九州大学 1998年 文系 第4問 解説

注意 画像に(3)の「右図」が含まれていないため、台の形状の詳細を確定できません。以下は、一般的な問題設定に基づき「真横から見ると、下から順に幅が $n, n-1, \dots, 1$ となるように正方形が階段状に積み上がっている(すなわち、下から $k$ 段目の台は底面が辺の長さ $n-k+1$ の正三角柱である)」と解釈した場合の解答解説です。
方針・初手
(1) は自然数 $n$ についての等式の証明であるため、数学的帰納法を用いるか、恒等式 $(k+1)^3 - k^3 = 3k^2 + 3k + 1$ の辺々を足し合わせる方法が有効である。
(2) は小さな正三角形を組み合わせて大きな正三角形を作る問題。(i) は具体例であり、(ii) は面積比を考えるか、上から順に段ごとの個数を数え上げることで一般化できる。
(3) は (2) の結果を立体に拡張する。真横から見た情報から各段の正三角柱の底面の辺の長さを特定し、全体の体積を数列の和として計算する。(1) で証明した等式を利用する。
解法1
(1)
与えられた等式を $(A)$ とする。
$$1^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + n^2 = \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$
数学的帰納法を用いて証明する。
(I) $n=1$ のとき 左辺 $= 1^2 = 1$ 右辺 $= \frac{1}{6} \cdot 1 \cdot (1+1) \cdot (2\cdot 1+1) = \frac{1}{6} \cdot 1 \cdot 2 \cdot 3 = 1$ よって、$n=1$ のとき $(A)$ は成り立つ。
(II) $n=k$ ($k$ は自然数)のとき、$(A)$ が成り立つと仮定する。すなわち、
$$1^2 + 2^2 + 3^2 + \dots + k^2 = \frac{1}{6}k(k+1)(2k+1)$$
が成り立つとする。
$n=k+1$ のときの $(A)$ の左辺を考えると、
$$\begin{aligned} 1^2 + 2^2 + \dots + k^2 + (k+1)^2 &= \frac{1}{6}k(k+1)(2k+1) + (k+1)^2 \\ &= \frac{1}{6}(k+1) \{ k(2k+1) + 6(k+1) \} \\ &= \frac{1}{6}(k+1)(2k^2 + 7k + 6) \\ &= \frac{1}{6}(k+1)(k+2)(2k+3) \\ &= \frac{1}{6}(k+1) \{ (k+1)+1 \} \{ 2(k+1)+1 \} \end{aligned}$$
これは $(A)$ の右辺の $n$ を $k+1$ に置き換えたものと一致する。 よって、$n=k+1$ のときも $(A)$ は成り立つ。
(I), (II) より、すべての自然数 $n$ について $(A)$ が成り立つことが示された。
(2)
(i)
辺の長さ $m$ の正三角形の各辺を $m$ 等分し、それぞれの分点を結ぶように、各辺に平行な直線を引くことで図示できる。 $m=2$ のときは各辺の中点を結んで4つの小正三角形に分割する。 $m=3$ のときは各辺を3等分して平行線を引いて9つの小正三角形に分割する。 $m=4$ のときは各辺を4等分して平行線を引いて16の小正三角形に分割する。
(ii)
辺の長さ1の正三角形の面積を $S_1$ とすると、
$$S_1 = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{4}$$
辺の長さ $m$ の正三角形の面積を $S_m$ とすると、
$$S_m = \frac{1}{2} \cdot m \cdot m \cdot \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{4}m^2$$
図形をすき間なく重なりなく張りつめるため、必要なタイルの個数は全体の面積をタイル1枚の面積で割った値に等しい。 したがって、求める個数は、
$$\frac{S_m}{S_1} = \frac{\frac{\sqrt{3}}{4}m^2}{\frac{\sqrt{3}}{4}} = m^2$$
である。
(3)
台を真横から見たとき、1辺の長さが1の正方形が並んで見えることから、各段の正三角柱は、側面の長方形が正面を向くように置かれている。 右図の階段状の形状が、下から $n, n-1, \dots, 1$ 個の正方形が積まれた形であるとする。 このとき、下から $k$ 段目($k=1, 2, \dots, n$)の台を真横から見たときの幅は $n-k+1$ である。
各小四角形は辺の長さ1の正方形であるため、この段の正三角柱の側面の一つは横の長さが $n-k+1$ の長方形である。 すなわち、下から $k$ 段目の台は、底面が辺の長さ $n-k+1$ の正三角形で、高さが1の正三角柱である。
この台は、底面が辺の長さ1の正三角形で高さが1の正三角柱(ブロック)を並べて作られている。 (2)(ii) の結果より、辺の長さ $n-k+1$ の正三角形を作るのに必要なブロックの個数は $(n-k+1)^2$ 個である。
ブロック1個の体積 $V_0$ は、
$$V_0 = \frac{\sqrt{3}}{4} \cdot 1^2 \cdot 1 = \frac{\sqrt{3}}{4}$$
であるから、下から $k$ 段目の台の体積 $V_k$ は、
$$V_k = \frac{\sqrt{3}}{4}(n-k+1)^2$$
となる。
台全体の体積 $V$ は、これらを $k=1$ から $n$ まで足し合わせたものであるから、
$$\begin{aligned} V &= \sum_{k=1}^n \frac{\sqrt{3}}{4}(n-k+1)^2 \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \{ n^2 + (n-1)^2 + \dots + 2^2 + 1^2 \} \\ &= \frac{\sqrt{3}}{4} \sum_{j=1}^n j^2 \end{aligned}$$
となる。ここで、(1) で証明した等式を用いると、
$$\begin{aligned} V &= \frac{\sqrt{3}}{4} \cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \\ &= \frac{\sqrt{3}}{24}n(n+1)(2n+1) \end{aligned}$$
と求まる。
解法2
(1)の別解(恒等式の利用)
恒等式 $(k+1)^3 - k^3 = 3k^2 + 3k + 1$ を用いる。 この式に $k=1, 2, \dots, n$ を代入して辺々を加えると、
$$\begin{aligned} 2^3 - 1^3 &= 3 \cdot 1^2 + 3 \cdot 1 + 1 \\ 3^3 - 2^3 &= 3 \cdot 2^2 + 3 \cdot 2 + 1 \\ &\vdots \\ (n+1)^3 - n^3 &= 3 \cdot n^2 + 3 \cdot n + 1 \end{aligned}$$
左辺は途中の項が打ち消し合って $(n+1)^3 - 1^3$ となる。 右辺は $3(1^2+2^2+\dots+n^2) + 3(1+2+\dots+n) + (1+1+\dots+1)$ となる。 求める和を $S = 1^2+2^2+\dots+n^2$ とおくと、
$$(n+1)^3 - 1 = 3S + 3 \cdot \frac{1}{2}n(n+1) + n$$
これを $S$ について解く。
$$\begin{aligned} 3S &= (n^3+3n^2+3n) - \frac{3}{2}n(n+1) - n \\ &= n^3 + 3n^2 + 2n - \frac{3}{2}n(n+1) \\ &= n(n+1)(n+2) - \frac{3}{2}n(n+1) \\ &= n(n+1) \left( n+2 - \frac{3}{2} \right) \\ &= n(n+1) \left( \frac{2n+1}{2} \right) \end{aligned}$$
よって、
$$S = \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$
となり、等式が示された。
(2)(ii)の別解(数列を用いた数え上げ)
辺の長さ $m$ の正三角形の頂点を上にして置いたとき、上から $k$ 段目($k=1, 2, \dots, m$)には、上向きの小さな正三角形が $k$ 個、下向きの小さな正三角形が $k-1$ 個並んでいる。 したがって、$k$ 段目にあるタイルの個数は $k + (k-1) = 2k-1$ 個である。
これを $k=1$ から $m$ まで足し合わせたものが全体の個数になるから、
$$\sum_{k=1}^m (2k-1) = 2 \cdot \frac{1}{2}m(m+1) - m = m^2 + m - m = m^2$$
よって、$m^2$ 個である。
解説
2乗の和の公式の導出(証明)、図形の分割と数列の和の融合問題である。 (1) は教科書にも載っている基本的な証明であり、帰納法または恒等式の利用のどちらでもスムーズに示せる。 (2) は図形的な直感を数式に落とし込む問題。面積比に着目すれば計算は不要だが、別解のように数列として足し上げる考え方も、図形の構造を理解する上で重要である。 (3) は与えられた平面的な見取り図から、立体の構造を正しく把握できるかが問われる。底面となる正三角形の辺の長さが各段でどのように変化するかを読み取れれば、あとは (2) と (1) の結果を順番に適用するだけである。数列の和の計算において、和をとる順序を逆に(上から下へ)考えると $\sum_{j=1}^n j^2$ の形が直接現れ、見通しが良くなる。
答え
(1) (証明は解法を参照) (2)(i) (作図方法は解法を参照) (2)(ii) $m^2$ (理由は解法を参照) (3) $\frac{\sqrt{3}}{24}n(n+1)(2n+1)$
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