北海道大学 1965年 文系 第4問 解説

方針・初手
点 $P$ の座標を変数を用いて表し、直線 $AP$ と直線 $BQ$ の方程式を求めます。その後、2直線の交点 $R$ の座標 $(X, Y)$ について、媒介変数を消去して $X, Y$ の関係式(軌跡の方程式)を導出します。
その際、「弦 $PQ$ が引けること」「直線 $AP, BQ$ が交点を持つこと」から点 $P$ の動く範囲に制限がかかるため、軌跡の定義域や値域を正確に求めることが重要です。
解法1
点 $P$ は円 $x^2 + y^2 = a^2$ の円弧 $ACB$ 上にあり、$y$ 軸に平行な弦 $PQ$ が存在することから、$P$ は $x$ 軸上の点 $A(-a, 0), B(a, 0)$ とは一致しません。 また、$P$ が $y$ 軸上の点 $C(0, a)$ にあるとき、2直線 $AP, BQ$ はともに傾き $1$ の平行な直線となり交点を持たないため、$P \neq C$ です。
したがって、$P(s, t)$ とおくと、 $$ s^2 + t^2 = a^2 \quad (t > 0, \ s \neq 0) $$ を満たします。このとき、点 $Q$ は $x$ 軸について $P$ と対称な位置にあるため、$Q(s, -t)$ と表せます。
直線 $AP$ は、2点 $A(-a, 0), P(s, t)$ を通るため、その方程式は $$ y = \frac{t}{s+a}(x+a) \quad \cdots (1) $$ となります。
直線 $BQ$ は、2点 $B(a, 0), Q(s, -t)$ を通るため、その方程式は $$ y = \frac{-t}{s-a}(x-a) \quad \cdots (2) $$ となります。
2直線の交点 $R$ の座標を $(X, Y)$ とすると、(1), (2) より以下が成り立ちます。 $$ Y = \frac{t}{s+a}(X+a) \quad \cdots (3) $$ $$ Y = \frac{-t}{s-a}(X-a) \quad \cdots (4) $$
(3) と (4) の辺々を掛け合わせると、 $$ Y^2 = \frac{-t^2}{(s+a)(s-a)} (X+a)(X-a) $$ $$ Y^2 = \frac{-t^2}{s^2 - a^2} (X^2 - a^2) $$
ここで、$s^2 + t^2 = a^2$ より $-t^2 = s^2 - a^2$ であるため、これを代入して整理します。 $$ Y^2 = X^2 - a^2 $$ $$ X^2 - Y^2 = a^2 $$ これが交点 $R$ の満たす方程式です。
次に、$X, Y$ のとり得る値の範囲を考えます。 (3) より、 $$ \frac{Y}{X+a} = \frac{t}{s+a} $$ となります。$t > 0$ かつ $s > -a$ であるため、右辺は正となります。よって、 $$ \frac{Y}{X+a} > 0 $$ が成り立ちます。これは以下の2つの場合を意味します。
(i) $X + a > 0$ かつ $Y > 0$ (すなわち $X > -a, Y > 0$) (ii) $X + a < 0$ かつ $Y < 0$ (すなわち $X < -a, Y < 0$)
双曲線 $X^2 - Y^2 = a^2$ 上において、 (i) の範囲は、頂点より右側の部分 $X > a$ に該当し、このとき $Y > 0$ となります。 (ii) の範囲は、頂点より左側の部分 $X < -a$ であり、このとき $Y < 0$ となります。
以上より、求める軌跡は双曲線 $x^2 - y^2 = a^2$ のうち、$x > a, y > 0$ の部分と $x < -a, y < 0$ の部分です。
解法2
点 $P$ は円弧 $ACB$ 上にあるため、媒介変数 $\theta$ を用いて $P(a \cos\theta, a \sin\theta)$ とおくことができます。 $y$ 軸に平行な弦 $PQ$ が存在し、直線 $AP, BQ$ が交点を持つ条件から、$P$ は点 $A, B, C$ のいずれとも一致しません。よって、$\theta$ の範囲は $$ 0 < \theta < \pi, \quad \theta \neq \frac{\pi}{2} $$ となります。
このとき、$Q(a \cos\theta, -a \sin\theta)$ と表せます。 点 $A(-a, 0)$ より、直線 $AP$ の傾きは半角の公式を用いると $$ \frac{a \sin\theta}{a \cos\theta + a} = \frac{2 \sin\frac{\theta}{2} \cos\frac{\theta}{2}}{2 \cos^2\frac{\theta}{2}} = \tan\frac{\theta}{2} $$ となるため、直線 $AP$ の方程式は $$ y = \tan\frac{\theta}{2} (x+a) \quad \cdots (5) $$ となります。
同様に、点 $B(a, 0)$ より、直線 $BQ$ の傾きは $$ \frac{-a \sin\theta}{a \cos\theta - a} = \frac{-2 \sin\frac{\theta}{2} \cos\frac{\theta}{2}}{-2 \sin^2\frac{\theta}{2}} = \frac{1}{\tan\frac{\theta}{2}} $$ となるため、直線 $BQ$ の方程式は $$ y = \frac{1}{\tan\frac{\theta}{2}} (x-a) \quad \cdots (6) $$ となります。
交点 $R(X, Y)$ において、(5) と (6) の辺々を掛け合わせると $$ Y^2 = \tan\frac{\theta}{2} \cdot \frac{1}{\tan\frac{\theta}{2}} (X+a)(X-a) $$ $$ Y^2 = X^2 - a^2 $$ $$ X^2 - Y^2 = a^2 $$ が得られます。
軌跡の範囲について、$\tan\frac{\theta}{2} = m$ とおきます。 $0 < \theta < \pi, \theta \neq \frac{\pi}{2}$ より、$m > 0, m \neq 1$ です。 (5), (6) を $X, Y$ について解くと、 $$ X = a \frac{1+m^2}{1-m^2}, \quad Y = a \frac{2m}{1-m^2} $$ となります。
(i) $0 < m < 1$(すなわち $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$)のとき $1 - m^2 > 0$ であるから、$X > a, Y > 0$ となります。
(ii) $m > 1$(すなわち $\frac{\pi}{2} < \theta < \pi$)のとき $1 - m^2 < 0$ であるから、$X < -a, Y < 0$ となります。
したがって、求める軌跡は双曲線 $x^2 - y^2 = a^2$ の $x > a, y > 0$ または $x < -a, y < 0$ の部分です。
解説
2直線の交点の軌跡を求める標準的な問題です。得られた方程式の図形全体が軌跡になるわけではなく、動点 $P$ の条件から軌跡の範囲が限定される点に注意が必要です。 解法1のように交点 $X, Y$ とパラメータ $s, t$ の関係式から同値変形を通して範囲を絞るか、解法2のようにパラメータを1つに絞って $X, Y$ を直接評価することで、正しい定義域や値域を見つけることができます。 また、$P$ が $y$ 軸上の点 $C$ にあるとき、交点が存在しない(無限遠に飛ぶ)という例外処理を忘れないようにしましょう。
答え
方程式: $x^2 - y^2 = a^2 \quad (x > a, \ y > 0 \text{ または } x < -a, \ y < 0)$
図への記入: 原点を中心とし $x$ 軸上に頂点をもつ直角双曲線 $x^2 - y^2 = a^2$ のうち、第1象限にある部分($y > 0$)および第3象限にある部分($y < 0$)を実線で記入する。
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