九州大学 1965年 文系 第6問 解説

方針・初手
2つの図形の方程式 $f(x, y) = 0$ と $g(x, y) = 0$ に対して、$f(x, y) + kg(x, y) = 0$ は、2つの図形の交点を通る図形(円束)を表すという性質を利用する。 まずは与えられた2つの円が実際に交点を持つかを確認したうえで、どのような図形になるかを記述する。 中心の軌跡については、与式を $x$、$y$ について平方完成して中心の座標を $k$ で表し、媒介変数 $k$ を消去して $x$ と $y$ の関係式を導く。その際、$k$ のとりうる値の範囲から生じる軌跡の除外点に注意する。
解法1
与えられた方程式は、次のように書ける。
$$(x^2 + y^2 - 2x - 3) + k(x^2 + y^2 - 4x - 2y + 4) = 0 \quad \cdots ①$$
ここで、$x^2+y^2-2x-3=0$ と $x^2+y^2-4x-2y+4=0$ はそれぞれ円を表し、平方完成すると以下のようになる。
$$\begin{aligned} (x-1)^2 + y^2 &= 4 \quad \text{(中心 $(1, 0)$,半径 $2$)} \cdots ② \\ (x-2)^2 + (y-1)^2 &= 1 \quad \text{(中心 $(2, 1)$,半径 $1$)} \cdots ③ \end{aligned}$$
2円 ②、③ の中心間の距離 $d$ は $d = \sqrt{(2-1)^2 + (1-0)^2} = \sqrt{2}$ である。 半径の差は $2-1=1$、半径の和は $2+1=3$ であり、$1 < d < 3$ が成り立つため、これら2つの円は異なる2点で交わる。
恒等式の性質から、方程式 ① は2円 ②、③ の交点を通る図形を表す。 $k \neq -1$ であるため、① を展開したときの $x^2$ と $y^2$ の係数 $1+k$ は $0$ にならない。したがって、① は円を表す。 また、① は $k$ にどのような実数を代入しても、円 ③ そのものを表すことはできない。 よって、① が表すのは「2円 $x^2+y^2-2x-3=0$ と $x^2+y^2-4x-2y+4=0$ の2交点を通る円(ただし、円 $x^2+y^2-4x-2y+4=0$ を除く)」である。
次に、中心の軌跡を求める。① を展開して整理すると、
$$(k+1)x^2 + (k+1)y^2 - 2(2k+1)x - 2ky + 4k - 3 = 0$$
$k \neq -1$ より $k+1 \neq 0$ であるから、両辺を $k+1$ で割ると、
$$x^2 + y^2 - 2 \cdot \frac{2k+1}{k+1}x - \frac{2k}{k+1}y + \frac{4k-3}{k+1} = 0$$
これを平方完成して中心の座標を求める。
$$\left( x - \frac{2k+1}{k+1} \right)^2 + \left( y - \frac{k}{k+1} \right)^2 = \left( \frac{2k+1}{k+1} \right)^2 + \left( \frac{k}{k+1} \right)^2 - \frac{4k-3}{k+1}$$
この円の中心を $(X, Y)$ とおくと、
$$\begin{cases} X = \frac{2k+1}{k+1} \\ Y = \frac{k}{k+1} \end{cases}$$
第2式より、$Y = \frac{k+1-1}{k+1} = 1 - \frac{1}{k+1}$ と変形できる。 $k$ は $-1$ 以外のすべての実数値をとるため、$\frac{1}{k+1} \neq 0$ であり、$Y \neq 1$ である。 第2式を $k$ について解くと、
$$Y(k+1) = k \iff k(1-Y) = Y \iff k = \frac{Y}{1-Y}$$
これを第1式に代入して $k$ を消去する。
$$X = \frac{2\left( \frac{Y}{1-Y} \right) + 1}{\frac{Y}{1-Y} + 1} = \frac{2Y + (1 - Y)}{Y + (1 - Y)} = Y + 1$$
したがって、$X - Y - 1 = 0$ が得られる。 $Y \neq 1$ であるから、求める軌跡の方程式は直線 $x - y - 1 = 0$ のうち $y=1$(このとき $x=2$)となる点を除いた部分である。
解法2
軌跡の方程式に関する別解を示す。
$k \neq -1$ において、与えられた方程式は2円の交点を通る円を表す。 一般に、2つの円の交点を通る円群の中心は、もとの2円の中心を通る直線上に存在する。
もとの2円の中心は、解法1で求めた通り $A(1, 0)$ と $B(2, 1)$ である。 これらの2点を通る直線の方程式は、
$$y - 0 = \frac{1 - 0}{2 - 1} (x - 1) \iff x - y - 1 = 0$$
となる。 与えられた方程式は円 $B$ 自身を表すことはできないため、円群の中心が点 $B(2, 1)$ になることはない。 よって、求める中心の軌跡の方程式は $x - y - 1 = 0$(ただし点 $(2, 1)$ を除く)となる。
解説
「円束(えんそく)」と呼ばれる頻出テーマである。 $f(x, y) + kg(x, y) = 0$ という形の方程式は、基本的には $f(x, y) = 0$ と $g(x, y) = 0$ の交点を通る図形を表す。 このとき、$k=-1$ であれば $x^2$ と $y^2$ の項が消えて2円の交点を通る「直線(根軸)」を表し、$k \neq -1$ であれば「円」を表す。 本問では軌跡における「除外点」の扱いが重要になる。式から $k$ を消去する際に分母が $0$ にならない条件から除外点を見つけることができるが、解法2のように図形的な性質(円群の中心は、もとの2円の中心を通る直線上にある)から考えることで、直感的に除外点(表せない円の中心)を特定でき、計算量も大幅に抑えることができる。
答え
- どんな円を表すか:2円 $x^2+y^2-2x-3=0$ と $x^2+y^2-4x-2y+4=0$ の2交点を通る円(ただし、円 $x^2+y^2-4x-2y+4=0$ を除く)
- 中心の軌跡の方程式:$x - y - 1 = 0$ (ただし、点 $(2, 1)$ を除く)
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