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九州大学 1999年 文系 第7問 解説

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九州大学 1999年 文系 第7問 解説

方針・初手

与えられた3つの数は、$a$ と $b$ についての次数がすべて1次となっている同次式である。このような場合は、全体を $b$(または $a$)で割り、文字の比 $t = \frac{a}{b}$ を用いて1変数の問題に帰着させるのが定石である。

ルートや3乗根を含む式の大小比較は、差をとって符号を調べるか、あるいは正であることを確認したうえで2乗・3乗して比較する。

解法1

3つの数をそれぞれ $X, Y, Z$ とおく。

$$X = \frac{a+2b}{3}, \quad Y = \sqrt{ab}, \quad Z = \sqrt[3]{\frac{b(a^2+ab+b^2)}{3}}$$

$0 < a < b$ であるから、$b > 0$ である。 それぞれの数を $b$ で割ると、以下のようになる。

$$\frac{X}{b} = \frac{\frac{a}{b}+2}{3}$$

$$\frac{Y}{b} = \sqrt{\frac{a}{b}}$$

$$\frac{Z}{b} = \sqrt[3]{\frac{\left(\frac{a}{b}\right)^2+\frac{a}{b}+1}{3}}$$

ここで、$t = \frac{a}{b}$ とおく。$0 < a < b$ より $0 < t < 1$ である。 これを用いると、3つの式は $t$ を用いて次のように表される。

$$\frac{X}{b} = \frac{t+2}{3}, \quad \frac{Y}{b} = \sqrt{t}, \quad \frac{Z}{b} = \sqrt[3]{\frac{t^2+t+1}{3}}$$

(i) $X$ と $Y$ の比較

$\frac{X}{b}$ と $\frac{Y}{b}$ の差をとる。

$$\frac{X}{b} - \frac{Y}{b} = \frac{t+2}{3} - \sqrt{t} = \frac{t - 3\sqrt{t} + 2}{3}$$

分子について、$x = \sqrt{t}$ とおくと、$0 < t < 1$ より $0 < x < 1$ である。 分子の式は2次式として因数分解できる。

$$t - 3\sqrt{t} + 2 = x^2 - 3x + 2 = (x-1)(x-2)$$

$0 < x < 1$ のとき、$x-1 < 0$ かつ $x-2 < 0$ であるから、$(x-1)(x-2) > 0$ となる。 したがって、$\frac{X}{b} - \frac{Y}{b} > 0$ が成り立つ。

$$\frac{X}{b} > \frac{Y}{b}$$

$b > 0$ であるから、両辺に $b$ を掛けて $X > Y$ を得る。

(ii) $X$ と $Z$ の比較

$\frac{X}{b} > 0$ かつ $\frac{Z}{b} > 0$ であるから、それぞれの3乗の差をとって比較する。

$$\left(\frac{Z}{b}\right)^3 - \left(\frac{X}{b}\right)^3 = \frac{t^2+t+1}{3} - \left(\frac{t+2}{3}\right)^3$$

右辺を通分して整理する。

$$\begin{aligned} \frac{t^2+t+1}{3} - \frac{t^3+6t^2+12t+8}{27} &= \frac{9(t^2+t+1) - (t^3+6t^2+12t+8)}{27} \\ &= \frac{9t^2+9t+9 - t^3 - 6t^2 - 12t - 8}{27} \\ &= \frac{-t^3+3t^2-3t+1}{27} \\ &= \frac{-(t^3-3t^2+3t-1)}{27} \\ &= \frac{-(t-1)^3}{27} \end{aligned}$$

$0 < t < 1$ より $t-1 < 0$ であるから、$(t-1)^3 < 0$ となり、$-(t-1)^3 > 0$ である。 したがって、$\left(\frac{Z}{b}\right)^3 - \left(\frac{X}{b}\right)^3 > 0$ が成り立つ。

$$\left(\frac{Z}{b}\right)^3 > \left(\frac{X}{b}\right)^3$$

$\frac{X}{b} > 0$ かつ $\frac{Z}{b} > 0$ より、$\frac{Z}{b} > \frac{X}{b}$ である。 $b > 0$ であるから、両辺に $b$ を掛けて $Z > X$ を得る。

(i), (ii) の結果から、$Y < X < Z$ となる。

解説

式に含まれる文字の次数が揃っている(同次式である)ことに気づけるかが最大のポイントである。文字の比を新たな変数と置くことで、2変数の問題を1変数の問題に落とし込むことができる。

また、1変数の大小比較に帰着させた後は、無理式を含む場合は因数分解の工夫、累乗根を含む場合は適当な乗数で累乗して比較する処理が有効である。微分を用いて関数の増減を調べる方針でも解けるが、本解答のように代数的な変形を用いるとより簡潔に記述できる。

答え

$$\sqrt{ab} < \frac{a+2b}{3} < \sqrt[3]{\frac{b(a^2+ab+b^2)}{3}}$$

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