $OC$(半直線 $OC$)を通過する時刻 $t$ を求め、その区間ごとに速さ $|\vec{v}|$ を積分して道のりを計算し、隣り合う道のりの比が一定であることを示す。

解法1

(i)

時刻 $t$ における動点 $P$ の位置ベクトルを $\vec{p} = \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}$、速度ベクトルを $\vec{v} = \begin{pmatrix} \frac{dx}{dt} \\ \frac{dy}{dt} \end{pmatrix}$ とする。 与えられた関係式を行列の積で展開すると、

$$ x = e^{-at}(c_1 \cos bt - c_2 \sin bt) $$

$$ y = e^{-at}(c_1 \sin bt + c_2 \cos bt) $$

これらを $t$ で微分する。積の微分公式を用いると、

$$ \frac{dx}{dt} = -a e^{-at}(c_1 \cos bt - c_2 \sin bt) + e^{-at}(-b c_1 \sin bt - b c_2 \cos bt) = -ax - by $$

$$ \frac{dy}{dt} = -a e^{-at}(c_1 \sin bt + c_2 \cos bt) + e^{-at}(b c_1 \cos bt - b c_2 \sin bt) = -ay + bx $$

すなわち、速度ベクトルは $\vec{v} = \begin{pmatrix} -ax - by \\ bx - ay \end{pmatrix}$ と表される。 ここで、$\vec{p}$ と $\vec{v}$ の内積 $\vec{p} \cdot \vec{v}$ と、それぞれの大きさを計算する。

$$ \vec{p} \cdot \vec{v} = x(-ax - by) + y(bx - ay) = -ax^2 - bxy + bxy - ay^2 = -a(x^2+y^2) = -a|\vec{p}|^2 $$

$$ |\vec{v}|^2 = (-ax - by)^2 + (bx - ay)^2 = a^2x^2 + 2abxy + b^2y^2 + b^2x^2 - 2abxy + a^2y^2 = (a^2+b^2)(x^2+y^2) = (a^2+b^2)|\vec{p}|^2 $$

したがって、$|\vec{v}| = \sqrt{a^2+b^2}|\vec{p}|$ である。 $\vec{p}$ と $\vec{v}$ のなす角を $\phi$ $(0 \leqq \phi \leqq \pi)$ とすると、

$$ \cos \phi = \frac{\vec{p} \cdot \vec{v}}{|\vec{p}| |\vec{v}|} = \frac{-a|\vec{p}|^2}{|\vec{p}| \cdot \sqrt{a^2+b^2}|\vec{p}|} = \frac{-a}{\sqrt{a^2+b^2}} $$

$a > 0, b > 0$ であり、これらは定数であるから $\cos \phi$ は一定の値をとる。 $0 \leqq \phi \leqq \pi$ の範囲において $\cos \phi$ の値から $\phi$ は一意に定まるため、動点 $P$ の速度ベクトルと動径 $OP$ とのなす角は一定であることが示された。

(ii)

点 $C(c_1, c_2)$ は原点とは異なるため、極座標を用いて $c_1 = R \cos \alpha, c_2 = R \sin \alpha$ (ただし $R = \sqrt{c_1^2+c_2^2} > 0$)と表せる。 これを $P$ の座標の式に代入し、三角関数の加法定理を用いると、

$$ x = e^{-at} R(\cos bt \cos \alpha - \sin bt \sin \alpha) = R e^{-at} \cos(bt + \alpha) $$

$$ y = e^{-at} R(\sin bt \cos \alpha + \cos bt \sin \alpha) = R e^{-at} \sin(bt + \alpha) $$

となる。これは、点 $P$ の極座標 $(r, \theta)$ が $r = R e^{-at}, \theta = bt + \alpha$ であることを意味する。 動点 $P$ が半直線 $OC$ 上にくるのは、偏角 $\theta$ が $\alpha + 2m\pi$ ($m$ は $0$ 以上の整数)となるときである。 すなわち、$bt + \alpha = \alpha + 2m\pi$ より $t = \frac{2m\pi}{b}$ となる時刻である。 点 $C$ を出発するのは $m=0$ すなわち $t=0$ のときであり、第 $k$ 回目に交わる点 $C_k$ に到達する時刻 $t_k$ は

$$ t_k = \frac{2k\pi}{b} \quad (k = 1, 2, \dots) $$

である。便宜上 $C_0 = C, t_0 = 0$ とし、第 $k$ 区間の道のり $\overset{\frown}{C_{k-1}C_k}$ を $L_k$ とおく。 道のり $L_k$ は速さ $|\vec{v}|$ を時刻 $t_{k-1}$ から $t_k$ まで積分して得られる。(i) の結果より $|\vec{v}| = \sqrt{a^2+b^2} \sqrt{x^2+y^2} = \sqrt{a^2+b^2} R e^{-at}$ であるから、

$$ L_k = \int_{t_{k-1}}^{t_k} \sqrt{a^2+b^2} R e^{-at} dt = \sqrt{a^2+b^2} R \left[ -\frac{1}{a} e^{-at} \right]_{\frac{2(k-1)\pi}{b}}^{\frac{2k\pi}{b}} $$

$$ L_k = \frac{R \sqrt{a^2+b^2}}{a} \left( e^{-\frac{2a(k-1)\pi}{b}} - e^{-\frac{2ak\pi}{b}} \right) = \frac{R \sqrt{a^2+b^2}}{a} e^{-\frac{2a(k-1)\pi}{b}} \left( 1 - e^{-\frac{2a\pi}{b}} \right) $$

ここで、隣り合う道のりの比をとると、

$$ \frac{L_{k+1}}{L_k} = \frac{e^{-\frac{2ak\pi}{b}}}{e^{-\frac{2a(k-1)\pi}{b}}} = e^{-\frac{2a\pi}{b}} $$

これは $k$ の値に無関係な定数である。 したがって、数列 $\{L_k\}$、すなわち $P$ の経過した道のり $\overset{\frown}{CC_1}, \overset{\frown}{C_1C_2}, \dots, \overset{\frown}{C_kC_{k+1}}, \dots$ は公比 $e^{-\frac{2a\pi}{b}}$ の等比数列であることが示された。

解説

本問で与えられた動点 $P$ の軌跡は「対数螺旋(等角螺旋)」と呼ばれる有名な曲線である。 (i) で証明した「中心からの動径と速度ベクトル(接線方向)のなす角が常に一定である」という性質が「等角」螺旋と呼ばれるゆえんである。 また、対数螺旋は自己相似性(拡大・縮小しても元の図形と重なる性質)を持つため、原点を中心に $1$ 周するごとに図形全体が一定の割合で縮小される。(ii) の道のりが等比数列になるという結果は、この自己相似性を反映したものである。軌跡の媒介変数表示を極座標に変換できるかに気づけば、見通しよく計算を進めることができる。

答え

(i)

略(解法1の証明を参照)

(ii)

略(解法1の証明を参照)

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