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名古屋大学 1970年 文系 第5問 解説

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名古屋大学 1970年 文系 第5問 解説

方針・初手

正方形の一辺の長さを $1$ とし、点 $P$ の位置を変数 $t$ を用いて表す。面積 $S$ を $t$ の関数として立式し、微分法や相加平均・相乗平均の大小関係を用いてその最小値を求める。座標軸を設定して各点の座標を求めるか、図形の相似関係を利用して面積を求める方針が考えられる。

解法1

座標軸を設定する。点 $B$ を原点 $(0,0)$ とし、$A(0,1)$、$C(1,0)$、$D(1,1)$ とする。 点 $P$ は辺 $AD$ 上にあるため、$P(t,1)$ ($0 \le t \le 1$)とおける。

直線 $AC$ の方程式は

$$y = -x + 1$$

直線 $BP$ の方程式は、$t=0$ のとき $x=0$、$t>0$ のとき $y = \frac{1}{t}x$ と表せる。 ここで $t>0$ として交点 $Q$ の座標を求める。2式を連立して

$$\frac{1}{t}x = -x + 1$$

$$\left(1 + \frac{1}{t}\right)x = 1$$

$$\frac{t+1}{t}x = 1 \implies x = \frac{t}{t+1}$$

このとき $y$ 座標は

$$y = - \frac{t}{t+1} + 1 = \frac{1}{t+1}$$

したがって、$Q \left(\frac{t}{t+1}, \frac{1}{t+1}\right)$ となる。これは $t=0$ のとき $Q(0,1)$ となり成立する。

次に、面積 $S$ を求める。 $\triangle QBC$ の底辺を $BC=1$ とすると、高さは点 $Q$ の $y$ 座標なので

$$\triangle QBC = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot \frac{1}{t+1} = \frac{1}{2(t+1)}$$

$\triangle APQ$ の底辺を $AP=t$ とすると、高さは $1 - (\text{点 } Q \text{ の } y \text{ 座標})$ なので

$$\triangle APQ = \frac{1}{2} \cdot t \cdot \left(1 - \frac{1}{t+1}\right) = \frac{1}{2} \cdot t \cdot \frac{t}{t+1} = \frac{t^2}{2(t+1)}$$

よって、

$$S = \triangle APQ + \triangle QBC = \frac{t^2}{2(t+1)} + \frac{1}{2(t+1)} = \frac{t^2+1}{2(t+1)}$$

この $S$ の最小値を求める。 $t+1 = u$ とおくと、$0 \le t \le 1$ より $1 \le u \le 2$ であり、$t = u-1$ となる。

$$S = \frac{(u-1)^2+1}{2u} = \frac{u^2-2u+2}{2u} = \frac{1}{2} \left( u - 2 + \frac{2}{u} \right)$$

$u > 0, \frac{2}{u} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より

$$u + \frac{2}{u} \ge 2\sqrt{u \cdot \frac{2}{u}} = 2\sqrt{2}$$

等号が成立するのは、$u = \frac{2}{u}$ すなわち $u^2 = 2$ のときである。$1 \le u \le 2$ より $u = \sqrt{2}$ であり、このとき $t = \sqrt{2}-1$ となって $0 \le t \le 1$ を満たす。

このとき、$S$ の最小値は

$$S \ge \frac{1}{2} (2\sqrt{2} - 2) = \sqrt{2} - 1$$

となる。

解法2

図形の相似を利用して面積を求める。 $AP = t \ (0 \le t \le 1)$ とする。 $AD \parallel BC$ より $\triangle APQ \sim \triangle CBQ$ であり、その相似比は $AP : CB = t : 1$ である。 したがって、面積比は

$$\triangle APQ : \triangle CBQ = t^2 : 1$$

となる。

また、相似比から $AQ : QC = t : 1$ であり、これより

$$\triangle CBQ = \frac{1}{t+1} \triangle ABC$$

正方形の面積が $1$ であるから $\triangle ABC = \frac{1}{2}$ であり、

$$\triangle CBQ = \frac{1}{t+1} \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{2(t+1)}$$

先ほどの面積比より

$$\triangle APQ = t^2 \triangle CBQ = \frac{t^2}{2(t+1)}$$

よって、面積 $S$ は

$$S = \triangle APQ + \triangle QBC = \frac{t^2}{2(t+1)} + \frac{1}{2(t+1)} = \frac{t^2+1}{2(t+1)}$$

関数 $f(t) = \frac{t^2+1}{2(t+1)}$ の $0 \le t \le 1$ における増減を調べる。

$$f'(t) = \frac{1}{2} \cdot \frac{2t(t+1) - (t^2+1) \cdot 1}{(t+1)^2} = \frac{t^2+2t-1}{2(t+1)^2}$$

$f'(t) = 0$ とすると、$t^2+2t-1=0$ より $t = -1 \pm \sqrt{2}$ である。 $0 \le t \le 1$ の範囲において $f'(t) = 0$ となるのは $t = \sqrt{2}-1$ のときのみである。 増減表は以下のようになる。

$t$ $0$ $\cdots$ $\sqrt{2}-1$ $\cdots$ $1$
$f'(t)$ $-$ $0$ $+$
$f(t)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$

したがって、$t = \sqrt{2}-1$ のとき最小となる。 最小値は

$$f(\sqrt{2}-1) = \frac{(\sqrt{2}-1)^2+1}{2(\sqrt{2}-1+1)} = \frac{4-2\sqrt{2}}{2\sqrt{2}} = \frac{2-\sqrt{2}}{\sqrt{2}} = \sqrt{2}-1$$

解説

点 $P$ の位置を変数で設定し、図形の面積を関数として立式する標準的な問題である。面積の立式においては、座標を設定して機械的に計算する方法(解法1)と、初等幾何の相似関係を利用する方法(解法2)があり、どちらも容易に同じ式にたどり着くことができる。

立式した後の関数の最小値を求める計算では、商の微分法を用いてもよいが、分子の次数が分母の次数以上である分数関数なので、解法1のように帯分数化(次数下げ)を行って相加平均・相乗平均の大小関係を用いると、計算ミスを減らしスムーズに最小値を求めることができる。

答え

$$\sqrt{2} - 1$$

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