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京都大学 2008年 理系 第6問(甲) 解説

数学1/立体図形数学2/三角関数テーマ/空間図形テーマ/不等式の証明
京都大学 2008年 理系 第6問(甲) 解説

方針・初手

2つの切り口の円について、それぞれの半径と中心角を求め、弧の長さ $l_1, l_2$ を計算して比較します。

球を平面で切った切り口は円になります。空間ベクトルを用いて、円の中心と点 $A, B$ とのなす角の $\cos$(余弦)の値を計算し、三角関数の性質から弧の長さの大小関係を導きます。

解法1

球面 $S$ は原点 $O(0, 0, 0)$ を中心とする半径 $1$ の球面であるから、$x^2 + y^2 + z^2 = 1$ と表される。

(i) $l_1$ について

平面 $z = \frac{\sqrt{3}}{2}$ で球面 $S$ を切った切り口は、$z = \frac{\sqrt{3}}{2}$ 上にあり、方程式

$$ x^2 + y^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 = 1 \iff x^2 + y^2 = \frac{1}{4} $$

を満たす円である。

この円の中心を $C$ とすると、$C\left(0, 0, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ であり、円の半径は $r_1 = \frac{1}{2}$ である。

点 $A\left(\frac{1}{2}, 0, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ と点 $B\left(\frac{1}{4}, \frac{\sqrt{3}}{4}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$ はともにこの円周上の点である。

ベクトル $\vec{CA}, \vec{CB}$ の成分はそれぞれ

$$ \vec{CA} = \left(\frac{1}{2}, 0, 0\right) $$

$$ \vec{CB} = \left(\frac{1}{4}, \frac{\sqrt{3}}{4}, 0\right) $$

内積は $\vec{CA} \cdot \vec{CB} = \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{4} + 0 \cdot \frac{\sqrt{3}}{4} + 0 \cdot 0 = \frac{1}{8}$

また、$|\vec{CA}| = \frac{1}{2}, |\vec{CB}| = \frac{1}{2}$ であるから、なす角を $\theta_1$ とすると、

$$ \cos\theta_1 = \frac{\vec{CA} \cdot \vec{CB}}{|\vec{CA}||\vec{CB}|} = \frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2}} = \frac{1}{2} $$

$0 < \theta_1 < \pi$ より $\theta_1 = \frac{\pi}{3}$ である。

したがって、弧の長さ $l_1$ は

$$ l_1 = r_1 \theta_1 = \frac{1}{2} \cdot \frac{\pi}{3} = \frac{\pi}{6} $$

(ii) $l_2$ について

3点 $O, A, B$ を通る平面で球面 $S$ を切った切り口は、球の中心 $O$ を通るため「大円」となる。

この大円の中心は $O(0, 0, 0)$ であり、半径は $r_2 = 1$ である。

点 $A, B$ はこの大円上の点であり、ベクトル $\vec{OA}, \vec{OB}$ を考えると、

$$ \vec{OA} = \left(\frac{1}{2}, 0, \frac{\sqrt{3}}{2}\right) $$

$$ \vec{OB} = \left(\frac{1}{4}, \frac{\sqrt{3}}{4}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right) $$

内積は $\vec{OA} \cdot \vec{OB} = \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{4} + 0 \cdot \frac{\sqrt{3}}{4} + \frac{\sqrt{3}}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{1}{8} + \frac{3}{4} = \frac{7}{8}$

$|\vec{OA}| = 1, |\vec{OB}| = 1$ であるから、なす角を $\theta_2$ とすると、

$$ \cos\theta_2 = \frac{\vec{OA} \cdot \vec{OB}}{|\vec{OA}||\vec{OB}|} = \frac{7}{8} $$

弧の長さ $l_2$ は $l_2 = r_2 \theta_2 = 1 \cdot \theta_2 = \theta_2$ である。

つまり、$\cos l_2 = \frac{7}{8}$ ($0 < l_2 < \pi$)である。

(iii) 大小比較

$l_1 = \frac{\pi}{6}$ より、

$$ \cos l_1 = \cos\frac{\pi}{6} = \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\sqrt{48}}{8} $$

一方、

$$ \cos l_2 = \frac{7}{8} = \frac{\sqrt{49}}{8} $$

したがって、$\cos l_1 < \cos l_2$ が成り立つ。

$0 < x < \pi$ の範囲において関数 $\cos x$ は単調減少であるから、$\cos l_1 < \cos l_2$ ならば $l_1 > l_2$ である。

解説

球面上における「最短経路」にまつわる有名な事実を、具体的な座標計算で確かめる問題です。

球面上にある2点を結ぶ経路のうち、最も距離が短くなるのは、2点と球の中心を通る平面で切断してできる大円(大圏コース)上の弧です。本問では $l_2$ が大円上の弧に相当するため、背景知識があれば計算する前から $l_1 > l_2$ となることは予測できます。

計算においては、ベクトルの内積を用いて中心角の $\cos$ を求めますが、$\theta_2$ が有名角にならないため、具体的な角度を求めるのではなく、$\cos$ の値の大小($\sqrt{48}$ と $\sqrt{49}$ の比較)から角度の大小(すなわち弧の長さの大小)を比較するのがポイントです。

答え

題意の通り、$l_1 > l_2$ となることが示された。

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