九州大学 1990年 文系 第2問 解説

方針・初手
まずは1回の試行において、「右に1歩進む」「左に1歩進む」「その場にとどまる」それぞれの事象が起こる確率を求めることが第一歩である。その後、3回の試行でどの事象が何回起これば題意の移動が実現されるかを考え、反復試行の確率の公式を用いて計算する。分母を揃えたまま計算を進めることで、通分による計算ミスを防ぐことができる。
解法1
1回の試行において硬貨を4枚投げるとき、表が出る確率は $\frac{1}{2}$、裏が出る確率も $\frac{1}{2}$ である。
表が $x$ 枚、裏が $y$ 枚出る事象について、各事象の確率を求める。 右に1歩進む事象は $x > y$、$x+y=4$ より $x=3, 4$ のときである。その確率 $P_{R}$ は、
$$P_{R} = {_4\mathrm{C}_3} \left(\frac{1}{2}\right)^3 \left(\frac{1}{2}\right)^1 + {_4\mathrm{C}_4} \left(\frac{1}{2}\right)^4 \left(\frac{1}{2}\right)^0 = \frac{4+1}{16} = \frac{5}{16}$$
左に1歩進む事象は $x < y$、$x+y=4$ より $x=0, 1$ のときである。その確率 $P_{L}$ は、
$$P_{L} = {_4\mathrm{C}_0} \left(\frac{1}{2}\right)^0 \left(\frac{1}{2}\right)^4 + {_4\mathrm{C}_1} \left(\frac{1}{2}\right)^1 \left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{1+4}{16} = \frac{5}{16}$$
その場にとどまる事象は $x = y$、$x+y=4$ より $x=2$ のときである。その確率 $P_{S}$ は、
$$P_{S} = {_4\mathrm{C}_2} \left(\frac{1}{2}\right)^2 \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \frac{6}{16}$$
(1)
3回の試行の後、初めにいた場所から右に1歩進んだ所にいるのは、右に1歩進む事象が $r$ 回、左に1歩進む事象が $l$ 回、とどまる事象が $s$ 回起こるとすると、以下の条件を満たすときである。
$$\begin{cases} r + l + s = 3 \\ r - l = 1 \end{cases}$$
ただし、$r, l, s$ は0以上の整数である。 これを満たす $(r, l, s)$ の組は、$(r, l, s) = (1, 0, 2), (2, 1, 0)$ の2つの場合がある。
(i) $(r, l, s) = (1, 0, 2)$ のとき その確率は反復試行の確率より、
$$\frac{3!}{1!0!2!} P_{R}^1 P_{L}^0 P_{S}^2 = 3 \times \frac{5}{16} \times 1 \times \left(\frac{6}{16}\right)^2 = 3 \times \frac{5}{16} \times \frac{36}{256} = \frac{540}{4096}$$
(ii) $(r, l, s) = (2, 1, 0)$ のとき その確率は反復試行の確率より、
$$\frac{3!}{2!1!0!} P_{R}^2 P_{L}^1 P_{S}^0 = 3 \times \left(\frac{5}{16}\right)^2 \times \frac{5}{16} \times 1 = 3 \times \frac{25}{256} \times \frac{5}{16} = \frac{375}{4096}$$
(i)、(ii) は互いに排反であるから、求める確率はこれらの和となる。
$$\frac{540}{4096} + \frac{375}{4096} = \frac{915}{4096}$$
(2)
3回の試行の後、初めにいた場所から右に $k$ 歩離れている確率を $p_k$ とする。 (1)より、$p_1 = \frac{915}{4096}$ である。
右に2歩離れているのは $r - l = 2$ のときであり、条件を満たす $(r, l, s)$ の組は $(r, l, s) = (2, 0, 1)$ のみである。 その確率 $p_2$ は、
$$p_2 = \frac{3!}{2!0!1!} P_{R}^2 P_{L}^0 P_{S}^1 = 3 \times \left(\frac{5}{16}\right)^2 \times 1 \times \frac{6}{16} = 3 \times \frac{25}{256} \times \frac{6}{16} = \frac{450}{4096}$$
右に3歩離れているのは $r - l = 3$ のときであり、条件を満たす $(r, l, s)$ の組は $(r, l, s) = (3, 0, 0)$ のみである。 その確率 $p_3$ は、
$$p_3 = \frac{3!}{3!0!0!} P_{R}^3 P_{L}^0 P_{S}^0 = 1 \times \left(\frac{5}{16}\right)^3 \times 1 \times 1 = \frac{125}{4096}$$
求める得点の期待値 $E$ は、定義より以下のようになる。
$$E = 1 \cdot p_1 + 2 \cdot p_2 + 3 \cdot p_3$$
数値を代入して計算する。
$$E = 1 \times \frac{915}{4096} + 2 \times \frac{450}{4096} + 3 \times \frac{125}{4096}$$
$$E = \frac{915 + 900 + 375}{4096} = \frac{2190}{4096} = \frac{1095}{2048}$$
解説
1回の試行を丁寧に分析して確率を求め、あとは反復試行の確率に従って計算を進める標準的な確率・期待値の問題である。(2)で必要となる右に1歩離れている確率は(1)で求めているため、これを利用して期待値の計算に必要な要素を揃えていく。途中の確率計算では、約分せずに分母を $16^3 = 4096$ のまま残しておくことで、最後に足し合わせる際の計算ミスを減らし、見通しよく解くことができる。
答え
(1)
$$\frac{915}{4096}$$
(2)
$$\frac{1095}{2048}$$
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