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名古屋大学 2003年 理系 第4問 解説

数学1/立体図形数学2/三角関数テーマ/空間図形テーマ/存在証明
名古屋大学 2003年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) 平行四辺形の辺と対角線の長さの関係式を導く問題である。余弦定理を2つの三角形に適用して角度を消去するか、平行四辺形の対角線が互いの中点で交わる性質を利用して中線定理を適用するのが定石である。

(2) すべての面が合同な三角形になる四面体(等面四面体)が存在することを示す問題である。等面四面体は、直方体の頂点から互いに隣り合わない4点を選ぶことで構成できるという性質を利用する。与えられた三角形の辺の長さ $a, b, c$ から直方体の3辺の長さを逆算し、それが実数として確かに存在することを示せばよい。

解法1

(1) 平行四辺形 $ABCD$ に対角線を引く。 $\triangle ABD$ において、余弦定理より、

$$ BD^2 = AB^2 + AD^2 - 2AB \cdot AD \cos \angle DAB $$

すなわち、

$$ c^2 = a^2 + b^2 - 2ab \cos \angle DAB $$

また、$\triangle ABC$ において、余弦定理より、

$$ AC^2 = AB^2 + BC^2 - 2AB \cdot BC \cos \angle ABC $$

平行四辺形の隣り合う内角の和は $180^\circ$ であるから、$\angle ABC = 180^\circ - \angle DAB$ である。 したがって、$\cos \angle ABC = \cos(180^\circ - \angle DAB) = -\cos \angle DAB$ となる。 ゆえに、

$$ AC^2 = AB^2 + BC^2 + 2AB \cdot BC \cos \angle DAB $$

すなわち、

$$ d^2 = a^2 + b^2 + 2ab \cos \angle DAB $$

2つの式を辺々加えると、

$$ c^2 + d^2 = 2a^2 + 2b^2 $$

両辺を2で割って、

$$ a^2 + b^2 = \frac{1}{2}(c^2 + d^2) $$

が成り立つ。

(2) 題意を満たす四面体を直方体の頂点を用いて構成することを考える。 3辺の長さが $x, y, z$ である直方体を考え、その頂点から互いに隣り合わない4点を選んで結ぶと四面体ができる。 空間座標において、これら4点を $(0,0,0), (x,y,0), (x,0,z), (0,y,z)$ と置くことができる。 この四面体の6つの辺は、直方体の各面の対角線となっている。 四面体の各面の三角形の辺の長さを $a, b, c$ とするためには、直方体の各面の対角線の長さがそれぞれ $a, b, c$ になればよい。 すなわち、

$$ \begin{cases} x^2 + y^2 = a^2 \\ y^2 + z^2 = b^2 \\ z^2 + x^2 = c^2 \end{cases} $$

を満たす正の実数 $x, y, z$ が存在すれば、題意の四面体が構成できる。 この連立方程式を解く。3式の辺々を加えると、

$$ 2(x^2 + y^2 + z^2) = a^2 + b^2 + c^2 $$

$$ x^2 + y^2 + z^2 = \frac{a^2 + b^2 + c^2}{2} $$

この式から各元の式を引くことで、$x^2, y^2, z^2$ を求める。

$$ x^2 = \frac{c^2 + a^2 - b^2}{2} $$

$$ y^2 = \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2} $$

$$ z^2 = \frac{b^2 + c^2 - a^2}{2} $$

条件より $0 < a \leqq b \leqq c$ であるから、

$$ c^2 + a^2 - b^2 \geqq b^2 + a^2 - b^2 = a^2 > 0 $$

$$ b^2 + c^2 - a^2 \geqq a^2 + c^2 - a^2 = c^2 > 0 $$

となり、$x^2 > 0, z^2 > 0$ は常に満たされる。 また、問題の条件より $a^2 + b^2 > c^2$ であるから、

$$ a^2 + b^2 - c^2 > 0 $$

となり、$y^2 > 0$ も満たされる。 したがって、$x^2 > 0, y^2 > 0, z^2 > 0$ となり、これらを満たす正の実数 $x, y, z$ が確かに存在する。 よって、直方体の3辺の長さを

$$ x = \sqrt{\frac{c^2 + a^2 - b^2}{2}}, \quad y = \sqrt{\frac{a^2 + b^2 - c^2}{2}}, \quad z = \sqrt{\frac{b^2 + c^2 - a^2}{2}} $$

として直方体を作り、その互いに隣り合わない4つの頂点を結ぶことで、各面の三角形の辺の長さが $a, b, c$ となる四面体が作れることが証明された。

解法2

(1) の別解(中線定理を利用)

平行四辺形 $ABCD$ の対角線 $AC$ と $BD$ の交点を $M$ とする。 平行四辺形の対角線はそれぞれの中点で交わるので、$M$ は $AC, BD$ の中点である。 したがって、$AM = \frac{d}{2}, BM = \frac{c}{2}$ である。 $\triangle ABC$ において、線分 $BM$ は中線であるから、中線定理(パップスの定理)より、

$$ AB^2 + BC^2 = 2(AM^2 + BM^2) $$

が成り立つ。これに各長さを代入すると、

$$ a^2 + b^2 = 2 \left\{ \left(\frac{d}{2}\right)^2 + \left(\frac{c}{2}\right)^2 \right\} $$

$$ a^2 + b^2 = 2 \left( \frac{d^2}{4} + \frac{c^2}{4} \right) $$

$$ a^2 + b^2 = \frac{1}{2}(c^2 + d^2) $$

となり、題意は示された。

解説

(1) は「平行四辺形の法則」として知られる有名な等式である。余弦定理を用いて角度を消去するか、中線定理を直接適用することで簡潔に証明できる。 (2) は「等面四面体」の存在条件に関する問題である。各面が合同な三角形である四面体は、直方体に埋め込む形で構成できるという背景知識があると見通しが良くなる。構成的に存在を示すために、直方体の辺の長さが実数として存在することを言えば十分である。また、条件 $a^2 + b^2 > c^2$ は、最も長い辺が $c$ であるとき、面となる三角形が鋭角三角形であることを意味している。等面四面体の各面は必ず鋭角三角形となることが知られている。

答え

(1), (2) ともに証明問題のため、解答中の証明過程を参照。

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