京都大学 1997年 理系 第1問 解説

方針・初手
- (1) は、$\triangle OAP$ や $\triangle OAQ$ に着目し、辺の長さを $s$ を用いて表して余弦定理を用いるか、位置ベクトルを用いて計算することで $t$ を $s$ の式として表します。
- (2) は、(1) の結果から点 $Q$ が原点を中心とする円上にあることがわかるため、点 $P$ が単位円上を動くときの点 $Q$ の動く範囲(偏角の範囲や $x$ 座標のとりうる値)を調べます。
解法1
(1)
$\triangle OAP$ において、$\angle OAP = \theta$ とする。余弦定理より、
$$ OP^2 = OA^2 + AP^2 - 2 \cdot OA \cdot AP \cos\theta $$
$OP = 1$, $OA = 2$, $AP = s$ を代入すると、
$$ 1^2 = 2^2 + s^2 - 2 \cdot 2 \cdot s \cos\theta $$
$$ 4s \cos\theta = s^2 + 3 \iff \cos\theta = \frac{s^2 + 3}{4s} $$
条件より $AP \cdot PQ = 3$ であるから、$PQ = \frac{3}{s}$ となる。点 $Q$ は半直線 $AP$ 上にあるので、
$$ AQ = AP + PQ = s + \frac{3}{s} = \frac{s^2 + 3}{s} $$
$\triangle OAQ$ において余弦定理を用いると、
$$ OQ^2 = OA^2 + AQ^2 - 2 \cdot OA \cdot AQ \cos\theta $$
$OQ = t$ を代入し、先ほど求めた $AQ$ と $\cos\theta$ を用いると、
$$ t^2 = 2^2 + \left( \frac{s^2 + 3}{s} \right)^2 - 2 \cdot 2 \cdot \frac{s^2 + 3}{s} \cdot \frac{s^2 + 3}{4s} $$
$$ t^2 = 4 + \frac{(s^2 + 3)^2}{s^2} - \frac{(s^2 + 3)^2}{s^2} $$
$$ t^2 = 4 $$
$t > 0$ であるから、$t = 2$ である。
(2)
(1) の結果より、点 $Q$ は原点中心、半径 $2$ の円 $x^2 + y^2 = 4$ 上にある。
点 $P$ は単位円 $C: x^2 + y^2 = 1$ 上を動くため、半直線 $AP$ の動く範囲を考える。 点 $A(-2, 0)$ から円 $C$ に引いた接線の傾きを $m$ とすると、接線の方程式は $mx - y + 2m = 0$ と表せる。原点と接線の距離が $1$ であるから、
$$ \frac{|2m|}{\sqrt{m^2 + 1}} = 1 \iff 4m^2 = m^2 + 1 \iff m = \pm\frac{1}{\sqrt{3}} $$
これより、半直線 $AP$ (すなわち半直線 $AQ$)と $x$ 軸の正の向きとのなす角 $\alpha$ は、$-\frac{\pi}{6} \le \alpha \le \frac{\pi}{6}$ の範囲を動く。
$\triangle OAQ$ において、$OA = 2$, $OQ = 2$ であるから、$\triangle OAQ$ は二等辺三角形であり、底角は等しく $\angle OAQ = \angle OQA = |\alpha|$ である。 三角形の外角の性質から、直線 $AO$ の $O$ 側の延長 ($x$ 軸正の向き) と線分 $OQ$ のなす角を $\phi$ とすると、これが $Q$ の偏角に相当し、
$$ \phi = 2\alpha $$
となる。$-\frac{\pi}{6} \le \alpha \le \frac{\pi}{6}$ より、$-\frac{\pi}{3} \le \phi \le \frac{\pi}{3}$ となる。
円 $x^2 + y^2 = 4$ 上でこの偏角の範囲にある点の $x$ 座標は、$x = 2\cos\phi \ge 2\cos\frac{\pi}{3} = 1$ を満たす。 よって求める軌跡は、円 $x^2 + y^2 = 4$ の $x \ge 1$ の部分である。
解法2
(1)
$\vec{OA} = (-2, 0)$ とする。
$$ s^2 = |\vec{AP}|^2 = |\vec{OP} - \vec{OA}|^2 = |\vec{OP}|^2 - 2\vec{OP}\cdot\vec{OA} + |\vec{OA}|^2 $$
$|\vec{OP}| = 1$, $|\vec{OA}| = 2$ を代入すると、
$$ s^2 = 1 - 2\vec{OP}\cdot\vec{OA} + 4 \implies 2\vec{OP}\cdot\vec{OA} = 5 - s^2 $$
$\vec{AQ} = \frac{AQ}{AP} \vec{AP} = \frac{s + \frac{3}{s}}{s} \vec{AP} = \left( 1 + \frac{3}{s^2} \right) \vec{AP}$ であるから、$k = 1 + \frac{3}{s^2}$ とおくと、
$$ \vec{OQ} = \vec{OA} + k\vec{AP} = \vec{OA} + k(\vec{OP} - \vec{OA}) = k\vec{OP} + (1-k)\vec{OA} $$
$t^2 = |\vec{OQ}|^2$ を展開すると、
$$ t^2 = k^2 |\vec{OP}|^2 + 2k(1-k)\vec{OP}\cdot\vec{OA} + (1-k)^2 |\vec{OA}|^2 $$
$$ t^2 = k^2 + k(1-k)(5 - s^2) + 4(1-k)^2 $$
ここで、$1 - k = -\frac{3}{s^2}$ であるから、
$$ k(1-k) = \left( 1 + \frac{3}{s^2} \right) \left( -\frac{3}{s^2} \right) = -\frac{3}{s^2} - \frac{9}{s^4} $$
$$ 4(1-k)^2 = 4 \left( -\frac{3}{s^2} \right)^2 = \frac{36}{s^4} $$
$$ k^2 = \left( 1 + \frac{3}{s^2} \right)^2 = 1 + \frac{6}{s^2} + \frac{9}{s^4} $$
これらを代入して整理する。
$$ t^2 = 1 + \frac{6}{s^2} + \frac{9}{s^4} + \left( -\frac{3}{s^2} - \frac{9}{s^4} \right) (5 - s^2) + \frac{36}{s^4} $$
$$ t^2 = 1 + \frac{6}{s^2} + \frac{9}{s^4} - \frac{15}{s^2} + 3 - \frac{45}{s^4} + \frac{9}{s^2} + \frac{36}{s^4} $$
$$ t^2 = 4 $$
$t > 0$ より $t = 2$。
(2)
$Q(X, Y)$ とおく。解法2の (1) より $\vec{OQ} = k\vec{OP} + (1-k)\vec{OA}$ であるから、
$$ \vec{OP} = \frac{1}{k} \vec{OQ} - \frac{1-k}{k} \vec{OA} $$
$k = \frac{s^2 + 3}{s^2}$ より $\frac{1}{k} = \frac{s^2}{s^2 + 3}$, $\frac{1-k}{k} = -\frac{3}{s^2 + 3}$ を代入する。
$$ \vec{OP} = \frac{s^2}{s^2 + 3} (X, Y) + \frac{3}{s^2 + 3} (-2, 0) = \left( \frac{s^2 X - 6}{s^2 + 3}, \frac{s^2 Y}{s^2 + 3} \right) $$
点 $P$ は $x^2 + y^2 = 1$ 上にあるから、
$$ \left( \frac{s^2 X - 6}{s^2 + 3} \right)^2 + \left( \frac{s^2 Y}{s^2 + 3} \right)^2 = 1 $$
両辺に $(s^2 + 3)^2$ を掛けて展開する。
$$ s^4 X^2 - 12s^2 X + 36 + s^4 Y^2 = s^4 + 6s^2 + 9 $$
$$ s^4 (X^2 + Y^2 - 1) - 6s^2 (2X + 1) + 27 = 0 $$
(1) より $X^2 + Y^2 = t^2 = 4$ を代入する。
$$ 3s^4 - 6s^2 (2X + 1) + 27 = 0 $$
$$ s^4 - 2(2X + 1)s^2 + 9 = 0 $$
点 $P$ が存在するためには、この $s^2$ の方程式が、$s$ のとりうる範囲に実数解をもつ必要がある。 点 $A(-2, 0)$ と単位円上の点 $P$ の距離 $s$ は、$1 \le s \le 3$ の範囲を動く。 $u = s^2$ とおくと、$u$ の方程式 $u^2 - 2(2X+1)u + 9 = 0$ が $1 \le u \le 9$ の範囲に実数解をもつ条件を求めればよい。
$f(u) = u^2 - 2(2X+1)u + 9$ とおくと、放物線 $y = f(u)$ の軸は $u = 2X+1$ である。 実数解をもつ条件より、判別式を $D$ とすると、
$$ D/4 = (2X+1)^2 - 9 \ge 0 \iff X \ge 1 \text{ または } X \le -2 $$
$X^2 + Y^2 = 4$ より $-2 \le X \le 2$ であるため、考えうる $X$ の範囲は $1 \le X \le 2$ または $X = -2$ である。
(i)
$1 \le X \le 2$ のとき
軸 $u = 2X+1$ は $3 \le 2X+1 \le 5$ となり、区間 $1 \le u \le 9$ 内にある。端点の値は、
$$ f(1) = 1 - 2(2X+1) + 9 = 8 - 4X = 4(2-X) \ge 0 $$
$$ f(9) = 81 - 18(2X+1) + 9 = 72 - 36X = 36(2-X) \ge 0 $$
となり、条件を満たすため $1 \le u \le 9$ に実数解をもつ。
(ii)
$X = -2$ のとき
軸 $u = -3$ であり、区間 $1 \le u \le 9$ に含まれない。このとき $f(1) = 16 > 0$ であるため、区間内に解をもたない。
以上より、$X$ のとりうる範囲は $1 \le X \le 2$ である。 よって求める軌跡は、円 $x^2 + y^2 = 4$ の $x \ge 1$ の部分である。
解説
- (1) は、一見複雑な計算になりそうですが、解法1のように図形的性質に着目して余弦定理を用いると非常にスマートに解決できます。解法2のようなベクトルによる計算も定石通り進めれば解き切れますが、式変形の工夫が必要です。
- (2) は、(1) で $t=2$ という定数になったことから「点 $Q$ は円周上の点である」という強力な情報を得られます。あとは点 $P$ の動く範囲から点 $Q$ の動く範囲を絞り込むだけです。
- 解法2の (2) のように、逆像法(軌跡上の点 $(X,Y)$ を固定し、対応する点 $P$ が存在するための条件を同値変形で求める)による代数的なアプローチも、軌跡問題における汎用的で強力な武器になります。
答え
(1)
$$ t = 2 $$
(2)
円 $x^2 + y^2 = 4$ の $x \ge 1$ の部分
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