九州大学 2021年 文系 第2問 解説

方針・初手
与えられた不等式 $y \geqq xt - 2t^2$ を $t$ について整理し、$2t^2 - xt + y \geqq 0$ とします。この左辺を $t$ の2次関数 $f(t)$ とみなすと、条件 A および条件 B は、指定された $t$ の範囲において $f(t) \geqq 0$ となるような $(x, y)$ の条件を求める問題に帰着します。
(1) は「すべての実数 $t$」が対象なので、2次関数 $f(t)$ の最小値が $0$ 以上、あるいは判別式が $0$ 以下となる条件を求めます。
(2) は「$-1 \leqq t \leqq 1$」という制限された範囲が対象です。2次関数の軸 $t = \frac{x}{4}$ の位置によって最小値をとる $t$ の値が変わるため、軸の位置と区間 $[-1, 1]$ の関係で場合分けを行います。
解法1
(1)
与えられた不等式を $t$ について整理すると、
$$ 2t^2 - xt + y \geqq 0 $$
となる。ここで、$f(t) = 2t^2 - xt + y$ とおく。 条件 A は、すべての実数 $t$ に対して $f(t) \geqq 0$ が成り立つことである。 $y = f(t)$ のグラフは下に凸の放物線であるから、これが常に $t$ 軸以上にある条件は、$f(t) = 0$ の判別式を $D$ とすると $D \leqq 0$ となることである。
$$ D = (-x)^2 - 4 \cdot 2 \cdot y \leqq 0 $$
$$ x^2 - 8y \leqq 0 $$
これを $y$ について解くと、求める条件は
$$ y \geqq \frac{1}{8}x^2 $$
となる。したがって、求める領域は放物線 $y = \frac{1}{8}x^2$ およびその上側の部分である(境界線を含む)。
(2)
$f(t)$ を平方完成すると、
$$ f(t) = 2\left(t - \frac{x}{4}\right)^2 - \frac{x^2}{8} + y $$
となる。$y = f(t)$ のグラフは軸が直線 $t = \frac{x}{4}$ の下に凸の放物線である。 条件 B は、$-1 \leqq t \leqq 1$ をみたす実数 $t$ に対して常に $f(t) \geqq 0$ が成り立つこと、すなわち区間 $-1 \leqq t \leqq 1$ における $f(t)$ の最小値が $0$ 以上となることである。 軸 $t = \frac{x}{4}$ の位置によって、以下のように場合分けをする。
(i) 軸が区間より左にあるとき、すなわち $\frac{x}{4} < -1$ ($x < -4$)のとき
区間 $-1 \leqq t \leqq 1$ において $f(t)$ は単調増加となるため、$t = -1$ で最小値をとる。 したがって、条件は $f(-1) \geqq 0$ である。
$$ f(-1) = 2(-1)^2 - x(-1) + y = x + y + 2 \geqq 0 $$
整理すると、
$$ y \geqq -x - 2 $$
(ii) 軸が区間内にあるとき、すなわち $-1 \leqq \frac{x}{4} \leqq 1$ ($-4 \leqq x \leqq 4$)のとき
区間 $-1 \leqq t \leqq 1$ において $f(t)$ は頂点で最小値をとる。 したがって、条件は $f\left(\frac{x}{4}\right) \geqq 0$ である。
$$ f\left(\frac{x}{4}\right) = -\frac{x^2}{8} + y \geqq 0 $$
整理すると、
$$ y \geqq \frac{1}{8}x^2 $$
(iii) 軸が区間より右にあるとき、すなわち $1 < \frac{x}{4}$ ($x > 4$)のとき
区間 $-1 \leqq t \leqq 1$ において $f(t)$ は単調減少となるため、$t = 1$ で最小値をとる。 したがって、条件は $f(1) \geqq 0$ である。
$$ f(1) = 2(1)^2 - x(1) + y = -x + y + 2 \geqq 0 $$
整理すると、
$$ y \geqq x - 2 $$
以上 (i), (ii), (iii) より、求める領域は以下の不等式をみたす点 $(x, y)$ の集合である。
$$ \begin{cases} y \geqq -x - 2 & (x < -4 \text{ のとき}) \\ y \geqq \frac{1}{8}x^2 & (-4 \leqq x \leqq 4 \text{ のとき}) \\ y \geqq x - 2 & (x > 4 \text{ のとき}) \end{cases} $$
境界線について確認すると、$x = -4$ のとき $y = -(-4) - 2 = 2$ であり、$y = \frac{1}{8}(-4)^2 = 2$ と一致する。 また、$x = 4$ のとき $y = 4 - 2 = 2$ であり、$y = \frac{1}{8}(4)^2 = 2$ と一致する。 したがって、境界線は連続してつながっている。
解説
「すべての文字(変数)に対して成り立つ条件」から、「特定の文字(パラメータ)の存在範囲」や「図形的な領域」を求める問題は、大学入試の頻出テーマです。今回は不等式が与えられているため、「変数が動く範囲における関数の最小値が $0$ 以上である」と言い換える方針が最も確実でミスが少ない解法となります。
(2)の区間が制限された場合の最小値問題は、2次関数の軸と区間の位置関係による場合分けという数学Iの典型的な手法の応用です。最終的な領域を図示する際、直線 $y = -x - 2$ および $y = x - 2$ が、それぞれ $x = -4, 4$ において放物線 $y = \frac{1}{8}x^2$ と接していることに気付くと、より正確でなめらかな図をかくことができます。
答え
(1) 点 $(x, y)$ 全体の集合は、不等式 $y \geqq \frac{1}{8}x^2$ が表す領域である。 図示すると、放物線 $y = \frac{1}{8}x^2$ およびその上側の部分となる(境界線を含む)。
(2) 点 $(x, y)$ 全体の集合は、以下の不等式が表す領域である。
$$ \begin{cases} y \geqq -x - 2 & (x < -4) \\ y \geqq \frac{1}{8}x^2 & (-4 \leqq x \leqq 4) \\ y \geqq x - 2 & (x > 4) \end{cases} $$
図示すると、放物線 $y = \frac{1}{8}x^2$ ($-4 \leqq x \leqq 4$)、および点 $(-4, 2)$ を端点とする半直線 $y = -x - 2$ ($x < -4$)、点 $(4, 2)$ を端点とする半直線 $y = x - 2$ ($x > 4$)を境界線とし、それらの上側の部分となる(境界線を含む)。
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