九州大学 1965年 文系 第5問 解説

方針・初手
与えられた方程式には角として $2k$、$x-k$、$x+k$ が含まれている。これらを扱いやすい形に揃えることが第一歩となる。 $x+k = (x-k) + 2k$ とみなして加法定理を用いると、式全体が $x-k$ と $2k$ の角で統一され、計算が大幅に簡略化できる。 また、すべてを $x$ と $k$ に展開して整理し、倍角の公式を用いて角を揃える方針でも解くことができる。
解法1
与えられた方程式
$$\cos 2k \cos(x-k) - \cos(x+k) = \sin 2k$$
において、第2項の角を $x+k = (x-k) + 2k$ と変形し、加法定理を適用する。
$$\cos(x+k) = \cos \{(x-k) + 2k\} = \cos(x-k)\cos 2k - \sin(x-k)\sin 2k$$
これを元の式に代入する。
$$\cos 2k \cos(x-k) - \{ \cos(x-k)\cos 2k - \sin(x-k)\sin 2k \} = \sin 2k$$
左辺を展開して整理すると、$\cos 2k \cos(x-k)$ の項が消去される。
$$\sin(x-k)\sin 2k = \sin 2k$$
ここで、問題の条件より $k$ は $\frac{\pi}{2}$ の倍数ではない。すなわち、$m$ を整数として $k \neq \frac{m}{2}\pi$ と表されるため、$2k \neq m\pi$ である。
したがって、$2k$ は $\pi$ の倍数ではなく、$\sin 2k \neq 0$ が成り立つ。 両辺を $\sin 2k$ で割ると、次の方程式を得る。
$$\sin(x-k) = 1$$
これを満たす $x-k$ を求める。$n$ を任意の整数として、
$$x-k = \frac{\pi}{2} + 2n\pi$$
よって、$x$ は次のように求まる。
$$x = k + \frac{\pi}{2} + 2n\pi$$
解法2
加法定理を用いて、与式の $\cos(x-k)$ および $\cos(x+k)$ を展開する。
$$\cos 2k (\cos x \cos k + \sin x \sin k) - (\cos x \cos k - \sin x \sin k) = \sin 2k$$
左辺を $\cos x \cos k$ と $\sin x \sin k$ についてまとめる。
$$\cos x \cos k (\cos 2k - 1) + \sin x \sin k (\cos 2k + 1) = \sin 2k$$
ここで、倍角の公式 $\cos 2k = 1 - 2\sin^2 k = 2\cos^2 k - 1$ より、以下の関係が成り立つ。
$$\cos 2k - 1 = -2\sin^2 k$$
$$\cos 2k + 1 = 2\cos^2 k$$
また、$\sin 2k = 2\sin k \cos k$ である。これらを式に代入する。
$$\cos x \cos k (-2\sin^2 k) + \sin x \sin k (2\cos^2 k) = 2\sin k \cos k$$
両辺を $2$ で割り、共通因数を分かりやすい形に並べ替える。
$$-\cos x \sin^2 k \cos k + \sin x \sin k \cos^2 k = \sin k \cos k$$
問題の条件「$k$ は $\frac{\pi}{2}$ の倍数ではない」より、$\sin k \neq 0$ かつ $\cos k \neq 0$ であるから、$\sin k \cos k \neq 0$ が成り立つ。 したがって、両辺を $\sin k \cos k$ で割ることができる。
$$-\cos x \sin k + \sin x \cos k = 1$$
すなわち、
$$\sin x \cos k - \cos x \sin k = 1$$
左辺に加法定理を逆に適用する。
$$\sin(x-k) = 1$$
これを解いて、$n$ を任意の整数として、
$$x-k = \frac{\pi}{2} + 2n\pi$$
よって、求める $x$ は以下のようになる。
$$x = k + \frac{\pi}{2} + 2n\pi$$
解説
三角関数の複雑な方程式を解くにあたり、角の統一が鍵となる問題である。 解法1のように、式中に登場する角の関係性(今回であれば $(x+k) - (x-k) = 2k$)に気づくことができると、計算量を大幅に削減でき、計算ミスのリスクも減らすことができる。 解法2のように愚直に展開しても正解には辿り着けるが、式が煩雑になるため式変形には注意が必要である。 また、両辺を文字を含む式で割る際に、「その値が $0$ にならないこと」の確認を記述することが論述において必須であり、本問の「$k$ は $\frac{\pi}{2}$ の倍数ではない」という条件がここで活きてくる。
答え
$n$ を任意の整数として、
$$x = k + \frac{\pi}{2} + 2n\pi$$
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