九州大学 2000年 理系 第2問 解説

方針・初手
(1) 2次関数(放物線)と円が接する条件を求める。放物線と円はともに $y$ 軸対称であるため、異なる2点で接する場合は $y$ 軸上にない左右対称な2点が接点となる。方程式を連立して $y$ についての2次方程式が重解をもつ条件(判別式 $D=0$)から求める方法(解法1)と、微分を用いて放物線の法線が円の中心(原点)を通る条件から求める方法(解法2)がある。
(2) 回転体の体積を求める典型的な問題である。$y$ 軸まわりの回転体であるから、積分変数を $y$ とし、$y$ 軸に垂直な円盤の面積 $\pi x^2$ を積分する。
(3) (2)で求めた体積 $V$ を $a$ の関数として表し、微分を用いて増減を調べ、最小値を求める。(1)で得られる $a$ の定義域に注意する。
解法1
(1)
2次関数 $y = -ax^2 + b$ を $x^2$ について解くと、
$$x^2 = \frac{b-y}{a}$$
となる。これを円の方程式 $x^2 + y^2 = 1$ に代入すると、
$$\frac{b-y}{a} + y^2 = 1$$
$$ay^2 - y + b - a = 0$$
を得る。放物線と円が接するとき、この $y$ についての2次方程式は実数重解をもつ。その判別式を $D$ とすると、$D = 0$ となるため、
$$D = (-1)^2 - 4a(b-a) = 0$$
$$1 - 4ab + 4a^2 = 0$$
これを $b$ について解くと、
$$b = a + \frac{1}{4a}$$
となる。このとき、重解である接点の $y$ 座標は、
$$y = \frac{1}{2a}$$
である。対応する $x$ 座標は、円の方程式に代入して、
$$x^2 = 1 - y^2 = 1 - \frac{1}{4a^2} = \frac{4a^2 - 1}{4a^2}$$
放物線と円が異なる2点で接するためには、接点が $y$ 軸上にないこと、すなわち $x \neq 0$ となる必要がある。したがって $x^2 > 0$ より、
$$4a^2 - 1 > 0$$
$a > 0$ であるから、
$$a > \frac{1}{2}$$
を得る。このとき $x = \pm \frac{\sqrt{4a^2 - 1}}{2a}$ であり、これが接点の $x$ 座標となる。
(2)
放物線 $y = -ax^2 + b$ と $x$ 軸の交点の $x$ 座標は、$y = 0$ とすると $x = \pm\sqrt{\frac{b}{a}}$ である。 放物線と $x$ 軸とで囲まれる部分を $y$ 軸のまわりに回転して得られる回転体の体積 $V$ は、半径 $x$ の円の面積 $\pi x^2$ を $y$ について $0$ から $b$ まで積分して求められる。
$$V = \int_{0}^{b} \pi x^2 \, dy$$
$x^2 = \frac{b-y}{a}$ を代入すると、
$$V = \frac{\pi}{a} \int_{0}^{b} (b - y) \, dy$$
$$V = \frac{\pi}{a} \left[ by - \frac{1}{2}y^2 \right]_{0}^{b} = \frac{\pi b^2}{2a}$$
(1)より $b = a + \frac{1}{4a}$ であるから、これを代入して、
$$V = \frac{\pi}{2a} \left( a + \frac{1}{4a} \right)^2$$
(3)
(2)で求めた $V$ を $a$ の関数とみなし、$f(a)$ とおく。
$$f(a) = \frac{\pi}{2} \cdot \frac{1}{a} \left( a^2 + \frac{1}{2} + \frac{1}{16a^2} \right) = \frac{\pi}{2} \left( a + \frac{1}{2a} + \frac{1}{16a^3} \right)$$
これを $a$ について微分すると、
$$f'(a) = \frac{\pi}{2} \left( 1 - \frac{1}{2a^2} - \frac{3}{16a^4} \right)$$
$$f'(a) = \frac{\pi}{32a^4} \left( 16a^4 - 8a^2 - 3 \right)$$
$$f'(a) = \frac{\pi}{32a^4} (4a^2 - 3)(4a^2 + 1)$$
$f'(a) = 0$ とすると、$a^2 = \frac{3}{4}, -\frac{1}{4}$ となるが、$a$ は実数であるから $a^2 = \frac{3}{4}$ である。 $a > \frac{1}{2}$ より、
$$a = \frac{\sqrt{3}}{2}$$
$a > \frac{1}{2}$ における $f(a)$ の増減を調べると、 $a < \frac{\sqrt{3}}{2}$ のとき $f'(a) < 0$ $a > \frac{\sqrt{3}}{2}$ のとき $f'(a) > 0$ となり、$f(a)$ は $a = \frac{\sqrt{3}}{2}$ において極小かつ最小となる。
このときの $b$ の値は、
$$b = \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{1}{4 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}} = \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{1}{2\sqrt{3}} = \frac{3}{2\sqrt{3}} + \frac{1}{2\sqrt{3}} = \frac{4}{2\sqrt{3}} = \frac{2\sqrt{3}}{3}$$
また、最小値 $V$ は、
$$V = \frac{\pi}{2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}} \left( \frac{2\sqrt{3}}{3} \right)^2 = \frac{\pi}{\sqrt{3}} \cdot \frac{12}{9} = \frac{4\sqrt{3}}{9}\pi$$
解法2
(1)
放物線と円が接する点を $(t, -at^2+b)$ とおく。異なる2点で接するためには $t \neq 0$ である。 $y = -ax^2 + b$ を微分すると $y' = -2ax$ であるから、接点における放物線の接線の傾きは $-2at$ となる。 円と放物線が接するとき、その接点におけるそれぞれの接線は一致し、法線も一致する。円の法線は常に中心(原点)を通るため、接点 $(t, -at^2+b)$ と原点を結ぶ直線は、放物線の接線と直交する。 原点と接点を通る直線の傾きは $\frac{-at^2+b}{t}$ であるから、直交条件より、
$$-2at \cdot \frac{-at^2+b}{t} = -1$$
$$-at^2 + b = \frac{1}{2a}$$
これが接点の $y$ 座標である。 また、接点は原点を中心とする半径1の円周上にあるため、原点との距離の2乗は1である。
$$t^2 + (-at^2+b)^2 = 1$$
$y$ 座標の結果を代入すると、
$$t^2 + \left(\frac{1}{2a}\right)^2 = 1$$
$$t^2 = 1 - \frac{1}{4a^2} = \frac{4a^2-1}{4a^2}$$
$t \neq 0$ であるから $t^2 > 0$ であり、$a>0$ と合わせて、
$$4a^2 - 1 > 0 \implies a > \frac{1}{2}$$
このとき接点の $x$ 座標は $t = \pm \frac{\sqrt{4a^2-1}}{2a}$ となる。 さらに、$-at^2 + b = \frac{1}{2a}$ より、
$$b = at^2 + \frac{1}{2a} = a \left(1 - \frac{1}{4a^2}\right) + \frac{1}{2a} = a - \frac{1}{4a} + \frac{1}{2a} = a + \frac{1}{4a}$$
となり、$a, b$ の条件式が得られる。
解説
(1)の「異なる2点で接する条件」が本問の最大のポイントである。放物線と円の接する条件を求めるには、解法1のように「連立して判別式 $D=0$」を用いる代数的なアプローチと、解法2のように「共通接線の法線が円の中心を通る」という幾何学的なアプローチが代表的である。どちらの手法でも、「異なる2点」すなわち接点が $y$ 軸上にないための条件($a > \frac{1}{2}$)を忘れないように注意が必要である。この条件が(3)における増減の議論の前提となる。 (2)の体積計算は標準的であり、$y$ 積分を行うことで計算量が大幅に削減できる。(3)は分数関数の微分の計算力を問うている。
答え
(1) 条件式: $b = a + \frac{1}{4a} \quad \left(a > \frac{1}{2}\right)$ 接点の座標: $\left(\pm \frac{\sqrt{4a^2-1}}{2a}, \frac{1}{2a}\right)$
(2)
$$V = \frac{\pi}{2a} \left( a + \frac{1}{4a} \right)^2$$
(3) $a = \frac{\sqrt{3}}{2}, \quad b = \frac{2\sqrt{3}}{3}$ のとき、最小値 $V = \frac{4\sqrt{3}}{9}\pi$
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