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九州大学 2021年 文系 第1問 解説

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九州大学 2021年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 直角三角形の内接円の半径を求める問題である。内接円の半径を $r$ とおき、三角形の面積を2通りの方法で表して方程式を立てるか、内接円の中心から各辺への距離が等しいことを利用する。

(2) 条件を満たす円の中心を $(c, c)$、半径を $c$ とおく。直線と円が2点で交わる条件から $c$ の範囲を求め、弦の長さ $PQ$ を点と直線の距離および三平方の定理を用いて $c$ の式で表し、その最大値を考える。

解法1

(1)

三角形 $OAB$ は $\angle AOB = 90^\circ$ の直角三角形である。 各辺の長さは $OA = 1$、$OB = 2$ であり、三平方の定理より $AB = \sqrt{1^2 + 2^2} = \sqrt{5}$ である。

内接円の半径を $r$ ($r>0$) とおくと、中心の座標は第1象限にあるので $(r, r)$ と表せる。 三角形 $OAB$ の面積は、底辺と高さから

$$ \frac{1}{2} \cdot OA \cdot OB = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 2 = 1 $$

と計算できる。 一方で、内接円の中心と各頂点を結んで3つの三角形に分割すると、面積は

$$ \frac{1}{2} r (OA + OB + AB) = \frac{1}{2} r (1 + 2 + \sqrt{5}) = \frac{3+\sqrt{5}}{2} r $$

とも表せる。 これらが等しいので、

$$ \frac{3+\sqrt{5}}{2} r = 1 $$

$$ r = \frac{2}{3+\sqrt{5}} = \frac{2(3-\sqrt{5})}{(3+\sqrt{5})(3-\sqrt{5})} = \frac{2(3-\sqrt{5})}{9-5} = \frac{3-\sqrt{5}}{2} $$

よって、内接円の中心の座標は $\left( \frac{3-\sqrt{5}}{2}, \frac{3-\sqrt{5}}{2} \right)$ である。

(2)

中心が第1象限にあり、$x$ 軸と $y$ 軸の両方に接する円の中心は $(c, c)$、半径は $c$ ($c>0$) とおける。

直線 $AB$ の方程式は $x$ 切片が $1$、$y$ 切片が $2$ であることから

$$ \frac{x}{1} + \frac{y}{2} = 1 $$

すなわち

$$ 2x + y - 2 = 0 $$

である。 この円が直線 $AB$ と異なる2点 $P, Q$ で交わるための条件は、円の中心 $(c, c)$ と直線 $AB$ の距離 $d$ が、円の半径 $c$ より小さいことである。 点と直線の距離の公式より

$$ d = \frac{|2c + c - 2|}{\sqrt{2^2 + 1^2}} = \frac{|3c - 2|}{\sqrt{5}} $$

となるので、条件 $d < c$ は

$$ \frac{|3c - 2|}{\sqrt{5}} < c $$

となる。両辺は正であるから2乗して整理する。

$$ \frac{(3c - 2)^2}{5} < c^2 $$

$$ 9c^2 - 12c + 4 < 5c^2 $$

$$ 4c^2 - 12c + 4 < 0 $$

$$ c^2 - 3c + 1 < 0 $$

これを解いて、$c$ のとりうる値の範囲は

$$ \frac{3-\sqrt{5}}{2} < c < \frac{3+\sqrt{5}}{2} $$

となる。

次に、線分 $PQ$ の長さを求める。 円の中心から弦 $PQ$ に下ろした垂線の長さは $d$ であり、垂線は弦を2等分するので、三平方の定理より

$$ \left( \frac{PQ}{2} \right)^2 + d^2 = c^2 $$

が成り立つ。よって、

$$ \frac{PQ^2}{4} = c^2 - d^2 = c^2 - \frac{(3c - 2)^2}{5} = \frac{5c^2 - (9c^2 - 12c + 4)}{5} = \frac{-4c^2 + 12c - 4}{5} $$

$$ PQ^2 = \frac{4}{5} (-4c^2 + 12c - 4) = -\frac{16}{5} (c^2 - 3c + 1) $$

となる。これを $c$ について平方完成すると、

$$ PQ^2 = -\frac{16}{5} \left( c^2 - 3c + \frac{9}{4} \right) + \frac{16}{5} \cdot \frac{9}{4} - \frac{16}{5} = -\frac{16}{5} \left( c - \frac{3}{2} \right)^2 + 4 $$

となる。 ここで、$c = \frac{3}{2}$ が $c$ のとりうる値の範囲に含まれるか確認する。 $2 < \sqrt{5} < 3$ であるから、

$$ \frac{3-\sqrt{5}}{2} < \frac{3-2}{2} = \frac{1}{2} < \frac{3}{2} $$

$$ \frac{3+\sqrt{5}}{2} > \frac{3+2}{2} = \frac{5}{2} > \frac{3}{2} $$

となり、$c = \frac{3}{2}$ は確かに範囲に含まれる。 したがって、$PQ^2$ は $c = \frac{3}{2}$ のとき最大値 $4$ をとる。 $PQ > 0$ であるから、線分 $PQ$ の長さの最大値は $\sqrt{4} = 2$ である。

解説

(1)は直角三角形の内接円の半径を求める基本問題である。三角形の面積を利用する方法が最も簡明に計算できる。 (2)は「円と直線が交わる条件」と「弦の長さ」を問う標準的な問題である。交点の座標を直接求めようとすると計算が非常に煩雑になるため、中心と直線の距離および三平方の定理を用いて図形的に弦の長さを処理するアプローチが有効である。

答え

(1) $\left( \frac{3-\sqrt{5}}{2}, \frac{3-\sqrt{5}}{2} \right)$

(2) $2$

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