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京都大学 2007年 理系 第3問(甲) 解説

数学A/整数問題テーマ/整数の証明
京都大学 2007年 理系 第3問(甲) 解説

方針・初手

与えられた2つの等式から文字を消去し、整数問題の定石である「$(\text{式}) \times (\text{式}) = \text{定数}$」の形を作ることを目指します。

条件 $a+b+c+d=0$ を用いて $d$ を消去し、$ad-bc+p=0$ に代入して因数分解を行います。右辺を素数 $p$ にすることで、因数の候補を絞り込むことができます。

解法1

$a+b+c+d=0$ より、$d = -a-b-c$ である。

これを $ad-bc+p=0$ に代入すると、

$$\begin{aligned} a(-a-b-c) - bc + p &= 0 \\ -a^2 - ab - ac - bc + p &= 0 \\ a(a+b) + c(a+b) &= p \\ (a+b)(a+c) &= p \end{aligned}$$

$a, b, c$ は整数であるから、$a+b$ と $a+c$ も整数である。

また、条件 $a \geqq b \geqq c \geqq d$ より $b \geqq c$ であるため、$a+b \geqq a+c$ が成り立つ。

$p$ は素数であるから、積が $p$ になる2つの整数の組 $(a+b, a+c)$ のうち、左の数が右の数以上となるものは、

$$ (a+b, a+c) = (p, 1) \quad \text{または} \quad (-1, -p) $$

のいずれかに限られる。

(i) $(a+b, a+c) = (p, 1)$ のとき

$b = p-a, \ c = 1-a$ と表せる。また、$d = -a-b-c = a-p-1$ となる。

これらを大小関係 $a \geqq b \geqq c \geqq d$ に当てはめると、

よって、$a$ が満たすべき条件は

$$ p \leqq 2a \leqq p+2 $$

$p$ は3以上の奇数であるから、$p$ と $p+2$ の間にある偶数は $p+1$ のみである。

$$ 2a = p+1 \iff a = \frac{p+1}{2} $$

このとき、

$$ b = p - \frac{p+1}{2} = \frac{p-1}{2}, \quad c = 1 - \frac{p+1}{2} = -\frac{p-1}{2}, \quad d = \frac{p+1}{2} - p - 1 = -\frac{p+1}{2} $$

(ii) $(a+b, a+c) = (-1, -p)$ のとき

$b = -1-a, \ c = -p-a$ と表せる。また、$d = a+p+1$ となる。

$c \geqq d$ より $-p-a \geqq a+p+1$ すなわち $2a \leqq -2p-1$。

$a \geqq b$ より $a \geqq -1-a$ すなわち $2a \geqq -1$。

これらを同時に満たすには $-1 \leqq 2a \leqq -2p-1$ となる必要があるが、$p \geqq 3$ のとき $-2p-1 \leqq -7$ であり、これを満たす整数 $a$ は存在しない。よって不適。

以上より、求める $a, b, c, d$ の値は (i) で求めた1組のみである。

解説

整数問題の基本である以下の3つのアプローチを組み合わせる良問です。

  1. 文字の消去と因数分解:条件式から文字を減らし、「$(\text{文字式}) \times (\text{文字式}) = \text{整数}$」の形を強引に作り出します。今回は $d$ を消去することで、綺麗な因数分解が現れます。
  2. 素数の性質:右辺が素数 $p$ であることから、因数の候補が $\pm 1, \pm p$ に限定されます。
  3. 大小関係による絞り込み:問題文に与えられた $a \geqq b \geqq c \geqq d$ を使って不要な候補を捨て、変数の範囲を確定させます。途中で「$p$ が奇素数」であることから $2a=p+1$ と偶奇の性質を利用する点もポイントです。

答え

$$ a = \frac{p+1}{2}, \quad b = \frac{p-1}{2}, \quad c = -\frac{p-1}{2}, \quad d = -\frac{p+1}{2} $$

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