九州大学 1964年 理系 第1問 解説

方針・初手
直角三角形に垂線を下ろしてできる三角形が、元の直角三角形と相似になることに着目する。相似比を利用して、三角形 $PQC$ と三角形 $PBR$ の面積をそれぞれ $x$ の式で表す。 面積の和を $x$ の2次関数として捉え、平方完成によって最小値を求める。その際、点 $P$ の動く範囲から $x$ の定義域に注意して議論を進める。
解法1
(1)
直角三角形 $ABC$ の面積を $S$ とすると、$S = \frac{1}{2}ab$ である。
三角形 $PBR$ と三角形 $ABC$ において、$\angle PRB = \angle ACB = 90^\circ$ であり、また $\angle B$ は共通であるから、
$$\triangle PBR \sim \triangle ABC$$
が成り立つ。
対応する斜辺の長さについて、$BP = a - x$、$AB = c$ であるから、その相似比は $(a - x) : c$ となる。 したがって、面積比は $(a - x)^2 : c^2$ となり、$S_2$ は以下のように表される。
$$S_2 = S \times \frac{(a - x)^2}{c^2} = \frac{ab(a - x)^2}{2c^2}$$
次に、三角形 $PQC$ と三角形 $ABC$ について考える。 $\angle C = 90^\circ$ であり、対頂角より $\angle QPC = \angle RPB$ である。 直角三角形 $PBR$ において $\angle RPB = 90^\circ - \angle B$ であり、直角三角形 $ABC$ において $\angle A = 90^\circ - \angle B$ であるから、$\angle QPC = \angle A$ となる。 2組の角がそれぞれ等しいので、
$$\triangle PQC \sim \triangle ABC$$
が成り立つ。
対応する辺の長さについて、$PC = x$、$AC = b$ であるから、その相似比は $x : b$ となる。 したがって、面積比は $x^2 : b^2$ となり、$S_1$ は以下のように表される。
$$S_1 = S \times \frac{x^2}{b^2} = \frac{ax^2}{2b}$$
以上より、求める面積の和は以下のようになる。
$$S_1 + S_2 = \frac{ax^2}{2b} + \frac{ab(a - x)^2}{2c^2}$$
(2)
点 $P$ は辺 $BC$ 上にあり、点 $B, C$ と異なる点であるから、$x$ のとりうる値の範囲は $0 < x < a$ である。
(1) で求めた $S_1 + S_2$ を $x$ について整理する。
$$S_1 + S_2 = \frac{ax^2}{2b} + \frac{ab}{2c^2}(x^2 - 2ax + a^2)$$
$$= \left( \frac{a}{2b} + \frac{ab}{2c^2} \right) x^2 - \frac{a^2b}{c^2} x + \frac{a^3b}{2c^2}$$
$$= \frac{a(b^2 + c^2)}{2bc^2} x^2 - \frac{a^2b}{c^2} x + \frac{a^3b}{2c^2}$$
これを平方完成する。
$$S_1 + S_2 = \frac{a(b^2 + c^2)}{2bc^2} \left( x^2 - \frac{2ab^2}{b^2 + c^2} x \right) + \frac{a^3b}{2c^2}$$
$$= \frac{a(b^2 + c^2)}{2bc^2} \left( x - \frac{ab^2}{b^2 + c^2} \right)^2 - \frac{a(b^2 + c^2)}{2bc^2} \cdot \frac{a^2b^4}{(b^2 + c^2)^2} + \frac{a^3b}{2c^2}$$
$$= \frac{a(b^2 + c^2)}{2bc^2} \left( x - \frac{ab^2}{b^2 + c^2} \right)^2 - \frac{a^3b^3}{2c^2(b^2 + c^2)} + \frac{a^3b}{2c^2}$$
定数項を計算すると、以下のようになる。
$$- \frac{a^3b^3}{2c^2(b^2 + c^2)} + \frac{a^3b(b^2 + c^2)}{2c^2(b^2 + c^2)} = \frac{a^3b(b^2 + c^2 - b^2)}{2c^2(b^2 + c^2)} = \frac{a^3bc^2}{2c^2(b^2 + c^2)} = \frac{a^3b}{2(b^2 + c^2)}$$
したがって、$S_1 + S_2$ は次のように変形できる。
$$S_1 + S_2 = \frac{a(b^2 + c^2)}{2bc^2} \left( x - \frac{ab^2}{b^2 + c^2} \right)^2 + \frac{a^3b}{2(b^2 + c^2)}$$
ここで、$a, b, c > 0$ であるから、$\frac{ab^2}{b^2 + c^2} > 0$ である。 また、$\frac{b^2}{b^2 + c^2} < 1$ であるから、$\frac{ab^2}{b^2 + c^2} < a$ である。 よって、$x = \frac{ab^2}{b^2 + c^2}$ は定義域 $0 < x < a$ に含まれる。
以上より、$S_1 + S_2$ は $x = \frac{ab^2}{b^2 + c^2}$ のとき、最小値 $\frac{a^3b}{2(b^2 + c^2)}$ をとる。
解説
直角三角形における相似を利用して面積を立式し、2次関数の最大・最小を求める問題である。 計算量を減らすため、底辺や高さをそれぞれ求めてから面積を計算するのではなく、面積比が相似比の2乗になることを利用して $\triangle ABC$ の面積 $S$ から直接 $S_1, S_2$ を求めるのが効果的である。
(2) の平方完成では文字が多く計算ミスを誘発しやすいので、共通因数でくくるなど工夫して計算を進めるとよい。また、求めた $x$ の値が図形的な制約(定義域)を満たすかの確認を忘れないようにする。 なお、三平方の定理より $c^2 = a^2 + b^2$ であるため、これを用いて $b^2 + c^2 = a^2 + 2b^2$ と書き換え、答えを $a, b$ のみで表現しても正解となる。
答え
(1) $S_1 + S_2 = \frac{ax^2}{2b} + \frac{ab(a - x)^2}{2c^2}$
(2) $x = \frac{ab^2}{b^2 + c^2}$ のとき、最小値 $\frac{a^3b}{2(b^2 + c^2)}$ (または、$x = \frac{ab^2}{a^2 + 2b^2}$ のとき、最小値 $\frac{a^3b}{2(a^2 + 2b^2)}$)
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