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京都大学 1989年 理系 第2問 解説

数学1/方程式不等式数学2/式と証明テーマ/不等式の証明テーマ/最大・最小
京都大学 1989年 理系 第2問 解説

方針・初手

与えられた条件を数式で表現し、扱いやすくすることが第一歩である。 「他の $n-1$ 個の和」という部分を表現するために、$n$ 個の実数すべての総和を $S$ とおき、「$S - a_i$」と表すのが定石である。 得られた各 $a_i$ についての不等式をすべて足し合わせることで、$a_i$ たちが満たすべき強い制約(等号成立条件)が浮かび上がる。

解法1

$n$ 個の実数 $a_1, a_2, \dots, a_n$ の総和を $S$ とおく。すなわち、

$$ S = a_1 + a_2 + \dots + a_n $$

問題の条件「各 $a_i$ は他の $n-1$ 個の相加平均より大きくはない」より、任意の $i \in \{1, 2, \dots, n\}$ に対して

$$ a_i \leqq \frac{S - a_i}{n-1} $$

が成り立つ。 $n \geqq 3$ より $n-1 > 0$ であるから、両辺に $n-1$ を掛けて整理すると、

$$ (n-1)a_i \leqq S - a_i $$

$$ n a_i \leqq S $$

$$ a_i \leqq \frac{S}{n} \quad \cdots (1) $$

となる。 この不等式 (1) は $i = 1, 2, \dots, n$ のすべてにおいて成り立つので、これら $n$ 個の不等式を辺々足し合わせると、

$$ \sum_{i=1}^n a_i \leqq \sum_{i=1}^n \frac{S}{n} $$

左辺は $S$ であり、右辺は $n \times \frac{S}{n} = S$ であるから、

$$ S \leqq S $$

となる。この和の不等式において、もし (1) の等号が成り立たない(すなわち $a_k < \frac{S}{n}$ となる)ような $k$ が少なくとも1つ存在したと仮定すると、すべての辺々を足し合わせたときに総和が $S < S$ となってしまい、矛盾が生じる。 したがって、すべての $i \in \{1, 2, \dots, n\}$ において (1) の等号が成り立たなければならない。 よって、

$$ a_1 = a_2 = \cdots = a_n = \frac{S}{n} $$

が必要である。

逆に、任意の実数 $c$ を用いて $a_1 = a_2 = \cdots = a_n = c$ と表せるとき、 任意の $a_i$ ($=c$) に対して、他の $n-1$ 個の相加平均は

$$ \frac{(n-1)c}{n-1} = c $$

であり、$a_i \leqq c$ は常に成り立つため、問題の条件に合致する。

以上より、求める組はすべての値が等しい実数の組である。

解説

多数の変数に関する不等式や条件が与えられたときの定石である「総和を $S$ とおいて扱う」「すべての不等式を足し合わせる」を用いると、見通しよく結論にたどり着くことができる。 不等式を足し合わせて恒等式(今回は $S \leqq S$)が得られたということは、「足し合わせる前のすべての不等式において等号が成立していなければならない」という事実を意味する。 「自分以外の平均以下である」という状況が全員に対して成り立つのは、「全員が同じ値(平均値そのもの)である」場合に限られるという、日常的な直感にも合致する結果である。最後に「逆に~」として十分性の確認(求めた必要条件が実際に元の条件を満たすことの確認)を記述しておくと、答案として完璧になる。

答え

$$ a_1 = a_2 = \cdots = a_n $$

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