九州大学 1961年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) における条件 $AC : BC = 2 : 1$ を満たす点 $C$ の軌跡は、線分 $AB$ を $2 : 1$ に内分する点と外分する点を直径の両端とする円(アポロニウスの円)になります。三角形 $ABC$ の底辺を $AB$ と固定すると、面積が最大になるのは点 $C$ から直線 $AB$ までの距離(高さ)が最大となるときです。これは、点 $C$ が円の中心を通り直線 $AB$ に垂直な直線上にあることを意味します。
(2) および (3) は、(1) で得られた図形的な条件をもとに証明を行います。初等幾何(相似や円周角)を利用して解くことも可能ですが、直交座標系を設定して代数的に処理する方針をとることで、視覚的な直感に頼らず確実かつ簡明に証明を完了させることができます。ここでは座標を用いた解法を第一に示し、別解として初等幾何による証明を示します。
解法1
(1)
条件 $AC : BC = 2 : 1$ を満たす点 $C$ の軌跡は、線分 $AB$ を $2 : 1$ に内分する点 $P$ と外分する点 $Q$ を直径の両端とする円になります。三角形 $ABC$ の面積を最大にする点 $C$ は、この円上で直線 $AB$ から最も遠い点です。したがって、以下の手順で作図できます。
- 線分 $AB$ を $2 : 1$ に内分する点 $P$ をとる。
- 直線 $AB$ 上で、点 $B$ に関して点 $A$ と反対側に $AB = BQ$ となる点 $Q$ をとる。(点 $Q$ は線分 $AB$ を $2 : 1$ に外分する点となる)
- 線分 $PQ$ の垂直二等分線 $\ell$ を引き、直線 $AB$ との交点を $X$ とする。(点 $X$ は線分 $PQ$ の中点となる)
- 点 $X$ を中心とし、線分 $XP$ を半径とする円 $K$ を描く。
- 直線 $\ell$ と円 $K$ の交点のうちのいずれかを点 $C$ とする。
(2)
点 $A$ を原点とする直交座標系を設定し、$A(0, 0)$ とします。点 $B$ の座標を $(3a, 0)$ ($a > 0$) とおきます。
点 $P$ は線分 $AB$ を $2 : 1$ に内分するので、その座標は $(2a, 0)$ です。点 $Q$ は線分 $AB$ を $2 : 1$ に外分するので、その座標は $(6a, 0)$ です。
点 $C$ の軌跡である円 $K$ は、線分 $PQ$ を直径とする円です。その中心 $X$ の座標は $P$ と $Q$ の中点であるため、
$$\left( \frac{2a + 6a}{2}, 0 \right) = (4a, 0)$$
となります。また、円 $K$ の半径は $4a - 2a = 2a$ です。
(1) の作図より、点 $C$ は中心 $X$ を通り $x$ 軸に垂直な直線と円 $K$ の交点です。対称性から $C$ の $y$ 座標は正として一般性を失わず、点 $C$ の座標は $(4a, 2a)$ と表せます。このとき、点 $C$ から直線 $AB$ ($x$ 軸)へおろした垂線の足は、円の中心 $X(4a, 0)$ と一致します。
直角三角形 $CAX$ において、底辺 $AX = 4a$、高さ $CX = 2a$ であるため、
$$\tan \angle CAB = \tan \angle CAX = \frac{CX}{AX} = \frac{2a}{4a} = \frac{1}{2}$$
が成り立ちます。
また、直角三角形 $CBX$ において、底辺 $BX = 4a - 3a = a$、高さ $CX = 2a$ であるため、
$$\tan \angle BCX = \frac{BX}{CX} = \frac{a}{2a} = \frac{1}{2}$$
が成り立ちます。
$0^\circ < \angle CAB < 90^\circ$ かつ $0^\circ < \angle BCX < 90^\circ$ であるため、$\tan \angle CAB = \tan \angle BCX$ より、
$$\angle CAB = \angle BCX$$
が証明されました。
(3)
三角形 $ABC$ の各頂点は $A(0,0)$、$B(3a,0)$、$C(4a,2a)$ です。三角形の外心 $O$ の座標を $(x, y)$ とおきます。
外心 $O$ は線分 $AB$ の垂直二等分線上にあるため、$x$ 座標は線分 $AB$ の中点と等しくなります。よって $x = \frac{3}{2}a$ であり、$O \left( \frac{3}{2}a, y \right)$ と表せます。
外心の性質 $OA = OC$ より $OA^2 = OC^2$ であるから、以下の等式が成り立ちます。
$$\left( \frac{3}{2}a \right)^2 + y^2 = \left( 4a - \frac{3}{2}a \right)^2 + (2a - y)^2$$
これを展開して整理します。
$$\begin{aligned} \frac{9}{4}a^2 + y^2 &= \frac{25}{4}a^2 + 4a^2 - 4ay + y^2 \\ 0 &= \frac{16}{4}a^2 + 4a^2 - 4ay \\ 4ay &= 8a^2 \end{aligned}$$
$a > 0$ より、これを解くと $y = 2a$ を得ます。
したがって、外心 $O$ の座標は $\left( \frac{3}{2}a, 2a \right)$ となります。点 $C$ の $y$ 座標も $2a$ であるため、直線 $CO$ は $x$ 軸すなわち直線 $AB$ に平行です。
ゆえに、$CO // AB$ が証明されました。
解法2
本解法では、(2) と (3) について図形的な性質を用いた証明を示します。
(2)
(1) の作図より、点 $C$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の足 $X$ は、アポロニウスの円の中心と一致します。この円の直径の両端を、線分 $AB$ の内分点 $P$ と外分点 $Q$ とします。
$AB = 3a$ とおくと、$AP : PB = 2 : 1$ より $AP = 2a$、$PB = a$ となります。また、$AQ : BQ = 2 : 1$ より $BQ = AB = 3a$ です。
点 $A, P, B, Q$ はこの順に一直線上に並んでおり、円の直径は $PQ = PB + BQ = a + 3a = 4a$ となります。円の半径はその半分であるため、$XP = XC = 2a$ です。点 $X$ は線分 $PQ$ の中点であるため、点 $P, B, X$ はこの順に並び、各線分の長さは以下のようになります。
$$AX = AP + PX = 2a + 2a = 4a$$
$$BX = PX - PB = 2a - a = a$$
直角三角形 $CAX$ と直角三角形 $CBX$ に着目します。$\angle AXC = \angle CXB = 90^\circ$ であり、
$$AX : CX = 4a : 2a = 2 : 1$$
$$CX : BX = 2a : a = 2 : 1$$
となります。ゆえに $\frac{AX}{CX} = \frac{CX}{BX}$ であり、2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいため、$\triangle CAX \sim \triangle CBX$ です。相似な図形の対応する角は等しいことから、$\angle CAX = \angle BCX$ すなわち $\angle CAB = \angle BCX$ が成り立ちます。
(3)
三角形 $ABC$ の外心を $O$ とし、外接円の半径を $R$ とします。
外接円において、弦 $BC$ に対する中心角と円周角の関係より、$\angle BOC = 2\angle BAC$ です。$\triangle OBC$ は $OB = OC = R$ の二等辺三角形であるため、底角について以下の式が成り立ちます。
$$\angle OCB = \frac{180^\circ - \angle BOC}{2} = 90^\circ - \angle BAC$$
一方、(2) で示した $\triangle CAX \sim \triangle CBX$ より $\angle CAB = \angle BCX$ です。直角三角形 $CBX$ において、
$$\angle CBX = 90^\circ - \angle BCX = 90^\circ - \angle BAC$$
となります。したがって、$\angle OCB = \angle CBX$ が成り立ちます。
点 $A, B, X$ はこの順に一直線上に並んでおり、$\angle CBA = 180^\circ - \angle CBX$ は鈍角です。よって外心 $O$ は三角形 $ABC$ の外部にあり、直線 $BC$ に関して点 $A$(すなわち点 $X$)と反対側に位置します。
ゆえに、直線 $OC$ と直線 $AB$ に対して、直線 $BC$ を横断線としたときの錯角が等しい($\angle OCB = \angle CBX$)ため、$CO // AB$ が成り立ちます。
解説
アポロニウスの円を背景とした図形問題です。(1) で軌跡が円になることを踏まえ、面積最大の条件から軌跡の中心の真上に点 $C$ が来ることを特定するのが最初の関門です。
(2) や (3) は初等幾何でも見通しよく解くことができます(解法2)が、線分の長さや角度の配置に注意を払う必要があります。入試においては、図形の性質に気づかなくても、解法1のように座標平面を設定して各点の座標を計算することで、機械的かつ確実に証明を完了させることができます。
答え
(1) 線分 $AB$ の $2:1$ の内分点 $P$ と外分点 $Q$ を求め、線分 $PQ$ の垂直二等分線と線分 $PQ$ を直径とする円との交点を $C$ と定めて作図する。(詳細は本文参照)
(2) 座標計算による傾きの比較、または $\triangle CAX \sim \triangle CBX$ を示すことによって証明された。
(3) 座標平面上で外心 $O$ と点 $C$ の $y$ 座標が等しくなること、または直線 $BC$ を横断線とする錯角が等しいことから証明された。
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